本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が山田規三生9段、白番が井山裕太4冠の対戦でした。本局は最初から最後まで激しい戦いの連続で非常に見応えがありました。特に左辺から中央にかけての戦いは白が攻める局面と黒が攻める局面が目まぐるしく入れ替わる感じでした。しかし、白は中央から上辺に延びる大石が攻められ、何とか右上隅に侵入して活きましたが、主導権は黒にありました。そして今度は中央から下辺で競い合いが始まり、黒は右下隅にもたれながら中央で黒を切っている白を攻め、結局黒は白7子を取り込みました。しかしこの時、あと一歩貪欲に右辺で2線に出て右下隅の白地を値切っておけば黒の勝勢でした。しかしそれをしなかったため、右下隅の白地が大きく形勢は不明でした。その後のヨセで黒は左上隅に潜り込んで活きましたが、その後左辺から上辺にかけての黒の大石が眼が薄くなって寄り付かれ、終わってみれば白の7目半勝ちという大差になっていました。山田9段にとってはあと一歩の所まで追い詰めながら残念な1局でした。
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「巨人の惑星」の”The Flight Plan”
「巨人の惑星」の”The Flight Plan”を観ました。今回のは新しい展開で、巨人がある薬を使って地球人と同じサイズになり、油断させて捕まえようとするという話です。しかしそんな人間のサイズを自由に変えられるような科学力があるんだったら、地球人の小人を一生懸命追い回す必要は無いと思うのですが…
まあお話はジョーという元々巨人でサイズを縮めているのが、巨人達に追われている振りをして地球人達に近付いて、そしてスピンドリフト号の燃料となるPropellant(燃焼促進剤、多分過酸化物か何か)のありかを教えるということになります。ジョーが巨人達と通信しているのを見たベティーが巨人に捕まりますが、まずはPropellantを盗みに入り成功します。しかしジョーが逃げ遅れて捕まってしまったのを、キャプテン達が助けます。ジョーは次第に地球人達の同情的になり、ベティーを解放しようとします。最後はPropellantを爆発させるという脅しで全員を無事に避難させた後、残りの巨人もろとも自爆します。しかし小さくなる薬があるんだったら大きくなる薬もある筈で、地球人達がそれを手に入れれば取り敢えず巨人の惑星で生きていけるのではないかという矛盾を感じました。
スタートレックのファーストシーズンの”Miri”
スタートレックのファーストシーズンの”Miri”を観ました。エンタープライズ号がある日何かの救援要請信号をキャッチしそちらに向かってみると、何と地球とまったくうり二つの惑星でした。その星に降り立ってみると、そこは1960年ぐらいの地球そのままでした。しかし何故か町は荒廃し、人の姿は見えません。しばらくして少女を発見し、何故か大人は全て死に絶えており、子供達だけが生き残っています。その大人達を殺したのは何かのウィルスで、スポックを除く一行全員にも感染の印であるミミズ腫れが出来ます。病院に残されていた文献を調べた所、そこでは人間の寿命を延ばす計画に成功しており、100年間がわずか一ヵ月分の成長にしかならない、というものです。(1960年代の地球と同じで、何故そんな高度なことが出来たのかが疑問ですが。)ドクターマッコイがウィルスを調べ、結局子供は感染せず、思春期になると感染することが分ります。ドクターマッコイがワクチンを作ろうとしますが、子供達が一行のコミュニケーターを盗んでしまったため、ワクチンをどのくらい打てば良いかの計算をエンタープライズ号のコンピューターで行うことが出来ません。カーク船長は少女ミリを使って残りの子供達に会い、子供達も時間の問題でウイルスに感染すること、そうでなくても食料が後半年で無くなることを説明し、コミュニケーターを取り戻します。しかしカークが戻る前に、ドクターマッコイは自分の体でワクチンを試しますが、倒れてしまいます。しかしマッコイは何とか死なずに済み、またウイルスのミミズ腫れが引いていくのが確認されました。
