NHK杯戦囲碁 蘇耀国9段 対 上野愛咲美女流棋聖

本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が上野愛咲美女流棋聖、白番が蘇耀国9段の対戦です。上野女流棋聖はまだ16歳ですが、女流棋聖戦で謝依旻女流本因坊を2-0のストレートで破って見事な初タイトル獲得で、NHK杯戦初出場です。
黒の右上隅の星打ちに対し、白は最近の流行りでいきなり三々に入り、白の実利、黒の厚みというワカレになりました。左下隅で両ガカリから双方の石がもつれた乱戦気味の展開になりました。この碁全体でそうでしたが、上野女流棋聖がひたすら攻め、それを蘇9段がかわし気味に打って、という展開でした。中央での戦いで、黒は白にコスミつけ、白が伸びたのにすぐ割り込んで、強引に切断に行きました。白はそれに対し、下辺の黒にノゾキのような置きを敢行し黒に継がせてから切られた所を下から当てました。白は結局切断されましたが、黒も中央が薄く、さらに下辺は白から動いて策動する手段を残して、という感じで白のかわし作戦が成功している感じでした。白は左側の黒が頭を出したタイミングで下辺の白に切りを敢行しましたが、黒は切られた左側の石を2線に曲がって受ける、という最強の手を打ちました。白は右側の石から下辺の黒にコスミツケて補強してから、下辺を動き出しました。これに対し黒はまたも曲がりという最強の手で応じました。白は下辺は保留し、中央でケイマで黒石を包囲気味に打ちましたが、黒も白に対して押しを打ってから、中央に顔を出し、右上隅の黒の壁に連絡気味に打ちました。白は今度は左辺でノゾキを打ちました。これによって左側の黒も弱くなり、盤面上で眼の無い石がからみ合う闇試合のような碁になってきました。白が中央を補強した後、右側の黒の連絡を確実にするために、黒は右辺の白にノゾキを打ちました。白はそれに対し継がずに右辺の黒に打ち込んで応え、結局黒1子を取って治まり、ここは白がポイントを上げた感じです。しかし、白は中央、左辺、左下隅と3箇所で眼がはっきりしていない石があり、黒はその3つを最強に攻め立てました。その過程で、白が右下隅の黒の目外しの位置の石に付けてきて、下辺で取られている石を利用して策動しようとした時、黒は左辺で2線のオサエを打ち、左下隅の白に響かせながら受けの代わりにしようとしました。黒はその後も左辺の白を攻め立てましたが、結局白が右下隅にもう一手打って連打した方になり、右下隅が白地になり、地合は白の大きなリードとなりました。黒は結局白のどこかを大きく取らないと負けでしたが、結局中央の石がターゲットになりました。この途中で黒は左下隅の白に対して劫を仕掛けましたが、本劫になるまで手数がかかり、白は余裕がありました。結局劫は白が勝ち、下辺の白3子取っている黒も辛い形で活きなければなりませんでした。白は後は中央の石を活きれば勝ちでした。この中央の白については、上辺で右上隅とつながる手を見た劫になりました。この劫争いで白に痛恨のミスが出て、無劫の手を打ってしまい、中央の白が全部取られてしまっただけではなく、右上隅の白も全部取られてしまい、さすがの白の優勢も吹っ飛び黒の逆転中押し勝ちとなりました。上野女流棋聖の可愛い顔に似合わない豪腕が光った一局でした。

「タイムトンネル」の”The last patrol”

「タイムトンネル」の”The last patrol”を観ました。アメリカが舞台なので南北戦争かと思ったのですが、1812年の米英戦争(第二次独立戦争)のニューオリンズの戦いが舞台でした。多分アメリカ人なら誰でも知っている歴史なんでしょう。この回でユニークなのは、イギリス軍側の司令官の子孫が、その司令官が何故ジャクソン将軍の強い方面を攻撃して500人を犠牲にしたのかの理由を知りたくて、志願してトニーとダグが流されている地点にタイムトンネルで送られる、という点です。結局その子孫は真相を知りますが、ジャクソン将軍の攻撃で撃たれて、トニーとダグに真相を20世紀に伝えてくれることを頼んで息絶えます。ジャクソン将軍はこの戦いの勝利によりアメリカ大統領になります。

