NH杯戦囲碁 藤井秀哉7段 対 一力遼7段

jpeg000 199本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が藤井秀哉7段、白番が一力遼7段の一戦。2回戦の第1局です。一力遼7段は前々回の準優勝者です。対局は、左下隅にかかった白石に黒がこすみつけ、普通白は真っ直ぐ立つのですが、一力7段はかけて打ち、黒がぐずんで白が押さえて黒が切るという序盤からいきなり戦いになりました。白は左辺から伸びる大石を攻められましたが、結局黒は包囲していた黒石の一部を捨て、その代わりに上辺一帯で白5子を取り込みました。この結果は互角だったと思います。その後、白が右下隅に手を付け生き、逆に黒が右上隅に手を付けましたが、この時大きく生きようとしたのに対し、白がうまく取られていた5子を利用し、結局この5子が生還し、上辺の黒も取られてしまいました。代償で黒は右辺をまとめましたが、この収支では明らかに白が得しており、ここで勝負がつき、白の中押し勝ちでした。

天頂の囲碁6 九路盤定先で今度は3目勝ち

201608021天頂の囲碁6、30秒設定で定先の九路盤での対局、今度は3目勝ちしました。同じ布石です。1、3と2、4の平行型の配石から、5につけて、6とはねた時に、7と突っ張るのが変な手ですが私の工夫で、コンピューターは当然8と当ててきますが、9についで白に断点が2つ残ります。この手はコンピューター相手に勝率がいいです。

NHK杯囲碁 柳時熏9段 対 張豊猷8段

jpeg000 188本日のNHK杯戦の囲碁は、黒が柳時熏9段、白が張豊猷8段の対局。柳9段は天元4期タイトル獲得などの実績を持つ強豪。張8段は、平成26年に第39期碁聖戦挑戦者決定戦に進出した実力派です。ただ、これまでの対戦成績は柳9段から見て4勝で、張8段が初勝利を挙げられるかが注目です。
布石は両2連星という最近珍しいものです。左下隅で黒がかかったのに白が一間にはさんだのに黒が手を抜いて右下隅をしまり、さらに右辺を白が割り打ちして、黒が左下隅の一間にはさんだ白につけていったのを、白がはねこんだのが珍しく、黒は考慮時間を3回連続で使う長考。結局、黒が下辺で実利に着き、白が左辺に厚みを築きました。黒はその後左辺を割り打ちし、そこから2間に開いて、逆に白の厚みを攻める体制になりました。その後白は中央を切断され、左下隅を生きることになりましたが、目2つの生きで、黒からの利きが残りました。黒はその後左上隅に手をつけていき、うまく生きることになりました。このまま寄せて黒やや良しかと思いましたが、黒はさらに上辺の石を逃げ出しました。この大石が生きるか死ぬかの勝負になりました。黒はぎりぎりまで追い詰められましたが、右上隅から延びる白石に逆襲したのが鋭く、攻め合い含みで無事に2眼を作ることが出来ました。その後白は右下隅に手をつけていきましたが、手にはならず、結局黒の中押し勝ちで、張8段は柳9段に一矢報いることは出来ませんでした。

NHK杯囲碁 金秀俊8段 対 溝上知親9段

今日のNHK杯戦の囲碁は、金秀俊8段の黒番、溝上知親9段の白番です。金8段は趙治勲門下で、力が強いです。溝上9段は菊池康郎門下で、各種リーグ戦で活躍する強豪です。対局は右上隅で金8段が一手かけて2線の石をかけついだのが珍しく、その代償に上辺をほとんど封鎖されてしまいました。しかしながら封鎖している白石にいきなりつけこし、ここから戦いになりました。この戦いは白の溝上9段が固く受けたため、中央は黒が制して下辺が広大な黒模様になりました。白は下辺に打ち込んでいき、さらに右下隅にも打ち込んで何とかさばこうとします。これに対し黒は白の全部を取りに行きましたが、これがやりすぎで、白にうまく治まられてしまいました。それでも黒地は全体的に多く、まだ黒が優勢でしたが、白は最後の勝負ということで、中央の厚みになっている黒を狙いました。黒はどこかで手厚く打っていれば勝ちだったのですが、いっぱいに打っている内にある意味放心の手が出て、中央を取り込まれてしまいました。さしもの黒の好局もこれで逆転し、終わってみれば白の4目半勝ちでした。

