小泉志津男の「日本バレーボール五輪秘話④ 世界三冠の舞台裏」

小泉志津男の「日本バレーボール五輪秘話④ 世界三冠の舞台裏」を読了しました。全日本女子の、1974年の世界選手権、1976年のモントリオールオリンピック、そして1977年の日本開催でのワールドカップの3つで全て優勝という栄光の日々と、全日本男子のミュンヘンの後の凋落ぶりが描かれます。まあ日本バレーの最後の栄光の日々という感じで、このシリーズは後1巻ありますが、さすがにそれは読む気がしません。女子の三冠を達成した監督は山田重雄で、強引に選手をスカウトしたり自分勝手な振る舞いが多くて、かなり敵が多かった人のようですが、ともかくもモントリオールオリンピックで、決勝のソ連戦を含めて一セットも落とさないパーフェクトな勝利を達成したチームを作り上げたことは、称賛し過ぎるということはないと思います。日本が作り上げたとも言えるコンビネーションバレーが、ミュンヘンの男子でとモントリオールでの女子で花開きます。これ以降は各国が日本のコンビネーションバレーを取り入れた上でさらにパワーで押しまくる強打のバレーも併用し、次第に日本が勝てなくなります。また、従来はソ連と共産圏の国々が主な相手でしたが、キューバやブラジルの中南米勢、そしてアジアでも中国や韓国が成長してきて日本を脅かすようになります。ただ、ミュンヘンへの後、男子はモントリオールではついにメダルに届かない4位と、後は凋落するばかりかと思っていたら、1977年の日本開催のワールドカップでは銀メダルで、最後の意地を見せたみたいです。この銀メダルには久し振りに全日本に復帰した森田選手の活躍が大きかったようです。
私の、日本バレー界を振り返る読書もこれで打ち止めです。後は2020年東京オリンピックで、日本がどこまで見せてくれるのかを期待しています。

宇宙家族ロビンソンの”The Phantom Family”

宇宙家族ロビンソンの”The Phantom Family”を観ました。これはなかなか良く出来たお話でした。ただ、出てきたエイリアンがタイム・トンネルの最終回のエイリアンそのままですが。住民が生存への意思を無くして滅亡の道を進んでいる星のエイリアンが、ジュピター2号の面々をコピーしたアンドロイドを作って、それにある意味サバイバルの達人であるジュピター2号の面々の性格を学習させて、星に連れ帰って住民に生きる意思を取り戻させようとします。ウィルだけはアンドロイドの先生役をやらされます。ちなみにロビンソン夫婦はチャリオットで出かけて留守です。こういう話でも結局キーになるのはドクター・スミスで、ドクター・スミスをコピーしたアンドロイドは学習して、ドクター・スミスらしく非協力的に動きます。しかし結局そのアンドロイドがウィルとの友情に目覚め、エイリアンの基地に戻ってドクター・スミスを解放するという話です。最後にエイリアンが「恐怖よりも友情の方が多くのことを成し遂げられると分かった」とつぶやくのがちょっとありきたりですが。

サインはV

 

 

 

 

