核魚雷で500mの津波は可能か?

最近ロシアのポセイドンという一種の水中ドローンみたいな核魚雷が、例えば東京湾の入り口で爆発したら、500mの津波が東京を襲う、といったヨタ記事を見かけますが、

(1)東京湾の水深は平均25m
(2)東京湾の面積は1,500K㎡

(1)からして大平洋の海水を瞬間的に東京湾に移動させない限り、300mとか500mの津波は不可能です。
また(2)の面積から言っても局部的ではあっても東京湾の海面高さをそこまで持ち上げるだけの量の海水を瞬間的に移動させることは、いくら最大級の水爆であっても不可能と思います。
もっとも10mの津波でも壊滅的被害は起きますから、危険を考えないでいいということにはなりませんが。
ちなみにアメリカ軍がビキニ環礁で行った水中核爆発実験では、原爆ですけど、水中27mで爆発させて、日本の戦艦長門などのテスト用の船舶を沈めることすら出来ませんでした。
おそらく500mというのは魚雷の爆発直後にその周辺海域が、おそらく極狭い範囲でそれだけ吹き上がるということでしょう。それがそのまま500mを維持して東京を襲うというのはまずあり得ないでしょう。ちなみにご承知の通り、東日本大震災はマグニチュード9レベルで、最大級の水爆よりはるかにエネルギーが大きかったですが(現在の最大の水爆の10倍のエネルギー)、津波の最大高さは40mでした。

トワイライト・ゾーンの”The Trouble with Templeton”

トワイライト・ゾーンの”The Trouble with Templeton”を観ました。ブース・テンプルトンは、ハリウッドで30年以上も活躍している男優です。庭では彼の2番目の若い妻が今日も新しい男を連れ込んでプールサイドでじゃれ合っています。彼は18歳の時に結婚し、その7年後に死んだ最初の妻ローラと、彼の若い時代を懐かしんでいます。テンプルトンはある劇のリハーサル初日に遅れて到着します。劇のディレクターはスポンサーの意向で若いやり手の男に変わっていますが、その男はテンプルトンの遅刻を激しくなじります。いたたまれなくなったテンプルトンは出ていきますが、外では多くの観客が彼を待ち受け拍手していました。テンプルトンが壁に貼られたポスターを見ると、それは彼が主演のドラマのもので、1927年となっていました。テンプルトンは30年前に戻っていました。ある男がローラが彼をあるスピークイージー(禁酒法時代の闇バー)で待っていると言い、テンプルトンはそこでローラと、また親友であったバーニーもそこにいました。喜んだテンプルトンでしたが、ローラは彼が知っているような女性ではなく、スピークイージーのジャズに合わせて踊り狂う蓮っ葉な女性でした。テンプルトンはバーニーとローラーに必死になって未来から来たことを説明しようとしましたが、まるで理解してもらえません。そしてローラを静かな場所に連れて行こうとしたテンプルトンに、ローラは「ここはあんたのいる場所ではない、元の場所に帰ったら」と言われ、ショックを受け店を出ます。その時にローラが手に持っていたパンフレットを持ってきていました。元の劇場に戻ると、時代も元に戻っていました。そこでテンプルトンは手にしていたパンフレットに気付くと、それは台本でした。その中には先ほどバーニーやローラーがしゃべった言葉がそっくりそのまま書かれていました。テンプルトンはローラの態度が芝居で、おそらくは彼が過去に戻りたがっているのを諫めるために芝居をしたのだ、ということが分り、もう一度今の世界でやっていくことを決意し、若いディレクターに謝りながらも毅然とした態度で接し、若いディレクターは態度を変えてテンプルトンを敬うような調子に変わります。第1シーズンでやはり大女優が年老いて自分の若い頃の映画ばかりを観て、ついにはその映画の世界に入ってしまう、というのがありましたが、それと好対照のエピソードでした。

