本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が福岡航太朗4段、白番が一力遼三冠王(棋聖・本因坊・天元)の対戦です。布石は何だか豆まき碁というか、相手の手に受けずにお互いが先を急ぐ展開で、左上隅の白の肩付きにさえ黒は手を抜きました。局面が動いたのは右下隅の攻防で、白が下辺の黒二間ビラキにいっぱいに詰めたのに対し、黒は白の隅のコスミのカドにまで迫りました。白は一つ押してから下辺からケイマに煽りました。黒はその石に付けて中央への脱出を図りましたが、白は強く抑え込んで劫付きながら黒を封鎖しました。結局ここで白は中央で黒2子をシチョウに抱え(序盤で打った左上隅の肩付きが丁度シチョウアタリになっていました)、また劫の関係で黒二子を抜いて厚くなりました。その厚みを生かして右辺に打込み、右辺下方の黒を攻め、結局黒を渡らせた代わりに黒の中央にケイマに飛んだ石を切離し、中央が白っぽくなりました。その後戦いは左下隅に移り、黒が三々に潜って振り替わりを目差したのに、白は全体を攻めようとしました。しかし結局白は黒を活かし、その代わりここでも中央が厚く、かなり中地が付きそうな状況になりました。ここで先ほどの黒二子をシチョウに抱えていたのが、左辺の攻防の結果黒の逃げ出しが可能になっており、実際に黒は逃げ出しを決行しました。しかしここでも白は深追いせずに黒を活かして打ちました。白はその後右上隅でわざと白二子を捨て、その代わり先手で上辺で黒1子を取り、上辺が安定しました。それを利用して今度は左上隅の黒をハサミツケから攻め立てました。黒は中央に逃げましたが、先ほど活きとなっていた中央の石がカラミとなり、結局最後は黒の左上隅も中央も全部死んでしまうということになり、黒の投了となりました。一力遼三冠王の緩急を付けた攻めの上手さが光った白の名局でした。
NHK杯戦囲碁 福岡航太朗4段 対 一力遼三冠王(2023年12月24日放送分)
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