NHK杯戦囲碁 趙善津9段 対 芝野虎丸2段

jpeg000 166本日のNHK杯戦の囲碁は、趙善津9段の黒番、芝野虎丸2段の白番。趙善津9段は、本因坊を獲得したこともあるベテランの強豪です。対する芝野2段は平成27年の勝率No.1で、NHK杯戦初出場です。まだ16歳です。対局は、上辺で競い合いになりましたが、白が中央に一間に飛んだ所に、黒が割り込んだのが鋭い手筋と思われましたが、白がそれに構わず、左辺から出た手がさらに鋭い返し技で、結局中央は黒が厚くなりましたが、白は左辺の黒を切り離しました。黒はその後、左上隅を生き、白も上辺を生きたのですが、左辺の黒は取られてしまいました。一応攻め取りで、左辺からか、中央からかの締め付けが利く形でしたが、結論としてはどちらも大したことはありませんでした。黒は残った右辺を広げましたが、右上隅から手をつけられ、隅は劫になって勝ちましたが、右辺で白に地を持って治まられてしまいました。少し黒が足らない形勢のままヨセが進み、結局白の2目半勝ちでした。

NHK杯戦囲碁 依田紀基九段 対 三村智保九段

本日のNHK杯戦の囲碁は、黒が依田紀基九段、白が三村智保九段の対戦です。依田九段は、数々のタイトルを取り、NHK杯戦も優勝5回(内3年連続1回)という強豪です。三村九段はタイトルこそ取っていませんが、各種リーグ戦に長く在籍した強豪です。またどちらも故藤沢秀行名誉棋聖の薫陶を受けています。(三村九段は藤沢門下です。)
対局は黒の依田九段が仕掛けていき、白の石にくっついていた黒石を担ぎ出しました。これに対し三村九段は最強手で応じましたが、戦いの結果は黒が白石4石を取り込み優位にたちました。その代わり上辺が白の勢力圏になり、黒2石が取り残されてしまいました。依田九段はこの取り残された黒をあっさり諦めてしまい、白に囲わせてその代わりに中央に厚みを築きました。それで左辺に取り残された白の一団を攻めたのですが、白から下辺についての勝負手を打たれ、ここで攻めを継続する手を打てば良かったのですが、守りの手を打って後退してしまいました。この辺り、依田九段は形勢を楽観していたようです。その後のヨセでも白が一杯に打ち回し、終わってみれば白の2目半勝ちでした。

NHK杯戦囲碁 新垣朱武九段 対 中野寛也九段

jpeg000 1432週間ぶりのNHK杯戦の囲碁です。本日は黒番が新垣朱武九段、白番が中野寛也九段の対局です。左辺で戦いになり、黒は分断されて苦しくなりました。そこからの黒の打ち方が良く、両ノゾキで白を分断し、どさくさに紛れて下辺への利かしも打ちました。結果、黒は左辺で白の三子を取って生き、どさくさに紛れての下辺も結局白が受けている暇がなくて、突き出して大きく取り込んでしまいました。これに対し、白は左上隅から延びた黒石を取り込んだので、一応勝負の形にはなりました。しかしながら黒は各所で地を持って、最終的には100目を越えました。結局、黒の5目半勝ちで終わりました。

百田尚樹の「幻庵」、これからの展開

週刊文春に連載中の百田尚樹の「幻庵」がようやくクライマックスに近づいています。幻庵因碩のライバル本因坊丈和は、幻庵と戦わずして名人碁所になります。名人碁所になるとお止め碁と称して、将軍家の許可がないと争い碁は自由に打つことができなくなり、幻庵は実力で丈和を名人碁所から引きずり降ろすことができません。そうこうしている内に、碁好きの老中松平頼母が、自分の家で碁会を開くことにし、お止め碁になっている丈和にもここで対局するよう命じます。幻庵因碩は最初は自分が打つつもりでしたが、事前に弟子の赤星因徹と何局か対局し、四連敗して因徹が非常に力をつけていることを知ります。それで丈和とは自分が打つのではなく、赤星因徹に打たせることにします。因徹は丈和と対局し、序盤「井門の秘手」という、かつて井上家で研究していた大斜定石の新しい手を打って一度は優勢になります。しかしながら、丈和は中盤で「三妙手」と後世呼ばれた三つの手を打ち、形勢を逆転します。それでも因徹は粘って対局を続けますが、結核を患っていた因徹はついに投了した後、血を吐いて倒れます。因徹はこの二ヶ月後に亡くなります。これが有名な「天保吐血の局」です。こうして丈和は因碩のもくろみを退け、名人碁所の地位を保つことに成功します。
と、これからこういう話になります。