昔のバレーの話を調べていると、何といっても懐かしくなるのがこれで、「サインはV」です。1969年10月から70年の8月まで放映されており、常に30%以上の視聴率を取っていた人気番組でした。女子のバレーを扱ったTVにはアニメの「アタックNo.1」もありますが、こちらは明確に女の子向けという感じで、一般的な人気では「サインはV」の方が上だったと思います。原作は漫画ですが、主人公の所属するチームが立木武蔵で、誰が考えても日立武蔵がモデルです。TVでは少しぼかして立木大和になっていました。ライバルが漫画ではニチボーでそのまんま、TVではレインボーに変えられていました。主人公の朝丘ユミが岡田可愛、ジュン・サンダースが范文雀で、范文雀は顔の黒塗りで黒人と日本人のハーフという設定で、今なら完全にアウトです。TVで感心するのは、結構立木大和のチーム他がちゃんとバレーをやっていること。その証拠に立木大和のキャプテン役だった岸ユキは、東洋の魔女が引退後に結成したフジクラブに入っていますから、それなりにきちんと練習したんだと思います。NHKの大河ドラマの「いだてん」の学芸会みたいなバレーのシーンとは大違いです。なお、立木大和の朝丘ユミとジュン・サンダースが繰り出す必殺技の「X攻撃」ですが、撮影はトランポリンを用いてやっています。しかし松平康隆監督によれば、当時の全日本の森田や横田に後10cmくらいジャンプ力があれば可能な技だそうです。実際にキューバとか南米のチームにはそれ位のジャンプ力を持った選手はいたと思いますから、決して荒唐無稽な技ではないと思います。実際に現在のバレーでは、シンクロ攻撃とか同時多発攻撃と言われていますが、リベロという守備役が受けたボールをセッターがトスし、残りの4人が全員ジャンプして誰が攻撃するかを分からなくする、という攻撃が存在し、ある意味X攻撃の延長戦上の技のように思います。

ヴェーバーの「中世合名会社史」の日本語訳の第14回目を公開。

ヴェーバーの「中世合名会社史」の日本語訳、第14回目を公開しました。これで全体の26%です。
腰痛、膝痛、肩こり、目のかすみ、色んな身体的影響に負けずに頑張っています。
ここで初めて「合資会社」の起源が出てきます。ただ、ソキエタス・マリスからどういう風に合資会社に移行していくのか、その辺がまだ不明瞭ですが、おそらくは今後、ピサの例などでもっと深い話が出て来るんだと思います。

TOEIC S&W 2020年1月19日受験分結果


2020年1月19日(日)に三度目のTOEICのS&W(スピーキングとライティング)を受けて来たのですが、本日結果が出ました。三度目の正直で、ようやくそれなりに納得出来る点数が取れました。特にライティングが満点に近くなったのはIELTS対策で英語のエッセイの書き方を徹底して練習した結果だと思います。L&Rテストとの換算表で見ても、L&Rの970点にほぼ見合う点数が取れています。今後はこのテストは受けるとしたらもうスピーキングの方だけになると思います。
なお、IELTSへの再チャレンジは今年の9月以降になると思います。

宇宙家族ロビンソンの”Trip Through the Robot”

宇宙家族ロビンソンの”Trip Through the Robot”を観ました。ロボットのバッテリーが切れかかりますが、例によってドクター・スミスがジュピター2号のパワーユニットを吹っ飛ばしてしまったので、ロボットの充電が出来ません。ロボットは別れのメッセージを残し、一人危険地帯の荒野に出かけそこで動けなくなります。しかし何かのロボットのシステムが誤作動して、一夜にしてロボットは家のサイズの巨大ロボットに変身します。ウィルとドクター・スミスはロボットの中に入ってロボットを修理しようとしますが、敢え無くロボットの心臓部が停止してしまいます。しかし予備の電源を動かして何とか復活します。ウィルが巨大化の原因になったプロセスを逆に働かせたため、今度はロボットは縮小を始めます。ウィルとドクター・スミス、そして二人を助けに来たロビンソン博士とドンの4人は無事にロボットの内部から脱出出来るか、という話です。第2シーズンにしてはなかなかまともで面白い話でした。