ところで、PCのDVDドライブはリージョンコードフリーだと勘違いしていたのですが、一定の回数(4回まで)を超えてリージョンコードを切り替えると、それ以上切り換えが出来なくなるのですね。昨日日本のDVDを観た時にリージョンコードが再び2(日本)になって、コード1のこのタイム・トンネルのDVDが再生出来なくなりました。実にたまたまなんですが、PCでもブルーレイを再生しようと思って、PC用のブルーレイディスクドライブを買ったばかりで、そちらでリージョンコードを1に設定して無事にタイムトンネルを観ることが出来ました。その時また分かったのは、ブルーレイディスクの再生は、miracastは使えないということです。まあ、別にブルーレイディスクプレーヤーがあるから、いいのですが。

堀口茉純の「吉原はスゴイ -江戸文化を育んだ魅惑の遊郭」

「お江戸ル」こと堀口茉純の、「吉原はスゴイ -江戸文化を育んだ魅惑の遊郭」を読了。といっても読んだのはイタリアへ向かう飛行機の中でもう1ヵ月以上も前です。何となくレビューを書きそびれてしまいました。堀口茉純の本は「江戸はスゴイ」に続き2冊目の読書です。タレントの本というとゴーストライターが書いている例が多いと思いますが、彼女の場合は正真正銘本人が書いていると思います。何せ最年少で「江戸文化歴史検定1級」に合格した人ですので。
まず、この本は940円の新書とは思えないくらいカラーグラビアがたくさん入っていて、そこでお得です。吉原を当時の江戸の人がどういうイメージで捉えていたか、口で説明するより当時の浮世絵を見た方がはるかに早いのでこのグラビアの多さは効果的です。また筆者は吉原が女性が搾取される陰惨な場所とするイメージが主に明治以降作られたものであることを指摘し、江戸時代、特に最初の頃の吉原は大名や上位の地位にある武士のための高級な文化サロン的要素を持つ遊び場であったことを指摘します。私もその辺りの実態は落語や時代劇や時代小説で描かれたのを見ているだけですから、本当の所は知りません。まあかなり概説的な本ですので、正直な所得るところが多かったとはいえませんが、それなりには楽しめた本でした。

「タイムトンネル」の”Visitors from beyond the stars”(星の彼方からの来訪者)

「タイムトンネル」の”Visitors from beyond the stars”(星の彼方からの来訪者)を観ました。硫黄島の次は宇宙船の中に飛ばされたのでてっきり未来の話かと思ったら、1850年頃のアリゾナのある町にUFOとエイリアンが現れるという話なので笑ってしまいました。(アリゾナはUFOが多く見られる州として一部で有名です。例えばアリゾナの北方にあるセドナでは多くのUFO目撃談が伝えられていて、UFOに関する一種の「聖地」にさえなっています。)で、そのUFOに乗っている宇宙人が、この頃のアーウィン・アレンのドラマと共通していて「宇宙家族ロビンソン」でもそうなのですが、銀色の服を着て、顔を銀色に塗って、という何とも古くさい宇宙人イメージです。(タコ形火星人よりはましかもしれませんが。)で、その宇宙人が何をしに来たかと言うと、彼らの星でタンパク質資源が足らなくなったので、それを調達に来たということです。それなら牧場の牛とかをまとめてかっさらっていけばいいと思いますが、この宇宙人はせこくて、酒場の親父が備蓄している食料まで持っていこうとします。でも、最後にトニーとダグが彼らの唯一の武器みたいな箱を壊してしまったので、彼らは引き上げます。その後、彼らの星の人間がタイムトンネルのコントロール室に現れ、UFOを捕獲したんじゃないかという嫌疑をかけて、さんざん地球の科学のレベルの低さをあざ笑って、最後は誤解が解けて帰って行く、というお話です。

「タイムトンネル」の”Kill two by two” (2対2の殺し合い、第二次世界大戦中の硫黄島での話)

「タイムトンネル」の日本が出てくるもう一つの話、”Kill two by two”(2対2の殺し合い)を観ました。トニーとダグは今度は1945年2月の南硫黄島に飛ばされます。そこの日本軍の監視所で、年老いた日本兵と若い上官の日本兵に遭遇します。何故か二人とも英語をしゃべり、特に若い方はスタンフォード大学で教育を受けたという設定でネイティブと変わらない英語力です。しかし、何か狂気に取り付かれたような、非常に好戦的な男として描かれています。それで見守っていたタイムトンネルのスタッフが、トニーとダグを転送するために南硫黄島の地理の確認が必要なため、現在ペンタゴンにいて元日本軍兵士で硫黄島を経験しているナカムラを連れてきます。タイムトンネルのモニターで若い兵士を見たナカムラはあれは私の息子だと言います。それによると、特攻を命じられた若い兵士は失敗して不時着しますが、アメリカ暮らしが長かったため、ハラキリをして恥を償うことが出来ず逃げ出しており、死に場所を求めて自棄になっている、という何というかもう無茶苦茶な設定です。そして父親のナカムラの方が、息子もトニーとダグと一緒に転送させないと、南硫黄島の地理についてしゃべらない、と我が儘を言い出します。(転送したって、現在に連れ戻せる訳でもなく、二人と一緒に時の中を彷徨うだけだと思いますが、その辺の矛盾は無視していました。)
さすがにこれは日本での放映は出来ないだろうと納得しました。