ヴェーバーの誤り:母権制とメンナーハウス

マックス・ヴェーバーの「支配の社会学」の中に、「母権制」は「メンナーハウス」(戦士宿)で男子が戦士としての腕を磨くために共同で暮して家を空けた制度の名残であろうと説明しています。そしてWikipediaの「男子集会所」の項はこのヴェーバー説を正しいと認められた理論であるかのように引用しています。
しかし、
(1)まず「母権制」という概念自体がインチキで、スイスのバッハオーフェンという人が19世紀中頃に主張した説で、大昔は結婚制度がなく乱婚状態で、その場合父親が誰かは分りにくいけれど、母親が誰かは分るので、母親を中心とした家が作られた、というまったく歴史的事実に裏付けされないトンデモ説であり、いわゆるマルクス主義の原始共産制という概念もこれに基づいています。
(2)「母権制」といえる、女性が権力を継承するという社会は、世界全体では非常にまれで、「母系制」と混同しています。母系制は女性が権力を得るというものではなく、子供が母親の家系の成員となりその財産を相続するというものです。ただ、実際には母親の財産を管理しているのは男性の兄弟だったり息子だったりしますので、必ずしも女性が家長権を握っている訳ではありません。(母系制については中根千枝先生がいくつか論文を書かれています。)
(3)メンナーハウスがある所に(あった所に)、母系制社会があったというのも証明されていないと思います。メンナーハウスで一番有名なのはおそらくスパルタでしょうが、スパルタが母系社会であったというのは聞いたことがないです。
マックス・ヴェーバーの欠点は2次文献、3次3文献で得た知識を性急に一般化してしまうことで、これなんかまさしくそうだと言えます。

アウター・リミッツの”The Human Factor”

アウター・リミッツの”The Human Factor”を観ました。場所はグリーンランドの北方にあるおそらくアメリカのレーダー+核ミサイル基地で、約200名の男性と若干の女性が任務のためそこに住んでいました。そこの医者であるハミルトン博士はその女性助手であるケラーマンと、お互いの脳を接続して共有する装置の実験をしていました。その実験は上手く行きましたが、ケラーマンが博士を愛していたのに、博士は愛という感情を重視していない、という結果になりました。基地には核兵器のエンジニアであるロジャー・ブラザースがいましたが、彼は屋外の作業で部下がクレバスの中に落ちたのを助けずに見殺しにしていました。その罪の意識から、その部下が蘇って彼を襲うという幻覚を見るようになっていました。この幻覚から逃げるため、基地の核兵器を爆破させ、クレバスごと破壊しまた基地全体も吹っ飛ばし、自分も死のうとしていました。そんな状態の彼がハミルトン博士の所に診断のため連れてこられます。博士は例の装置を使って、ブラザースの心を読み取ろうとしますが、その最中に地震が起きて装置が切れますが、その瞬間に二人の心が入れ替わってしまいます。ブラザースの姿の博士は自分が博士であることを何とか証明しようとしますが、結局ベッドに縛り付けられて鎮静剤を打たれて気を失います。今は博士の姿のブラザースは、基地の司令官に核兵器の起爆装置を見せるように要求します。一方ケラーマンは、研究室に残された博士のメモから二人が入れ替わった可能性を察知し、ブラザースの姿の博士に会いに行き、博士が二人しか知らないことを話したので、入れ替わりを確信します。ケラーマンは鍵を盗んで博士を解放します。核兵器起爆に失敗し一度研究室に戻って来たブラザースと博士が対決し、ブラザースは自分の姿の博士を撃ちます。しかしギリギリの瞬間で二人の心は再度入れ替わり、元の姿に戻ったブラザースは息を引き取ります。
博士はケラーマンに何故自分だと分ったか聞きましたが、ケラーマンは私が愛していたのは博士の心だと答え、博士も今こそケラーを愛するようになります。
しかし氷と雪に1年中閉ざされた核兵器基地で働いていたら、心が病む兵士が出てきてもまったくおかしくないな、と現実的な恐怖が湧いてくる話でした。
ちなみに博士を演じた俳優は、タイムトンネルの第一話の上院議員を演じていたゲイリー・メリルです。

NHK杯戦囲碁 芝野虎丸9段 対 謝依旻7段(2022年10月23日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が芝野虎丸9段、白番が謝依旻7段の好カードです。布石では白が三隅を取り、黒が右辺と左辺の模様で対抗という碁になりました。黒は全体的に厚い手を打って自分の弱みを消してから、強い手を打って白を攻めるというのが一貫していました。それに対して白の謝7段の逆襲が見られず、一方的に黒の横綱相撲を見せられた感じです。特に黒が中央の白を攻めながら右下隅を大きくまとめたのが、巧妙でした。ヨセで黒が左下隅をハネたのに白が押さえたため黒が切り、ここが劫になり、黒は左辺ワタリのコウダテに受けずに劫を解消しました。この結果、左辺の黒地が半減しましたが、右下隅が白地がほぼ無くなり逆に黒地が数目付き、別れとしては互角だったかもしれませんが、局面が整理され、白からの逆転のための策動の余地が無くなり、黒の勝勢になりました。白の中央の地も上下が空いていたので大きくまとまることはなく、白の投了となりました。これで今期の女流棋士は全員敗退しました。