小泉志津男の「日本バレーボール五輪秘話② ポスト魔女の激闘」

小泉志津男の「日本バレーボール五輪秘話② ポスト魔女の激闘」を読了しました。③を先に読んで順番的には逆になりました。しかし、この日本の男女のバレーボールのオリンピックにまつわる話は本当に面白いです。ほとんど三国志か、日本の戦国時代の戦国大名同士の争いかという感じです。また、バレーによって日本という国の良い所と悪い所が洗い出されている感じです。
ニチボー貝塚の、東洋の魔女の内5人が引退した後、日本の女子バレーは戦国時代に入ります。1969年から70年頃、「サインはV」というTVドラマがあり、非常に人気がありました。朝丘ユミ(演:岡田可愛)という主人公が所属するチームが「立木大和」、ライバルチームが「レインボー」と「ミカサ」でした。これはそれぞれ、「日立武蔵」、「ニチボー貝塚」、「ヤシカ」がモデルで、その設定の通り、東洋の魔女引退後はこの3チームの争いになります。(元々は日紡、倉紡、鐘紡などの繊維会社が強かったのですが、1960年代の後半、次第に繊維産業が衰退し、電機や精密機械などが伸びたということを反映しています。)大松博文監督の後を継いだ小島孝治監督は、魔女5人引退後も、ニチボーの連勝記録を延ばし続けます。そこに立ちはだかったのが、何と元魔女6人(東京オリンピックの時の磯辺選手以外の5人と、世界選手権優勝の時の増尾選手)が中心となって作った「フジクラブ」で2年ぐらいのブランクをものともせず、国体を連覇して一般選抜としてNHK杯に出場し、鐘紡やヤシカなどの企業チームを蹴散らし、決勝でニチボーとの対決になります。この先輩・後輩対決は、フジクラブが最初の一セットを取ったものの、体力と練習量の差が出て、ニチボーが勝ちました。しかし元魔女はニチボーの守備は優れているものの、攻撃が単調であることに気がつきます。この危惧は当たり、1966年8月のアジア選手権大会代表選考会で、ニチボーはフルセットでヤシカに敗れ、さらにそのショックでかその後に日立武蔵戦では0-3で敗れ、ついに栄光の連勝記録は258連勝でストップします。(大松監督は175勝までで、その後83勝が小島監督時代)
そしてその後この3強以外にも鐘紡や東洋紡といったチームも強くなり、日本女子バレーは完全に戦国状態になります。ここで問題になったのがメキシコに派遣するチームを単独チーム主体で行くか、あるいは全日本選抜チームでベストチームを作るかですが、男子が松平康隆監督のイニシアチブで早くから選抜チームという方向を打ち出したのに対し、女子の方は大もめにもめ、結局これが後までたたります。
そしてメキシコオリンピックになりますが、男子がソ連だけでなく、ブルガリア、チェコスロバキア、ポーランドといった強豪の中でよく戦い、見事に銀メダルを取ります。これに対し、女子は最後までAチーム、Bチームというベースになる企業チームが違う2つのチームを作って最後までまとまりませんでした。そんな中、ソ連は日本を徹底的に研究し、日本側がソ連は左からの攻撃が無い、と読んでいたのに、本番ではまったく裏をかいて左からの攻撃を連発し、また日本の速攻に対してはマンツーマンの守備で日本を封じ、日本女子は完敗します。それでも銀メダルでしたが、男子の銀が上り坂のチームの途中の結果としての銀だったのに対し、女子は金が当たり前と期待された中での惨敗の結果の銀で明暗を分けました。
日本の良くないところはまだあって、非常に残念なのが多くの女子選手が結婚と共にバレーを辞めて現役引退をしてしまうことです。これに対し、ソ連チームで最強のアタッカーだったインナ・リスカル(ルィスカリ)選手は、結婚して子供を産んでもバレーを続け、実に東京・メキシコ・ミュンヘン・モントリオールと4つのオリンピックに出場し、金2つと銀2つというこれまで誰も達成していない成績を挙げています。日本の女子選手も同じことが出来たのではないかと思うと残念です。
それから男子については、結局ミュンヘンオリンピックの本番まで、日本男子は世界一になったことは一度も無いということです。1970年のブルガリアの世界選手権では、東ドイツが優勝、ブルガリアが2位、日本は3位(ちなみにこの時ソ連は何と6位転落)でした。やっぱりミュンヘンオリンピックでの男子優勝は松平監督の執念が可能にした奇跡だと思うようになりました。