今、丁度新型コロナウイルスの話題が出ていますが、やはりワクチンというのは安全性の確認が重要なのだということを教えてくれるエピソードでした。しかし、地球と同じ星が何故存在しているのかとかの謎解きはありませんでした。
古関裕而の「暁に祈る」の販売枚数
古関裕而が自分が作った軍歌(戦後の言い方では「軍事歌謡」)の内で一番会心の作は、福島三羽烏による「暁に祈る」だと自伝の中で言っています。そしてこの「暁に祈る」の販売枚数が41,000枚で大したヒットじゃないなどと書いているサイトがいくつかあります。この数字の引用元は、倉田喜弘の「日本レコード文化史」の中にあるものです。(元は雑誌「音楽文化」の昭和19年11月号のようです。辻田真佐憲の「古関裕而の昭和史」による。)しかし、この数字はあくまでも昭和18年8月から19年8月までの13ヵ月間のものであり、「暁に祈る」が発売されたのは昭和15年5月です。つまり、発売後から3年3ヵ月の間の売上が全く入っていない数字です。それに発売後から3年3ヵ月も経ってまだ4万枚以上売れているということは、「露営の歌」の50万枚には及ばないのかもしれませんが、おそらく30万枚以上の大ヒットだと思います。古関によると当時のヒットの基準は5万枚くらいだとどこかで書いていましたので、そういう意味でも41,000枚だけというのはあり得ないです。実際に同じ資料に「若鷲の歌」も載っていますが、こちらは発売後10ヵ月で233,000枚です。
ちなみに、「露営の歌」の50万枚は戦前としては驚異的な数字で、当時の蓄音機の普及台数を考えると、蓄音機を所有している人の大半が買わないとそんな数字にはならないと思います。当時の再生機の数と、現在の様々な再生環境の数の差を考えれば、ほとんど10倍して現在だと500万枚くらいの感じなのではないでしょうか。
古関裕而の「ビルマ派遣軍の歌」
今週の「エール」は非常に重い話で、古山裕一がビルマ(現在のミャンマー)で行われていたインパール作戦(大平洋戦争上で最悪の無謀で無策な作戦として悪名が高いもの)に慰問のために派遣される話です。そこで演奏されるのが「ビルマ派遣軍の歌」で、作詞は一緒に慰問に同行していた「麦と兵隊」で有名な火野葦平です。「エール」でも出て来たように、火野葦平はインパール作戦の惨状を実際に現地で見て「青春と泥濘」という手記にまとめています。火野葦平は戦後戦犯として2年間公職追放の処分を受けますが、決して戦争賛美の人ではなかったということだと思います。この曲は現在何故かCDで発売されている「古関裕而 戦時下日本の歌~愛国の花~」には収録されていませんが、ダウンロードで販売されている同名のアルバムには入っていて聞くことが出来ます。変ホ長調というB♭に並んでブラスバンドでは演奏しやすい調で作曲されています。全体に古関らしい「ターンタターンタ」という付点音符のリズムで統一されていますが、「しゅくてき(宿敵)」の所だけが「ターンターンターンターン」というフラットなリズムに変り変化を付けています。最後は上昇音型から下降音型でまとめるという、手堅い構成になっています。
なお「エール」では古山裕一の慰問は一回だけになっていますが、実際の古関裕而はビルマは2回、その他中国なども合わせ全部で4回くらい慰問に行っています。残念ながら中国での慰問での「露営の歌」に関する感動的なエピソードは「エール」では使われないようです。
P.S.
「ビルマ派遣軍の歌」の歌詞は、「古関裕而作品集」では2番までしか載っていないし、またWeb上で見つかるものも、コロンビア音源で歌われているのと異なっているため、以下にコロンビア音源で歌われている歌詞を載せておきます。
1.
詔勅(しょうちょく)のもと勇躍(ゆうやく)し
神兵(しんぺい)ビルマの地を衝(つ)けば
首都ラングーンは忽(たちま)ちに
我が手に陥(お)ちて敵軍は
算を乱して潰(つい)えたり
宿敵老獪(ろうかい)英国の
策謀(さくぼう)ここに終焉(しゅうえん)す
勲(いさお)燦(さん)たりビルマ派遣軍
2.
イラワジ河の水ゆるく
御国(みくに)の楯と進みゆく
我が兵(つわもの)の背に高く
黄金(こがね)のパコダそびえ立ち
セクバン(*1)の花萌え出でて
再生ビルマの民衆に
兵の笑顔の莞爾(かんじ)たり
光り遍(あまね)しビルマ派遣軍
3.