自宅サーバーのリニューアル開始

自宅のWeb・メールサーバーのリニューアルを開始しました。
これまでは3年に1回サーバーマシン(といってもドスパラの普通のミニタワーPCです)を新しくしていましたが、今使っているサーバーからストレージをHDDからSSDに変えたので、まあ4年は保つだろうということで、今が丁度4年です。
今のサーバーのOSはCentOS 7ですが、ご承知の通り、CentOSは開発が中止になったので、Almalinux 8を使います。既に会社で一度インストールしているので、多分大きな問題は無いと思います。実際問題使っていて、CentOSとAlmalinuxの違いは全くといっていいほどありません。まあどちらもRedHatだから当り前ですが。
取り敢えずブートディスクを作って、インストーラーのanacondaが起動するかどうかをチェックしました。

トワイライト・ゾーンの”The Lateness of the Hour”

トワイライト・ゾーンの”The Lateness of the Hour”を観ました。ある洋館の中で、両親と娘が一人、そしてメイドが一人いて、母親の肩を揉んでいます。娘のジャナは父親が築いたある意味「完璧な」屋敷とその召使い達にウンザリしています。そして家にあるアルバムを調べ、自分の小さい頃の写真が一枚も無いことを発見します。実はその家の召使い達5人ほどは、すべて父親が作ったロボットでした。ジャナは普通の人間の暮しがしたいと駄々をこねて、ロボット達を壊さないと出ていくと言います。最初は拒否していた父親ですが、ジャナが本当に荷物をまとめているのを見て、ロボット達をお払い箱にします。しかし彼ら・彼女らは「私達に何か落ち度がありましたか?」と聞くほど、高度に人間的なロボットでした。ジャナはロボット達がいなくなったことを喜びますが、やがて自分も父親が作ったロボットではないかと言い始めます。その証拠に手を階段の手すりに打ち付けても痛みを感じませんでした。そうです、その通りでジャナも子供のいない夫婦として父親が精巧に作ったロボットでした。ジャナはそれが分ってパニックを起こします。次のシーンで、誰かが母親の肩を揉んでいます。それはメイドに作り替えられたジャナでした…
というエピソードです。ジャナもロボットなんだろうなというのは、10分くらい見てすぐ分りました。

アウター・リミッツの”O.B.I.T.”

アウター・リミッツの”O.B.I.T.”を観ました。アメリカのある研究所で、何やら係員が怪しげな装置を操作しています。その装置では、研究所内の全ての人員が今何をしているか、何をしゃべっているかをモニター可能で、その係員はある研究者の反政府的発言を録音していました。突然その装置のディスプレイに怪物のようなものが映り、気がつけばその怪物は係員の後ろに回って、係員を絞め殺してしまいます。その研究所は今回の殺人事件以外にも自殺や争い等々の問題が多くあったため、その調査にオーヴィルという上院議員がやって来ます。彼は研究所の人員を尋問して、その怪しげな装置に気が付き、国防相関係者がマル秘と言い張るのを撥ね除け、それがO.B.I.T.と呼ばれる装置で、研究所内の監視に使われていたことを知ります。オーヴィルは所長が不在なのに気が付き、居場所を問い質しますが、その男は一種の精神障害的に扱われ隔離されていました。オーヴィルはその隔離場所を突き止め、所長にインタビューしますが、所長はある怪物、つまり最初に出てきた怪物を自身も目撃していたのですが、誰にも信じてもらえず、ここに隔離されていました。オーヴィルは所長を研究所に戻し、全員を集めて尋問を続けます。所長はO.B.I.T.を使って自分の妻を監視しており、最初はほんの少しだけのつもりがどんどん常習になって、ついにはその浮気現場を見てしまいます。尋問を続けていって、ついにローマックスという研究員が本体を現わし、O.B.I.T.のモニターにはあの怪物が映っていました。その怪物はエイリアンで地球征服のため、地球人同士に不和を与えるためにO.B.I.T.をばらまいていた、というオチでした。
うーん、ウルトラセブンにも似たような話がいくつかありましたが、セブンの場合はそのエイリアンをセブンが最終的に倒すのでカタルシスがありますが、このアウター・リミッツでは何だか後味の悪さが残ってすっきりしません。よくこんなに娯楽性が乏しいドラマが長続きしたな、と逆に感心します。

トワイライト・ゾーンの”Nick of Time”

