鳥羽水族館と言えば、見逃してはいけないのが、ダイオウグソクムシでしょう。ただ、実際に見たダイオウグソクムシは、ほとんど光があたらない水槽で、じっとしているだけで面白いものではありませんでした。ダンゴムシの仲間というより、フナムシに近いんだそうです。長いこと餌を食べなくても生きていけることで有名です。
投稿者「kanrisha」のアーカイブ
最相葉月の「星 新一 1001話をつくった人」
最相葉月の「星 新一 1001話をつくった人」読了。小林信彦ばかり読んでいる所に、何故星新一なのかというと、これも小林信彦に関係あります。ヒッチコックマガジンの編集長だった小林信彦(中原弓彦)は、何度もショートショートの特集をヒッチコックマガジン上で行い、山川方夫のような純文学の作家にまでショートショートを書かせたりしています。いわば日本でショートショートを定着させたのが小林信彦(中原弓彦)で、その枠組みに乗ってショートショートを量産したのが星新一ということになります。小林信彦と星新一はそういう編集者と作家という関係だったのですが、未確認情報ですが、星新一が小林信彦を嫌っていたというのがあり、そのあたりのことが載っていないかと、この本を手に取りました。小林信彦自身はこの本に当時の回想を語る役どころで登場し、彼自身は星新一について特に含むところはないようです。星新一が小林信彦をどう思っていたかの記述はありませんでした。
星新一の歴史は、ある意味日本のSFの歴史でもあり、本書には日本SF黎明期の事情がよく書かれています。個人的に興味があったのが、小林信彦(中原弓彦)がヒッチコックマガジンを出した同じ年にSFマガジンを創刊した福島正実です。癖のあった人だと聞いたことがありますが、この本によってある程度福島正実の人間を知ることができました。
星新一自身について、個人的な思い出は、小学校高学年から中学生にかけてよく読んだということです。この本によれば、星新一の最初の文庫本が新潮社から出たのが、私が小学4年生の時ですから、星新一が一番売れていた時代と私が星新一を読んでいた時代は重なります。この本に出てくる星新一の珍しい長編「気まぐれ指数」も小学生の時読んだのを思い出し、懐かしかったです。ただ、星新一の作品については、中学生の時代に読んだのが最後で、その後40年読んでいません。不思議とあまりもう一度読みたいと思わない作家です。また、SFも私の小中学生の時代は日本のSFの全盛期だったと思いますが、いまやすっかり衰退してしまいました。星新一も今の子供はまだ読んでいるのか、疑問を持っています。
後、意外だったのは、新井素子が世に出る時に、星新一が高く評価して後押ししていたということで、これは知りませんでした。
神代植物公園のバラ
コブダイ
小林信彦の「ドジリーヌ姫の優雅な冒険」
小林信彦の「ドジリーヌ姫の優雅な冒険」を再読。「大統領の晩餐」と並んで、小林信彦のグルメぶりが遺憾なく発揮されたある意味怪作です。元は雑誌「クロワッサン」の創刊時に12回連載されたもので、出版社側からの依頼は、明治時代の村井弦斎の「食道楽」の現代版ということでした。でも、それをそのままストレートに書いたりしないのが小林信彦で、主人公は、日活アクション映画から抜けてきたような超人ヒーロー二階堂秋彦のドジな奥さん、ドジリーヌ姫こと敏子さん。二階堂明彦は何故か料理にも異常に詳しく、それを敏子さんに教えていくという形で話は進みます。12話はバラエティに富んでいて、二階堂秋彦が超人にあるまじく太ってしまってダイエットする話や、小林信彦の生家を思わせる老舗の和菓子屋の話や、シャリアピンステーキの創始者の話など、実に楽しいです。その中に、全国各地での「雑煮」の違いを取り上げた話があって、懐かしく読みました。余談ですが、私は徳島に9年住みましたが、徳島では雑煮は元々尾張にいた蜂須賀家の家臣ゆかりの角餅を使ったもの、西日本で普通の丸餅を使っているもの、また祖谷のように米が取れないのでそもそも雑煮がない、など雑煮に関してはバラエティに富んでいるみたいです。
伊勢うどん
ショウジョウトキ
進め!ジャガーズ 敵前上陸
「進め!ジャガーズ 敵前上陸」を視聴。若き日の小林信彦(中原弓彦)が脚本を書いた唯一の映画。監督前田陽一。映画としては正直な所、あまり面白くなかったです。硫黄島と元日本兵が出てくるのがセンスの古さを感じさせました。ただ良かったのは、若き日の(1968年)てんぷくトリオが見られたことと、中村晃子の可愛さでした。また、「星の王子さま」と呼ばれていた頃の三遊亭圓楽(五代目)も出演しています。この映画が出来る経緯は、「袋小路の休日」の中の「根岸映画村」に詳しいです。