援蒋(えんしょう)ルート(*2)の完封(かんぷう)に
喘(あえ)ぐ雲南(うんなん)重慶軍(じゅうけいぐん)
波立ち騒ぐ印度洋
また北緬(ほくめん)(*3)にアラカン(*4)に
残敵(ざんてき)しきりに蠢動(しゅんどう)す
我に揺るがぬ鉄壁の
守りのあるを知らざるや
力厳(げん)たりビルマ派遣軍
*1 セクバン 正しくはセクパン。ホウオウボク(鳳凰木、Delonix regia)のこと。蝶のような形の真っ赤な五弁花をつけ、火焔樹とも呼ばれる。
*2 援蒋ルート アメリカ、イギリス、ソ連が中国国民党の蒋介石を軍事的に援助するために物資を送るのに使ったルート。ビルマのラングーン(ヤンゴン)→ラシオ→雲南省昆明のビルマルートがその代表的なもので、日本軍がビルマを占領してからはハンプというヒマラヤ山脈を飛行機で越えるルートに切り替わった。
*3 北緬 北ビルマ。ビルマの漢字表記は緬甸。
*4 アラカン 現在のミャンマーのラカイン州で、ミャンマーの北西部にある南北に細長い州。
以下、4番がWeb上のいくつかのソースで確認出来るが、コロンビア音源では3番までしか収録されていない。
4.
独立ビルマの朝明けて
孔雀の旗のたなびけば
東亜の屋根の主柱(はしら)たる
防人(さきもり)日本の任重し
神算鬼謀(しんさんきぼう)我にあり
如何(いか)なる試練来たるとも
恐るる所あるや無し
勲赫(いさおかく)たりビルマ派遣軍
「巨人の惑星」の”Creed”
「巨人の惑星」の”Creed”を観ました。少年のベイリーが突然熱を出して腹痛を訴えます。スピンドリフト号の救急マニュアルによればその症状は虫垂炎でした。一行に医者はいませんが、やむを得ずキャプテンが少年を手術することを決意します。しかしスピンドリフト号には麻酔用のエーテルがありません。そこで一行は巨人の病院に忍び込みます。しかしそこの医者に見つかってしまいます。しかし、医者は彼らを捕まえようとせず、危険を冒して忍び込んで来たのは病人がいるのではないかと問いかけて来ました。その医者は遭難した地球の宇宙船で入手した地球の医学書(ドイツ語)と人間用の手術キットを持っていました。医者は手伝うから代償に地球の医学書を解読して欲しいと依頼します。フィッチューがドイツ語を読めます。結局森の中で、その医者の指導を受けながら、キャプテンが手術をすることになりました。手術は何とか成功しますが、一行が病院にいたのを目撃していた清掃要員が警察を連れて来ます。医者は何とか警察官を別の方向に誘導しようとしますが、警察官に撃たれてしまいます。警察官達が地球人を探している間、一行は木に手錠でつながれた医者に礼を言い、何故危険を冒して我々を助けたのかと聞きます。そうすると医者は、「どこから伝わったか知らないが、こういう言葉があり…」と”Into whatsoever houses I enter, I will enter to help the sick”(いかなる患家を訪れるときもそれはただ病者を利益するためであり)という句を引用します。それを聞いた一行が「ヒポクラテスの誓いだ!」と言うという話です。(「ヒポクラテスの誓い」は医学生が大学を卒業する時に、いかなる時でも病人を助けるといった内容を含む誓約です。)
Hippocratic Oathが実際に使われているのを聴いてちょっと感動しました。いい話でした。
スタートレックのファーストシーズンの”What Are Little Girls Made OF?”