トワイライト・ゾーンの”Nick of Time”を観ました。主演男優は何とカーク船長のウィリアム・シャトナーです!
ドン(ウィリアム・シャトナー)とパットは新婚旅行中でオハイオからニューヨークに行こうとしていた所車が故障し、レッカー車で修理工場に運ばれます。あいにく交換部品が取り寄せで、修理に4時間かかると言われ、二人は時間つぶしに町のダイナーに入ります。そこのテーブルに、ワンコインを入れてYesかNoの質問をすると運命を答えてくれるというマシンがあり、ドンは暇つぶしにやってみますが、それがぴたりの答えを出すので驚き「私の昇進はOKになったか?」と聞くと「あなたの望みの結果になりました」と出ました。そこで会社に電話して上司の秘書の女性に聞くと、間違いなくドンはオフィスのマネージャーへの昇格が決まっていました。そこでドンは続けてマシンに質問を発すると、マシンは何か良くないことが起きるので、15時まではここにいた方がいいと答えます。しかしパットが出ようというので二人は2時40分頃店を出ます。しかし道路を横断しようとして二人はトラックに轢かれかかりますが、その時間がぴったり15時でした。これですっかりマシンを信用したドンは、パットの反対を押し切ってまたダイナーに戻ります。ドンはマシンに次々コインを入れ、自分の未来の全てをマシンから聴きだそうとします。「自動車の修理はすぐ済むか」と聞いたら「もう修理は終っている」という答えでそれとほぼ同時に修理工場から部品が見つかり修理は終った、という連絡が来ます。的中率100%のマシンに対し、ドンは自分がどこに住むのか聴こうとして、地名を挙げて質問していきますが、全てNoでした。そんなドンに対しパットは運命はマシンに聴くものではなく、自分で決めて切り開くものだ諭し、ようやくドンもl目が覚め、二人はニューヨークに向けて出発します。二人が店を出たすぐ後、眼が血走ったような男女が現われ、マシンにコインを次々に投入して答えを聞いていきます。しかし何か良くない答えばかりのようで、二人は絶望に打ちひしがれます。
ということで、ウィリアム・シャトナーのちょっと若い日々の姿を見れたのは良かったですが、話はもう少しひねって欲しかったです。例えばオペラの「スペードの女王」のように、マシンの言う通りにして成功するけど、最後に裏切られるとかです。

アウター・リミッツの”The Man Who Was Never Born”

アウター・リミッツの”The Man Who Was Never Born”を観ました。これは6番目のエピソードですが、これまでので一番良かった「SF悲恋もの」でした。
ある宇宙飛行士が宇宙を航行中に、時空を超えるトンネルのようなものの中にロケットごと吸い込まれます。地球に帰還してみると、そこはまったく違った荒涼とした風景になっていました。そこには顔が腫れて怪物のようになった人類がわずかに棲息していました。飛行士は1963年から2148年の未来に移動していました。その怪物のような人、アンドロの説明によると、ベルトラム・カボット・ジュニアという生物学者が、宇宙のウィルスを操作して新種のウィルスを作り出し、それが人々の生殖能力を奪い、また姿を醜く変えて、風景すらも荒涼としたものに変えてしまったと言います。最後の人類として死ぬのを待つだけ、と言ったアンドロに対し、宇宙飛行士は元の時代に戻って、そういう未来が起きないように変えるべきだと言い、アンドロを連れて再度元の時代に戻ろうとします。首尾良く元の時空トンネルみたいなものに入れましたが、宇宙飛行士は何かの理由で消えてしまいます。アンドロは一人で昔の地球に来ました。そこでカボットを殺害しようと計画します。しかし、時代は早すぎ、まだカボットは生れていませんでした。そのため、将来カボットの母親となるノエルがジュニアの父であるカボット・シニア-と結婚するのを阻止しようとします。「卒業」ばりに結婚式に乱入したアンドロは、カボット・シニアを銃で撃とうとして失敗し、それまで催眠術で本当の姿をごまかしていたのが、多くの人に正体を見られてしまいます。しかしノエルは何故かそんなアンドロを愛してしまい、結婚式を抜けてアンドロを追います。ノエルはアンドロに彼の世界に連れて行ってと頼みます。追っ手を振り切って二人はロケットで未来にもどろうとしますが、ノエルがカボット・シニアと結婚しなかったことによって未来が変わってしまい、その結果アンドロ自体が生れてこないことになります。(これがタイトルの意味で、カボット・ジュニアとアンドロの両方をかけていて秀逸です。)結局宇宙船の中でアンドロは消滅してしまい、残されたノエルが泣き叫ぶ所で終わりになります。通常未来の地球が滅んでいるとしたら、核戦争が通常パターンですが、新ウィルスによって人類が滅亡しかけるという設定が珍しいですが、COVID-19を経験したばかりの私達にはなかなか笑えない話でした。