NHK杯戦囲碁 金沢真7段 対 山城宏9段

jpeg000-4本日のNHK杯戦の囲碁は、黒が金沢真7段、白が山城宏9段の対局。序盤黒は下辺と右辺に展開し、右辺に白が割り打ちしたのに黒が付けていき、白が跳ねて黒が引き、白が継いで黒が曲がった時に白は隅に付けていきました。黒が跳ねて白は切り違いました。この後の折衝で白は右辺の黒3子を取ってうまくさばきました。ここで白が優勢になりましたが、黒は右辺の白に付けていき、取られた3子を利用して白を4目中手にすると脅かし、結果として下辺から中央にかけて大きな地模様を築くことが出来ました。白はこの地模様を上から浅く消しに行きました。(写真の場面)黒はこれに対し下からは受けずに攻めを見ました。その後の折衝でこの黒の攻めは不発で、白に2手手を抜かれて上辺と左上隅を囲われてしまいましたが、中央の白には簡単に活きられてしまいました。ここで白が逆転して優勢になりました。黒はその後中央に地を付けようとしましたが、侵入してきた白に対し劫を挑みました。しかしながら、黒は劫材が続かず、右辺で損劫を打たされました。その右辺もまた劫になり、あちこちで劫が残って目まぐるしい展開でした。黒は追い上げましたが、わずかに足らず、終わってみれば白の半目勝ちでした。

NHK杯戦囲碁 鈴木歩7段 対 余正麒7段

jpeg000 233本日のNHK杯戦の囲碁は黒が鈴木歩7段、白が余正麒7段です。鈴木7段は1回戦で淡路修三9段を見事破っての勝ちあがり、余7段は1回戦シードです。対局は序盤鈴木7段が右下隅に厚みを築きます。それに対し白が左下隅にかかって行きましたが、黒はこの白を攻める展開になりました。結果的に白は黒の包囲網の中で治まり、黒は中央で厚みを築きました。上辺が黒模様になったので白は上辺に打ち込みました。この白を攻める過程で、黒は左上隅の白に対し、地をえぐって攻めましたが、白はここで挟み付けを打って黒の厚みを分断しました。その後の折衝で大きな劫になりました。白は左上隅に潜り込んだ黒の眼を取る劫立てを打ち、黒はそれを受けずに劫を解消しました。黒の課題としては左上隅で取られた黒をうまく利用して締め付け、上辺の白を取ってしまうことでしたが、結果的にうまくいかず、ここで白が優勢になりました。ヨセでは白は固く打ったので黒は頑張って追い上げ、一時はかなり形勢が接近しました。しかしながら、白が左上隅から上辺に渡ろうとしたのが大きく、黒はこれを劫で阻止しようとしました。しかし劫立ては白の方が多く、劫は白が勝ってここで白が再度優勢になりました。終わってみて、白の2目半勝ちでした。今期のNHK杯戦で女流が3人2回戦に進みましたが、2人が敗れ、残りは謝依旻6段のみとなりました。

NHK杯戦囲碁 寺山怜4段 対 山田規三生9段

jpeg000 224本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が寺山怜4段、白番が山田規三生9段の対戦です。寺山4段は先期、初出場で準優勝という快挙を成し遂げており、今期1回戦はシードで2回戦からの出場です。山田9段は1回戦で坂井秀至8段を破っての2回戦進出です。
対局は寺山4段が、1・3手で両高目と最近実に珍しい意欲的な布石です。その後も1手目の高目から左横に一間に開いたりと、実に厚みを意識した打ち方で進めていきます。これに対し山田9段は各所で実利を稼いで、いわゆるあまし作戦です。寺山4段が上辺一帯を大模様にしたのに対し、山田9段は右上隅の三々に入りました。ここで山田9段は先手で活きる手段がありながら、手堅く後手活きを選択しました。このため、一手遅れ、左上隅に上辺から黒が2線にコスんだのを受けられず、続けて三々に入られ、左上隅の白地を小さくされ、かついじめられました。山田9段は黒の上辺から一間に飛んだ石に割り込んで逆襲を狙いましたが、結果的にこの手は不発でした。ここではっきり黒が優勢になりました。その後も白の左辺から延びた大石が攻められ、白は左辺の黒の薄みをついて逆襲しながら活きようとしましたが、うまくいかず、白は単に活きるだけになり、ここで黒の勝勢となりました。黒は最終局面では、「一石」というすべての石がつながった状態になりました。一般的には「一石」になると、なった方の勝ちと言われています。終わってみれば黒の6目半勝ちでした。寺山4段は今期も大暴れしそうです。

