「帰ってきたウルトラマン」の「星空に愛をこめて」を観ました。「富士に立つ影」「大魔神」と来て、この回は「ロミオとジュリエット」です。軍人の息子でいつも郷と対立して上から目線の岸田隊員が、たまたま助けた女性に恋をして結婚まで考えます。しかしその女性がよりによって、岸田隊員が長年かけて開発してきた高性能レーダーを破壊する使命を持って、怪獣グラナダスと一緒に地球にやって来たケンタウルス星人でした。その女性は地球が好きになってしまい、自分の星を裏切ります。そして結局ウルトラマンが倒せなかったグラナドスを自らの体内の爆弾で一緒に自爆して倒します。いつも思うんですが、「帰ってきたウルトラマン」の中では、常に宇宙人/地球人という二項対立です。ですが本当は地球は宇宙の片隅の小さな星に過ぎないのであり、地球人以外は宇宙人という考え方はおかしいのですが、この頃の日本の特撮はそういう宇宙観(?)からまだ抜けられていません。16世紀のイタリアの異端者ジョルダノ・ブルーノは、そんな中世の時代において、宇宙には太陽のような星が無数にある、という主張をしていたのですが、それと比べて何と遅れているのかと思います。
月別アーカイブ: 2023年10月
トワイライト・ゾーンの”Death Ship”
トワイライト・ゾーンの”Death Ship”を観ました。キャプテンのポール、部下のテッドとマイクの3人の宇宙飛行士は空飛ぶ円盤形の宇宙船である惑星を調査していました。マイクが地上で何か光るものを見つけたため、円盤は地上に着陸します。3人がそこで見たのは、彼らの円盤と同形の円盤がクラッシュしていたもので、中を探ると、何と3人の死体がありました。ポールはこれは何かのはずみに未来に来てしまったのだと解釈します。その内テッドは故郷に帰った夢を見ますが、そこでは既に死んだ筈の人がいて、彼の家には奥さんはおらず、そのベッドには喪服が置かれ、政府からテッドが死んだという通知の電報がありました。マイクもやはり故郷に帰った夢を見て、そこで交通事故で死んだ奥さんと娘と会います。ポールは結局それらは全てこの星のエイリアンが幻影を見せているだと解釈します。それで彼らは一度この星を後にしようとしますが、そこで何の事故も起きなかったため、ポールは再度この星に着陸を主張し、断行します。ポールの理屈だとクラッシュした円盤は消えている筈でしたが、それはやはりありました。結局彼ら3人は着陸に失敗して死んでいるのに、それに気付かず同じ時間のループを繰り返しているだけでした。
うーん、何だかありがちの話でした。まあさまよえるオランダ人の宇宙版です。
NHK杯戦囲碁 余正麒8段 対 藤沢里奈女流本因坊(2023年10月29日放送分)
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が余正麒8段、白番が藤沢里奈女流本因坊の対戦です。この対戦は黒が2手目で左下隅の三々に入り、白もまたその後数手で右上隅の三々に入るといういかにも今風の戦いになりました。しかし次第に白は各所で地を稼ぎ、黒が白を積極的に切りに行き、切り離した弱石を攻めるという展開になりました。一時白は左下隅からの石、下辺の石、右辺の石、と三方に弱石を抱え、三方がらみみたいな形で攻められました。左下隅で劫になり、これに黒が勝った結果、黒の左下隅、下辺、中央、右下隅の石は全てつながり、地合では白が良かったものの、中央でコミ分くらいの黒地をつければ黒が勝ち、という形勢になりました。しかしこういう碁形は藤沢女流本因坊の得意な碁形であり、その後の黒の寄り付きを白は上手くかわし、微細な勝負になりました。こうなると藤沢のあだ名である「半目の女王」の通り、白のヨセは正確を極め、黒に付けいる隙を与えず、見事に白の半目勝ちとなりました。余正麒8段という最強クラスの棋士の一人を女流棋士が倒したということで、少なくとも日本に関しては、男性棋士と女性棋士の差はほとんど無くなりつつあります。
「帰ってきたウルトラマン」の「魔神 月に咆える」
「帰ってきたウルトラマン」の「魔神 月に咆える」を観ました。脚本は前回と同じ石堂淑郎です。そして前回は「富士に立つ影」でしたが、今回は明らかに大魔神シリーズのパロディーみたいな話です。伊吹隊長が隊員に勧められて休暇を取り、奥さんの実家である諏訪湖?の畔に行きます。そこで御神渡りを見に行った奥さんと娘がグロテス星人に捕まって人質になり、という話です。それで暴れるのが諏訪神社?のご神体で、要するに大魔神です。この伊吹隊長の奥さんを演じているのが、レインボーマンで主人公タケシのお母さんを演じていた人で、レインボーマンではそのお母さんとタケシの妹のシーンが良くありましたが、伊吹隊長の子は娘なんで、ほとんどレインボーマンかと思われるようなシーンが続きます。
最後はウルトラマンがグロテス星人の方をブレスレットでやっつけると魔神も消える、というものです。うーん、イマイチ。
下関市でサテライトオフィス?