SUNVALLEY AUDIO (旧ザ・キット屋)の真空管アンプについて

真空管アンプの主にキットを売っている店で、SUNVALLEY AUDIOというWebショップがあります。以前は「ザ・キット屋」という名前でした。確か豊田自動織機の社内ベンチャーか何かで始まった店だと思います。オーディオ好きの人は、真空管アンプをいつかは使ってみたいと思ってここの製品も候補に挙げるかもしれませんが、私に言わせればここの真空管アンプは「買ってはいけない」製品です。
私は今までここの真空管アンプのキットを3台買って組み立て、また真空管フォノイコライザーの完成品を1台買いました。今使っているのはイコライザーだけでアンプは使っていません。
「買ってはいけない」理由は、ここのエンジニアはエレクトロニクス製品の「素人」であり、電子部品の使い方が無茶苦茶で、その結果としてかなりの確率で短期間に壊れるからです。

写真はそのフォノイコライザーですが、これを例に使って説明します。この製品はマッキントッシュのC22という有名なプリアンプのフォノイコライザーの回路だけを真似したものです。真似をするのなら部品を含めて全てを真似ればいいと思いますが、ここの真似は回路だけです。
一番問題なのは写真の左から2番目のロータリースイッチです。ここにはアルプス電気製の、接点が外部に露出している「銀接点」のものが使われています。このスイッチはカートリッジのMMとMCを切り替えるもので、「微小電流」かつ「ほとんど操作されない」ものです。(今時のオーディオマニアが使っているカートリッジはほとんどMCであり、頻繁にMMとMCを切り替える人がたくさんいるとは思えません。)このような電流がごく小さくまたあまり操作もされないスイッチに銀接点のものを使うと、その接点の銀の表面が1~2年で硫化(空気中の硫黄分で銀が黒くなって電気を通さなくなること)します。つまりスイッチとして機能しなくなります。こういう所には「金メッキ」接点のスイッチを使うのが回路設計者の常識ですが、この会社はそういう常識をまるで持っていません。実際にこのフォノイコライザーは2年ぐらいの使用で、左チャンネルから音が出なくなり、原因はこのロータリースイッチで修理に出してロータリースイッチを交換してもらいました。(といっても同じ部品に交換しただけなので、多分また同じ不良が発生すると思います。)
また一番右のスイッチもロータリースイッチで、NKKスイッチズの製品です。これは電源スイッチですが、何故かON-ONの切り換え用のスイッチが使われています。もちろん端子の片方に結線しなければON-OFFとしても機能しますが、まともなエンジニアならそんな使い方はしません。何故なら端子が露出しているため、そこに金属片などが接触すれば、スイッチがショートする危険があるからです。
さらには、型番は忘れましたが、300Bのプリメインアンプには電源スイッチにオータックスのトグルスイッチが使われていました。こちらはスイッチの使い方としては間違っていませんが、スイッチというのは切ったり入れたりする時に突入電流が発生しますので、オーディオ回路でその対策をしないと、安物のギターアンプなどに良くありますが、スイッチを入り切りする度に「ボツッ」というノイズが入ります。こんなのはCR回路によるノイズキャンセラーを入れればいいだけですが、そういうことすら出来ていません。更にはこのアンプは半年ぐらい使った所でボリュームが故障して使えなくなりました。ボリュームを交換すればいいのでしょうが、ちょっと使い続ける気がしなくなりました。
私はここの製品は今後二度と買いません。

日立コール・ファミリエ 第19回演奏会

日立コール・ファミリエの合唱のコンサートに今年も行きました。今回で多分連続12回目くらいです。昔の上司3人が合唱団に参加しており、その中のお一人から毎年チケットをいただいています。合唱そのものよりも1年に1回昔の仲間に会う日になっています。メインの曲は指揮者の趣味で、かなりのマイナーな曲が多かったのですが、さすがに団員からクレームが出るようになったと見えて、一昨年はフォーレのレクイエムで、今年はモーツァルトのレクイエムです。有名曲のせいか、ソリストも歌い慣れており、また合唱団員の熱気も感じられてなかなか良い演奏で、今までで一番良いのではないかと思いました。ただ、リタイアされた方々がメンバーの中心であるため、年々平均年齢が上がっていっているのは否定しようがなく、数名の方が椅子に座っての合唱でした。それに比べると指揮者の木村義昭さんのお若いことにはびっくりします。もう80代半ばだということですが、まったく衰えを感じさせいない指揮振りで、モツレクでもうまくまとめていました。

