宮島未奈の「成瀬は天下を取りにいく」「成瀬は信じた道をいく」を読了しました。この二冊は前から書店で見かけていましたが、買ってみるまでには至らず、今回「天下を取りにいく」の方が本屋大賞を受賞したので、読んでみたもの。うーん、タイトルと中身にギャップがあり、「天下を取りにいく」という割りには、主人公成瀬のやっていることが、閉店予定の西武デパートにライオンズのユニフォーム着て通うとか、大津観光大使になるとか地味すぎ。全体に成瀬より作者の地元愛(といっても生まれは静岡の人で、大津在住になったのは30歳過ぎてからのようですが)の方が微笑ましく感じます。またWikipediaによると、三浦しをんの「風が強く吹いている」(箱根駅伝もの)を読んで自分には才能が無いと思って作家を諦めたのが、森見登美彦の「夜行」を読んで刺激を受け再度作家を目差したというのが、私の読書傾向ともかなり重なっていて少し親近感を覚えました。また作者は京大文学部出身で(森見登美彦も京大ですが)、成瀬のキャラクターや経歴の半分くらいは作者のものの投影でしょうね。大体成瀬のとても頭はいいけどかなりマイペースで周囲から浮いてて、時々突飛なことをやる、という人はまあ高校(進学校)とか大学の時にそれなりに知っているので、私には珍しいキャラではなかったです。全体には佳作という感じで、本屋大賞?にはそこまでかな、とは思いました。まあ日頃本をあまり読まない人には読みやすいでしょう。