ITの展示会@幕張メッセ
幕張メッセでやっている何が正式名称なのか良く分からないITの展示会に行って来ました。お目当てはもちろん生成AI関係ですが、正直小粒なコバンザメ型の製品・サービスばかりでウンザリしました。GAFAとの差は開くばかりで、太平洋戦争の時、米軍がブルドーザーで一晩で滑走路を作っているのに、日本軍がツルハシとモッコで一月かかっていた状況と似ています。ちなみにジャストシステムも出展していたので生成AI関係の何かを開発しているか聞いてみましたが、やっていないとのことでした。
大佛次郎の「照る日くもる日」
大佛次郎の「照る日くもる日」を読了。この小説は、サバティーニの「スカーラムッシュ」の翻案と言われていたのでそれを確かめるのが主目的の読書でした。結論としては似ているのは一番大きなプロットが一つだけで、この程度で「翻案」とか言うのは作者に失礼です。白井喬二の「珊瑚重太郎」が「ゼンダ城の虜」のパクリだとか言うのも同じレベルです。大体このレベルの小説のアイデアに著作権はありませんから。菊池寛がこの小説について「大衆小説の全ての要素が入っている」と誉めたそうですが、それは逆に誉めすぎかと。でもまあまあ面白く読めました。一番大きなプロットは最初から知っているので、ああこの男がこの男の…と簡単に想像が付きますが、それが分ったらからと言って興が殺がれることはありませんでした。主人公に二人の女性が絡み、その一人が盗賊団の一員というのは、ちょっと「雪之丞変化」を思い出させました。この小説は最初新聞小説であり、電車で通勤しながら少しずつ読んだのは丁度ぴったりした読み方だったように思います。
カセットテープ復活!