スタートレックのファーストシーズンの”What Are Little Girls Made OF?”を観ました。なかなか正統的なマッドサイエンティストもので良かったです。エンタープライズ号の看護師は実は科学者でしたが、ある星で5年前に行方不明になったコービー博士がまだ生きていると信じて、エンタープライズ号に看護師として乗り込んでいました。その星に向かって通信を呼びかけると、驚いたことにコービー博士は地下の洞窟で生きていました。カークと看護師が転送されて、博士に会いに行きますが、博士はなかなか現れず、カークが念のため警備のために転送させた2人のうち1人は洞窟の中の崖から落ちて死に、もう一人も巨人のような風貌の人間に殺されます。実はコービー博士はこの星で、滅んだ先住民が残したアンドロイドの技術を発見し、女性型も含め何人もアンドロイドを作っていました。博士の考え方に危険を感じたカークは抵抗しますが、捕まってしまい、カークとそっくりのアンドロイドを作られてしまいます。博士は人間を全てアンドロイド化すればユートピアになると考えていました。カークは、女性のアンドロイドにキスして愛情の感情を呼び起こさせようとします。(というかこれ007でジェームズ・ボンドが敵に捕まった時の常套パターンですが。)それで色々あって、結局は博士自身も本物は死んでしまって、その知識と精神をアンドロイドに移し替えたものだということが判明し、博士は自分は変っていない、と主張しますが、看護師(クリスチーン)はアンドロイドで人間を置き換えようとする考え方自体が変ってしまった証拠だと言います。カークによって感情を見出された女性アンドロイドが博士ともみあいになって、間違ってフェーザーを撃ってしまい、二人とも消滅します。原子力潜水艦シービュー号でも、ネルソン提督がそっくりのアンドロイドを作られるという話がありました。
NHK杯戦囲碁 小池芳弘5段 対 高尾紳路9段
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が小池芳弘5段、白番が高尾紳路9段の対戦です。この碁の焦点は白が右下隅の星の黒に付けていってからの攻防で、白は最初は付けていった石を捨てるつもりで下辺を盛り上げて打ちましたが、黒が白2子を小さく取ることをしなかったため、方針変更して右辺を動き出しました。その過程で右辺の黒に差し込んで受け方を聞いたのがちょっとまずく、黒は1子を捨てて打ちました。白はこの黒1子を取っても1眼しかなく、全体が狙われました。ところが黒が余計な手を打って白に右上隅の黒と振り替わられてしまいました。単純に得た地の大きさなら黒の方が優りましたが、右上隅は元々黒地だったのが白地になったのであり、左辺と下辺の地模様もあって、ここで白が優勢になりました。黒はその後右上隅を動いて攻め取りによる締め付けを狙いましたが、あまり上手くいきませんでした。黒はそこで勝負手で白模様の中に突入しました。この折衝で取られていた右辺の白が復活し代償で白の下辺から中央の8子が取られました。これで白模様の中の黒が全部無事で生還すればかなりの挽回ですが、白から形の不備を突かれ、黒が少しも捨てないように頑張った結果、中央の黒が死に、黒の投了となりました。
クリストファー・ノーランのテネット
テネットを観て来ました。評判通りのワケワカ映画でした。これを予備知識0で一度だけ観て分かったと言う人がいたら間違いなくそれは嘘つきでしょう。結末も作戦が成功しているとは思えないのに取り敢えず結果オーライになっていますし、その人間が死んだら世界が終るという男性が妻に殺されても何も起きず、何故これで良かったのかが理解出来ませんでした。時間が逆行するのを映像で見せるのは面白いですが(といっても逆回しにするだけのことですが)、「挟撃作戦」と称して順行時間と逆行時間の映像が順不同で混ぜられると頭がグラグラして来ます。ちょっとググったらこの映画の解説をしているページが多数見つかりますが、そういうの読まないとストーリーが理解出来ないというのは映画としては失敗だと思いますし、ちゃんとした原作があるのならそれを読めば補完されると思いますが、ストリーは監督自身によるもののようです。まあ映像を楽しむ映画だと思います。それから現代人のせいで未来人の世界での地球がほとんど危機的状況になっているという設定はいかにも今風でした。
「巨人の惑星」の”Framed”
「巨人の惑星」の”Framed”を観ました。一行は、太陽電池を効率的に使うためにレンズが無いかと探していましたが、丁度タイミング良く、カメラマンとモデルが一行のいる森にやってきます。カメラマンは撮影の後、モデルに抱きついてキスをしようとし、二人がもみあっている内にモデルは倒れて頭を石でぶつけて死んでしまいます。キャプテンとフィッチューはそのカメラマンに見つかり、モグラの穴に潜り込みますが、カメラマンは草を燃やして煙りを出し、二人をいぶしだそうとします。そこに折良く酔っ払いがやって来て、火を消したので二人は助かりました。酔っ払いはそのうち殺人現場の近くのベンチで寝てしまいましたが、カメラマンは殺人の罪をこの酔っ払いに着せようとします。酔っ払いに助けられたキャプテン達は、恩を返そうと、この冤罪の現場を、カメラマンが地面に置きっぱなしにしたカメラで撮影しようとします。撮影は首尾良く成功しますが、カメラマンは警察を呼び、酔っ払いが殺人の疑いで連行されます。カメラの中に隠れたキャプテンとヴァレリー(女性)は、そのフィルムを現像するチャンスを伺って…といったストーリーです。結局はその写真のおかげで冤罪は晴らされますが、酔っ払いが御礼のつもりなのかカメラを持ってきてくれますが、それはピンホールカメラでレンズが付いていなかったというオチです。