NHK杯戦囲碁 井山裕太三冠 対 六浦雄太7段


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が井山裕太三冠(棋聖・本因坊・天元)、白番が六浦雄太7段の対戦です。内容は序盤はお互いに我が道を行くような模様の張り合いでしたが、黒が下辺に侵入し、白が挟んで、その後更に黒が右辺に打ち込んで白がその間を割いていってと激しくなりました。黒は下辺の攻防で巧妙に左下隅と絡め、左下隅の地をえぐり、代償で下辺の黒は捨てて打つのかと思いましたが、1子も捨てずに全体を活きに行き、成功しました。これで下辺の白地がほとんど無くなり黒の大戦果でした。しかし代償で右下隅からの白が鉄壁になり、白は右辺の黒を出切って分断しました。この黒は単体では眼が無く、黒は右辺上方の白を包囲して攻め取りで締め付けを狙いました。白は攻め取りは面白くないので、単体で眼を作りに行きましたが、黒はそれを利用して劫に持ち込みました。黒は右辺を活きる手を劫材にして活き、代償に白は黒の包囲網を突き破ってポン抜きました。後は黒の上辺の地がどれだけまとまるかの勝負でしたが、白は左上隅に侵入し、かつ上辺も若干荒らして、後はヨセ勝負になりました。このヨセで白が下辺から左辺にかけての白地を確保する手を打たないで左辺上方の黒地を減らしに行ったのが疑問手で、黒にそちらに踏み込まれて、地が大きく減ってしまいました。中央にも白地はほとんどつかなかったため、地合で黒に及ばず白の投了となりました。

久石譲のベートーヴェンの交響曲全集

久石譲、フューチャー・オーケストラ・クラシックス(ナガノ・チェンバー・オーケストラ)のベートーヴェンの交響曲全集を聴きました。この全集が出たのは知っていました。しかし、ベートーヴェンの交響曲全集に関しては既に50種類以上持っているので、パスしていました。しかしながら「レコード芸術」のレコードアカデミー賞を取ったと聞いたので、やっと購入しました。

1.良い所
(1)オケが少人数で密度が濃く、レベルの高いアンサンブル
(2)ともかくエネルギー感がすごい
(3)ベートーヴェンのリズムの感覚の素晴らしさが良く分かる
2.悪い所
(1)あまりにもセカセカし過ぎ。タメとかコクがもう少し欲しい。特に8番。
(2)第9で1~3楽章と4楽章がなんだかチグハグ。

久石譲の指揮者としての技量は高いと思いますが、だからといってこれを何度も聴きたいかというと、そういう気にはあまりなれません。他の指揮者と比べると、ヘルマン・シェルヘンのと共通点があると思いますが、シェルヘンみたいな狂気は感じません。(芸術において狂気は必ずしも悪い意味ではありません。)

中世ラテン語との取り組み

今日もヴェーバーの本に出て来る中世ラテン語をぽちぽち訳しています。英訳本の訳は参考にはしますが、決してそのままは訳していませんという証拠写真を上げておきます。(今日も、英訳で「次のミカエル祭の時に返す」とあるのは「次のミカエル祭までに返す」であって、誤訳だと思いました。usqueという単語はキケロのカティリーナ弾劾演説の冒頭に出て来る単語で、キケロの文でも「一体いつまで」でした。{Quo usque tandem abutere, Catilina, patientia nostra?})今日の所で、in confeccioneというのが辞書になくて困っていたのですが、思い立ってスペイン語辞書を調べたら「製造」という意味でした。俗ラテン語からイタリア語とスペイン語は出来たんだから、古代ラテン語の辞書に無い時は、イタリア語・フランス語・スペイン語の辞書を引くと、意外と出ていることがあります。このヴェーバーの本に出て来る中世ラテン語の特徴として、文法的にはまったくもって難しくなく、単純な現在形かせいぜい完了、未来完了ぐらいです。しかしおそらく繊維関係の専門用語と思われる辞書に無い単語が時々出て来るのと、また古典ラテン語とは綴りが変わっていたり、また意味も微妙に変わっている単語があって、それで苦労します。中世ラテン語の辞書は売っているのですが、10万円近くするのでさすがに手を出しかねています。