NHK杯戦囲碁 山下敬吾9段 対 藤沢里菜3段

jpeg000 219本日のNHK杯戦の囲碁は、黒が山下敬吾9段、白が藤沢里菜3段の対戦。山下9段は、井山7冠王にタイトルを独占されて、タイトルからは遠ざかっていますが、実質的には日本のNo.2でしょう。一方、藤沢3段は1回戦で王銘エン9段を見事に破って、どこまで勝ち上がるか期待されています。対局は、黒の山下9段がほぼ常に攻勢を続け、白が下辺に打ち込んだ石と、左下隅から延びる石をからみにして攻め、白は結局、下辺から延びる石に色々利きを見られながら、左下隅から延びる石を封鎖され、この石を2手かけて生きなければならなかったのが辛く、ここで黒が優勢になりました。その後、白は黒の右辺の地を減らし、下辺から延びる石も黒3石を取って生きたのですが、その代償で左辺の石を劫にもならず取られてしまい、さらに左上隅も取られてここで投了となりました。

NH杯戦囲碁 藤井秀哉7段 対 一力遼7段

jpeg000 199本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が藤井秀哉7段、白番が一力遼7段の一戦。2回戦の第1局です。一力遼7段は前々回の準優勝者です。対局は、左下隅にかかった白石に黒がこすみつけ、普通白は真っ直ぐ立つのですが、一力7段はかけて打ち、黒がぐずんで白が押さえて黒が切るという序盤からいきなり戦いになりました。白は左辺から伸びる大石を攻められましたが、結局黒は包囲していた黒石の一部を捨て、その代わりに上辺一帯で白5子を取り込みました。この結果は互角だったと思います。その後、白が右下隅に手を付け生き、逆に黒が右上隅に手を付けましたが、この時大きく生きようとしたのに対し、白がうまく取られていた5子を利用し、結局この5子が生還し、上辺の黒も取られてしまいました。代償で黒は右辺をまとめましたが、この収支では明らかに白が得しており、ここで勝負がつき、白の中押し勝ちでした。

天頂の囲碁6 九路盤定先で今度は3目勝ち

201608021天頂の囲碁6、30秒設定で定先の九路盤での対局、今度は3目勝ちしました。同じ布石です。1、3と2、4の平行型の配石から、5につけて、6とはねた時に、7と突っ張るのが変な手ですが私の工夫で、コンピューターは当然8と当ててきますが、9についで白に断点が2つ残ります。この手はコンピューター相手に勝率がいいです。

NHK杯囲碁 柳時熏9段 対 張豊猷8段

jpeg000 188本日のNHK杯戦の囲碁は、黒が柳時熏9段、白が張豊猷8段の対局。柳9段は天元4期タイトル獲得などの実績を持つ強豪。張8段は、平成26年に第39期碁聖戦挑戦者決定戦に進出した実力派です。ただ、これまでの対戦成績は柳9段から見て4勝で、張8段が初勝利を挙げられるかが注目です。
布石は両2連星という最近珍しいものです。左下隅で黒がかかったのに白が一間にはさんだのに黒が手を抜いて右下隅をしまり、さらに右辺を白が割り打ちして、黒が左下隅の一間にはさんだ白につけていったのを、白がはねこんだのが珍しく、黒は考慮時間を3回連続で使う長考。結局、黒が下辺で実利に着き、白が左辺に厚みを築きました。黒はその後左辺を割り打ちし、そこから2間に開いて、逆に白の厚みを攻める体制になりました。その後白は中央を切断され、左下隅を生きることになりましたが、目2つの生きで、黒からの利きが残りました。黒はその後左上隅に手をつけていき、うまく生きることになりました。このまま寄せて黒やや良しかと思いましたが、黒はさらに上辺の石を逃げ出しました。この大石が生きるか死ぬかの勝負になりました。黒はぎりぎりまで追い詰められましたが、右上隅から延びる白石に逆襲したのが鋭く、攻め合い含みで無事に2眼を作ることが出来ました。その後白は右下隅に手をつけていきましたが、手にはならず、結局黒の中押し勝ちで、張8段は柳9段に一矢報いることは出来ませんでした。

NHK杯囲碁 金秀俊8段 対 溝上知親9段

今日のNHK杯戦の囲碁は、金秀俊8段の黒番、溝上知親9段の白番です。金8段は趙治勲門下で、力が強いです。溝上9段は菊池康郎門下で、各種リーグ戦で活躍する強豪です。対局は右上隅で金8段が一手かけて2線の石をかけついだのが珍しく、その代償に上辺をほとんど封鎖されてしまいました。しかしながら封鎖している白石にいきなりつけこし、ここから戦いになりました。この戦いは白の溝上9段が固く受けたため、中央は黒が制して下辺が広大な黒模様になりました。白は下辺に打ち込んでいき、さらに右下隅にも打ち込んで何とかさばこうとします。これに対し黒は白の全部を取りに行きましたが、これがやりすぎで、白にうまく治まられてしまいました。それでも黒地は全体的に多く、まだ黒が優勢でしたが、白は最後の勝負ということで、中央の厚みになっている黒を狙いました。黒はどこかで手厚く打っていれば勝ちだったのですが、いっぱいに打っている内にある意味放心の手が出て、中央を取り込まれてしまいました。さしもの黒の好局もこれで逆転し、終わってみれば白の4目半勝ちでした。