一階のこたつ部屋のオーディオにカセットデッキ追加。引っ越しによる荷物の整理で、保存していたカセットテープが40本ちょっと出てきました。念のためアイワの安いCDラジカセで試してみたら、何と全て問題なく再生出来ました。学生時代のものはもう40年以上経っています。昔の日本のメーカー(TDK、マクセル、ソニー)の品質の良さを再確認しました。そしてCDラジカセは「90分テープは使うな」と書いてあって怖いので、結局TEACの新品のデッキを買いました。ダブルカセットである必要性は無いんですが、今はこれしか売っていません。ちなみにTASCAMでも売ってますが、TASCAMはTEACの業務用ブランドであり、色が違うだけで同じ物と思います。ついでに、ヘッドクリーナーと消磁器もまだ何とか売っていたので買いました。写真のテープは大学の時、古典音楽鑑賞会というサークルの「例会」という自分が主催してみんなに聴いてもらうというので、鳥にちなむ音楽を集めた、私のお気に入りのテープです。
なお、たった40本のテープのためにデッキ買うか、という突っ込みはあるでしょうが、アイワのCDラジカセは90分テープは使わないでください、とか怖いことが書いてあるので、貴重なテープを長く楽しむため、ちゃんとしたデッキを買いました。ちなみにヤフオク等でまだテープ音源は買えます。(ほとんど演歌系ばかりですが…)
なお、昔録音したテープを聴くと、完全ではないですが、その当時使っていたオーディオ、特にサテンのMCカートリッジの音がして懐かしいです。音質はさすがに強音では歪みが目立ちますが、それは真空管アンプも同じなんで相性がいいのかも。ブラインドで聴かせれば、カセットと分らない人が多いと思います。
なお、ドルビーBはもうICが入手出来ないということで、再生の時のみのドルビーB相当のノイズリダクションが付いています。しかし録音の時には使えません。というかまず録音はしないでしょう。
スター・トレック・ザ・ネクスト・ジェネレーションの”The Child”
スター・トレック・ザ・ネクスト・ジェネレーションの”The Child”を観ました。このエピソードがシーズン2の第1話です。しかし何と言うか成功したとは言い難いエピソードで、ある深刻な毒性の強いウィルスのワクチン開発のため、そのウィルスをエンタープライズ号で運ぶという話と、エンタープライズ号に突然光みたいなものが侵入し、それがトロイの身体の中に入ってトロイが妊娠する、という話が同時並行で進行し、最後にそれが唐突に関連付けられます。トロイの妊娠は処女懐胎(?)みたいですが、トロイはライカーといい仲なので処女かどうかは怪しいですが…それでトロイの子はわずか1日で生まれ、次の日にはもう10歳くらいの少年に成長します。それで最後に何故かこの子供がエンタープライズ号にいるお陰で、エンタープライズ号が運んでいるウィルスの一部が異常に増殖し始め、このままでは保護カプセルを破壊して外に出てエンタープライズ号のクルーが全員感染して死ぬ、という危機に陥ります。それでトロイの子が自分が原因だと言い、あっさり死んでしまう、という話です。
シーズンが変わったので少しは期待しましたが、やはり脚本がダメダメですね。なお、エンタープライズ号の医師がクラッシャーから同じく女医のプラスキーに変わりました。
NHK杯戦囲碁 張栩9段 対 大竹優7段(2023年10月22日放送分)
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が張栩9段、白番が大竹優7段の対戦です。対局前にちょっと驚いたのは、張栩9段はノーシードで1回戦からの出場なのに、大竹7段がシードで2回戦からということです。(多分本因坊戦リーグに入ったからでしょう。)時代が変わりつつあります。碁の内容も、大竹7段は、ぬるいと思われるくらい、張栩9段が利かしに来たのを丁寧に受け続けました。そうした打ち方が出来るのはそれでも遅れない、という形勢判断がしっかりしているのかなと思いました。この碁での最大の焦点は左下隅で、白が隅に入られないように外側で1手打った後に黒は隅に入って行きました。そして小さく活きるのは簡単でしたが、それをせず劫にしてかつ外側の白との攻め合いを目指しました。AIの推奨は隅は軽く打って捨てて外側から利かして左辺の模様を大きくするでした。結果論ですがそういう打ち方の方が良かったようです。結局黒は下辺の白、左辺から伸びる白のどちらとも攻め合いに持ち込むことが出来ず、隅の黒は打っただけ取られここに27-28目くらいの白地が出来、これが最後まで響きました。その後のAIの形勢判定はずっと白優勢でしたが、最後のヨセで実は左辺からの白を切り離す手があり、それを決行したら白の一部を取り込むことが出来逆転でした。張栩9段は感想戦で真っ先にそれを言っていましたので、見落として後から気付いたのか、あるいは何か嫌な図が見えたのかは分りませんが、時間は余していたので、じっくり読んで決行すべきでした。最終的に白の3目半勝ちで、大竹7段は初めての3回戦へ進みました。