以前野鳥の写真に凝っていて、結局100種類くらい(日本で見ることが出来るのは約200種)は撮影したと思います。しかしライチョウだけは、登山をやっている知り合いから「撮ったことないだろう」と馬鹿にされたのが悔しかったのですが、ようやく撮影出来ました。もちろん重たい望遠レンズとカメラをかついて登山をするなんていう趣味はないので、飼育しているものです。大町市の山岳博物館の付属施設の自然園です。地味な方がメスです。ちなみに予想よりもサイズはかなり大きく、卵は鶏の卵より少し小さいくらいです。先祖は北米の七面鳥に近いそうで、それならサイズが大きいのは理解出来ます。高山地帯など寒いところに住むようになってサイズが小さくなったんでしょう。
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黒部ダム(2)
黒部ダム
故橋本昌二9段の直筆署名入り本(「松和・雄蔵」)
NHK杯戦囲碁 村川大介9段 対 鶴山淳志8段(2023年4月30日放送分)
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が村川大介9段、白番が鶴山淳志8段の対戦です。この二人は先期も当たり、その時は鶴山8段が勝っています。布石は黒が向かい小目から二間高ジマリで、また右下隅と左下隅で黒が三々に入ったので、左辺が白模様となりました。そこに入っていった黒を白が攻める展開になりました。それに関連して、白が左上隅の黒の根拠を奪って攻め、黒が単純に活きる手を打たず外の白を切って行きました。白は上辺の黒に切りを入れ、白2子の犠牲で中央の黒6子を取りました。その後左辺の黒への白の攻めとなり、その攻防が下辺に及び、黒は裂かれ形を承知で下辺に出て行き、その結果左下隅で劫になりました。しかし劫は黒が勝ち、左辺から中央の黒のしのぎが焦点になりました。しかし黒は先ほど下辺に突き出した壁を頼りに、中央の白を切って行き、逆に左辺下方の白への逆襲を敢行しました。ここから先は左辺下方の白と下辺右方の黒との攻め合いになり、形勢はまったく不明になりました。しかし右下隅の白を黒が取りに行ったのがミスもあって失敗し、下辺右方の黒は取られてしまいました。それでも黒は右上隅の地を大きくまとめて追い上げました。しかしその後中央の黒の眼が無くなり、また左辺の攻め合いになりましたが、白は下辺の6子を捨て、その結果下辺右方の黒が復活しまし、さらに左下隅の白が黒を取っていた所もセキになりましたが、その代償で中央の黒が攻め取りとはいえ取られて、差は縮まりませんでした。結局白の8目半勝ちでした。
碁石の黒石を椿油で磨く
ベン・アフレックの「エア」
「エア」を観て来ました。今月映画8本目で、いい加減に観たいものが無くなって来て、まあ観てみるか、という感じでしたが、なかなか良い「ビジネス」映画でした。1984年当時の話で、その頃バッシュのシェアはトップがCONVERSE、2位がAddidasで、NIKEのシェアはわずか17%で、撤退寸前でした。それが担当者がまだNBAに入る寸前のマイケル・ジョーダンに注目し、3人分の予算をつぎ込んでジョーダンの個人ブランドを作って一発逆転を図るという話です。なんか結構「こういうのビジネスであるある」が多くて、子供には分からない映画ですね。リスクの話ばかりして消極的だったCEOも最後にCEOらしいいい仕事をします。エアージョーダンの大成功でナイキはトップシェアになり、1996年にCONVERSEを買収しているんですね、知らなかった。それからAddidasの創業者の本当の名前が「アドルフ」で元ナチ党員だったというのが出て来ましたが、本当なんでしょうか。(今調べたら本当でした。)
古碁の棋譜
エイゼンシュテインの「アレクサンドル・ネフスキー」
エイゼンシュテインの「アレクサンドル・ネフスキー」を観ました。この映画のDVDは2年前くらいに買ったのですが、ロシアがウクライナに攻め込んだため、いわばロシア愛国映画なこれを観るのを保留していました。この映画は、しかし昔から音楽で知っています。この映画のBGMはプロコフィエフによって作曲されており、それがカンタータとして作り直されています。アバドの指揮する演奏のLPやCDを持っています。改めて映画で観てみて、その音楽が本当にぴたりと内容にはまっているのを確認出来ました。