NHK杯戦囲碁 林漢傑7段 対 寺山怜5段

本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が林漢傑7段、白番が寺山怜5段の対戦です。布石はお互いにじっくりした展開でしたが、局面が動いたのは右辺です。黒の林7段が右辺の高く開いた白に攻めを見せたのですが、それに対し白の寺山5段が右上隅の黒に肩付きを打ち、その後右辺は軽く見て何回も手を抜いて、下辺に先着したり、上辺に展開したりしました。最終的に次に黒に先に打たれれば死にという所でようやく右辺に手を戻し、活きを確かめました。黒は逆に左上隅で手を抜いて足早に左辺に展開していました。左上隅から延びる白がまだ一眼しかないのを狙って迫り、白が生きるために黒の継がなかった所を切った時に劫に弾きました。この劫はそういう意味で黒から仕掛けたものですが、白がもう一眼作る手順が冷静で損のないもので、最終的には黒は劫に勝ちましたが、白はその間に下辺を大きくまとめることが出来ました。ここで白が優勢になったように思います。ヨセに入って白にミスが2回ぐらいあって、右下隅が持ち込みを増やしてしまったりしましたが、大きな意味で形勢の逆転には至らず、結局白の4目勝ちに終わりました。

「タイムトンネル」第4話、”The day the sky fell in”(空が落ちてきた日)(真珠湾攻撃)

「タイムトンネル」の第4話、”The day the sky fell in”(空が落ちてきた日)を観ました。これが「タイム・トンネル」全30話の中で、2話だけ日本では放送されなかったものの内の1話です。トニーとダグはハレー彗星騒ぎに巻き込まれた後、今度は1941年の12月6日のハワイに飛ばされます。そうです、真珠湾攻撃の1日前です。(攻撃の日は日本では12月8日ですが、時差があるためハワイでは12月7日です。)トニーの父親は海軍少佐で真珠湾攻撃の後行方不明となり生死が分からなくなっていました。トニーは実の父親に会って警告し、その命を救おうとしますが…というストーリーです。トニーの父親は日本軍の爆撃で傷つきますが、真珠湾に向けて回航中の空母エンタープライズに向けて最後の力を振り絞って「これは演習では無い、引き返せ」という無線通信を行います。トニーはその父親に自分が息子であることを告白しますが、父親はおそらくトニーが未来から来たという事実を最後になって認識し、「私の小さな息子が生き延びてくれて良かった」と答えます。その後トニーとダグはそのビルから脱出しますが、更に日本軍の爆弾が落ち、ビルは完全に吹っ飛びます。これがトニーの父親が行方不明になった真相でした。なかなか感動的な回になっています。もちろんステレオタイプな日本人の描写(ハワイの日本大使館員)はありますが、それほど気になるものではありませんでした。

王銘エン9段の「棋士とAI - アルファ碁から始まった未来」

王銘エン9段の「棋士とAI - アルファ碁から始まった未来」を読了。アルファ碁に関する本はもうこれで何冊目になるか分からないくらい読んでいますが、この本はアルファ碁の打つ手の分析とかではなく、アルファ碁を中心としたAIの碁が人間の碁のはるか先を行くようになり、(アルファ碁の最新バージョンだと、人間のトップ棋士より既に三子強いのだとか)、そういう時代に棋士はどうAIと向き合っていくか、といった所を述べた本です。囲碁に限らず、これからありとあらゆる分野で人間がやってきた仕事はすべてAIに脅かされずにはいられないでしょう。そういう時代に人間としてどういう技能を強化して生き残っていくべきか、色々と考えさせられる本です。NHK杯戦の囲碁を毎週観ている限りでは、人間のAIの碁の研究はまだ本当に始まったばかりであり、人間がAIの良さを吸収してもう一歩上に行くにはまだかなり時間がかかると思います。日本の囲碁はいまや中国や韓国の後塵を拝するようになって久しいですが、AIはその中国や韓国の棋士に勝つための有用なツールであって、日本の棋士にとっては大きな武器になると思っています。