アレクサンドル・ネフスキーは13世紀のノヴゴロド公国の王子で、まずスウェーデン軍をネヴァ川の戦いで打ち破ってから「ネヴァ川の」という意味の「ネフスキー」と後世呼ばれるようになります。さらにはこの映画で描かれているように、侵略して来た(といよりカトリックのギリシア正教に対する十字軍です)ドイツ騎士団と冬のチュド湖で戦い、これを打ち破っただけでなく、ドイツ騎士団が割れた氷によって湖に落ち、ほぼ全滅しています。(多分偶然でしょうけど、この映画ではアレクサンドルがノヴゴロド軍より重武装しているドイツ騎士団の兵士を、氷が薄い所に誘い込んでそうなった、ということにされています。)
アレクサンドルの時代は、実はロシアは東からはモンゴルによって侵略されており(タタールの軛)ましたが、モンゴルはアレクサンドルの武勇を恐れてノヴゴロドには攻め込まなかったようです。このように、ロシアは侵略ばかりしている国ではなく、歴史上はモンゴル、スウェーデン、ドイツ騎士団、ポーランドといった所から侵略も受けています。だからといってもちろんウクライナ侵攻が正当化される訳ではまったくありません。
ちなみに英語字幕でしたが、かなりひどいブロークンな英語でした。おそらく機械翻訳かと。
百田尚樹の「幻庵」
百田尚樹の「幻庵」(げんなん)を読了。これは週刊文春の連載時に読んでいて単行本は未購入ですが、文庫本化されていたため購入しました。「幻庵」とは江戸時代の囲碁の家元四家の内の井上家の十一世の幻庵因碩(げんなんいんせき)のことです。囲碁史上で、名人の実力がありながら名人になれなかった、ならなかった人四人を囲碁四哲と呼び、幻庵因碩はその一人です。幻庵因碩が活躍した文化文政から幕末にかけての時代は、日本で囲碁が非常に盛んになり、同時に棋士の実力も非常に向上した時代です。しかし同時に、特にこの幻庵因碩と本因坊丈和がある意味暗闘を繰り広げます。この両者は70局以上も対局している好敵手(この本では悪敵手と表現されています)ですが、丈和が名人碁所願いを出した時、本来はこの幻庵が争い碁を申し込んでそれを阻止すべきだったのですが、丈和に「6年後に名人を譲るから今回は推薦して欲しい」と言われて騙され、まんまと丈和が名人になります。これがこの人の人生での最初の大きなミス。二番目の大きなミスは、その丈和と対局して名人から引きずり降ろすチャンスが回って来たのに、自分で打たずに、自分より段位が低い弟子の赤星因徹に代わりに打たせたこと。確かにその当時の因徹は幻庵因碩とほぼ並びかけていた実力の持ち主で、仮に丈和が負けた場合はより低段のものに負けたということで名人引き下ろしがやりやすくなるという計算でした。その期待通り因徹は丈和相手に前半は見事な碁を打ちリードしますが、結核を患っていた因徹は対局の労苦に耐えられず徐々に丈和に形勢を挽回され、最後はミスもあって終に逆転負けに終わり、その瞬間血を吐いて倒れその後わずかな間に死んでしまいます。(天保吐血の局、と言います。)三回目はミスではなくチャンスだったのですが、丈和がある理由で名人で無くなったため、今度こそ幻庵因碩にチャンスが回って来ます。しかしそこに立ち塞がったのが、本因坊家跡目の秀和で、とうとう幻庵因碩は秀和の黒番に勝つことが出来ず、名人になれませんでした。ついでにその秀和も壮年期には実力的には他を圧倒していましたが、幻庵因碩の二代後の因碩との対局で実力的には劣る相手に白番で1目負けという痛恨の敗けをくらい、幕末で幕府が何かと忙しくて碁どころではなかったのもあって、秀和もまた名人になれませんでした。(ちなみにヒカルの碁で有名な本因坊秀策はこの秀和の弟子です。)
という具合にこの時代の各棋士の暗闘は本当に面白いので、この小説もなかなか面白いです。(最近の百田の本は買わないようにしていますが、これは例外。)囲碁を知らなくてもそれなりには理解出来ると思いますが、やはり囲碁を知って読んだ方がずっと面白いです。