シャプトンの刃の黒幕シリーズの注意点

Amazonで「砥石」を検索すると、1番に出てくるのはシャプトンの刃の黒幕シリーズのオレンジの1000番。このシリーズは私も320番と2000番を持っていますが、研磨力がありかつ均質ないい砥石だと思います。
しかし誰もレビューで書いていないんですが、この砥石はマグネシア法という製法で作られていて、耐水性に問題があります。メーカーのHPにも30分以上水に漬けたままにしないように、とFAQに記載があります。
マグネシアという一種のセメントは、梅雨時の高湿でも劣化して、割れたりするみたいです。その意味では、この刃の黒幕シリーズについている砥石台兼用の安っぽいプラスチックケースは問題で、使った後よく乾燥させないでこのケースにしまうと、確実に寿命が縮まると思います。

ちなみに、エビ印で有名なナニワ研磨工業の「ナニワ エビ 超セラミック砥石 台付 #1000」は、これもマグネシア系でセラミックの研磨剤ということで、シャプトンの刃の黒幕シリーズと製法的には一緒です。でもシャプトンの方は何の注意書きもありませんが、こちらは砥石の側面にちゃんと書いてあります。また、シャプトンのHPでは「30分以上はダメ」だったけど、こちらは「1時間以上」。またケースではなく、台なのでしまう時に湿気がこもる心配もありません。あまり知名度ありませんが、ナニワ研磨工業(エビ印)は実はこの手の角砥石では世界シェアナンバー1だそうです。私が徳島時代に買った仕上げ砥もここの製品でした。

正本の相出刃と内曇

砥石だけをプロ並みのものにして、肝心の包丁がステンレスと合わせではちょっとアンバランスなので、一本だけ、本霞の正本の相出刃(出刃と柳刃を一本で兼ねる魚屋さん用の包丁)を購入しました。裏押しをするために、わざわざ#1000の砥石を新しく買って準備していましたが、届いてみたら最初から裏押しされていました…さすがに正本の包丁で素人が手を出せるレベルではないレベルで研いでありました。
そうは言っても気を取り直して、これも取り寄せた内曇の砥石を使って仕上げ砥ぎだけをやってみました。内曇は日本刀の研ぎの仕上げで使われる天然砥石で、日本刀独特の刃文を出すには不可欠の砥石です。本当は内曇で研いだ後、さらに鳴滝という砥石の粉で磨くんですが、鳴滝jのコッパは取り寄せ中です。でもご覧の通り、素人の研ぎでも何と確かに刃文がはっきりと識別出来るようになりました。ただ、まだ傷が沢山残っている感じですので、鳴滝が届き次第磨いてみたいと思います。

一生物の仕上げ天然砥石購入

砥石集めもいよいよ病膏肓に入り、ついに有名な京都の砥取家の、ご主人お勧めの「一生物」の極上卵色巣板巣無し、を購入しました。
早速使ってみたんですが、これまで買った天然物の仕上げ砥が非常に硬く、名倉をかけないとほとんど使い物にならない感じでしたが、これはまったく違い柔らかく、かつ砥汁も豊富に出てきてほとんど名倉をかける必要性を感じません。同じ「巣板」でこうも違うのかと驚いています。価格的にはこれまで買ったすべての砥石を合わせたより高かったですが、それだけのことはあると思いました。またコッパではなくサイズもきちんとあるため、非常に研ぎ作業がやりやすいです。本当に一生大事に使いたいと思います。

両刃包丁の研ぎのための角度固定治具3種の比較

両刃の包丁を研ぐ時の角度固定治具3種をテスト。
ここまでやるのは私くらいかと。左が「富士カトラリー 包丁研ぎ用補助具 TOGRIP F-443 ブラック」。真ん中が「清水製作所 庖丁とぎ角度固定ホルダー スーパートゲール」。そして一番右が「貝印 KAI 研ぎ上手 NewCookTool DH5268」。
どれも基本的に使い方と目的は同じですが、一番右の貝印のだけは「買ってはいけない」です。何故かというと、
(1)目茶苦茶ステンレスが固くて、包丁にはめ込むのに非常に力を要します。下手すると手をすべらせて大けがする可能性があります。
(2)包丁にはっきりした横線の傷が入ります。(他の二つも多少傷は入りますが、貝印ほどではないです。)
(3)他の2つが包丁に接する所にセラミックを使っているのに、これはそういう工夫が一切なく、使って数回でステンレスがすり切れてしまいます。
値段は一個¥238と3つの中で一番安いですが、ともかく(1)の理由で大変危険なので、買ってはいけません。

真ん中の清水製作所の「スーパートゲール」ですが、私が最初に買ったのがこれで今も使っています。はっきりいって研ぎに慣れたので、今はこれが無くても大体角度を一定にして研げますが、やっぱりこれを使って研いで、エッジの線がびしっと直線に決まっているのを見るのは気持ちがいいです。
高さが低いペティナイフみたいなものの場合は、はめ込みを浅くして角度を調節しています。貝印の欠陥品に比べると、はめ込むのも簡単ですし、セラミックを使っているんで耐久性もあります。価格は¥605ですが、貝印のが何回も使えないのを考えれば高くないです。

一番左の富士カトラリーのは、スーパートゲールとほとんど一緒ですが、包丁のはめ込み口が二つあって、包丁の高さによってどちらかを選べるというのが工夫です。しかし、長さがスーパートゲールよりやや短く、研いでいる時の安定性に欠けるように思います。価格も¥1,296とスーパートゲールの倍します。

結論として、「スーパートゲール」をお勧めします。実際これが一番売れているようですし。間違っても貝印のを買わないように。

本当は後1種テストする予定だったのですが、注文していつまでも来ないので配送業者を見たら「China Post」で中国製ぽいので除外しました。

Japanese cuisine and kitchen knives

The following is my essay that I wrote as an assignment for an English school in Japan:

Topic: Japanese cuisine and kitchen knives
Style: Free writing

Washoku, traditional dietary cultures of the Japanese are now quite famous worldwide, and UNESCO added them to their list of the Intangible Cultural Heritage in 2013.
One of the most important factors that supports this sophisticated culture is wide variety and long tradition of Japanese kitchen knives. If you think of Japanese dishes, you might be reminded of sushi or sashimi. Both dishes use raw fish. Some people may think the latter one is quite easy to prepare since it is just a dish with cut raw fish pieces. Yes, it is just cutting fish, but what is important is how you cut it. If you cut raw fish with a normal kitchen knife, the cells of fish meat will surely be crushed, and you cannot get cut pieces of fish with sharp edges. It is alleged that bad way of cutting diminishes the taste of sashimi quite a lot. All Japanese skilled chefs use very thin and long special knives specially dedicated to sashimi. They cut fish meat utilizing the whole length of a knife and cut it by drawing the knife quickly because the edge degree will be minimized and it will enable better cutting.
In order to keep sharp edges, it is vital to sharpen them before you use them. In western countries, chefs use a grinding bar to sharpen knives. Japan has a long tradition of Japanese swords and sharpening skill has reached at the highest level in the whole world. Japanese blacksmiths and chefs use several different grinding stones to sharpen Japanese swords and kitchen knives. The stones are usually flat stones with sizes usually around 7 X 30 X 3 cm. They start to grind swords or knives by rather harsh stones, and gradually change to stones with finer surfaces. Most grinding stones now in Japan are made artificially, but some good chefs stick to natural stones. A good natural grinding stone costs sometimes more than $1,000. Some say that each good knife has an ideal grinding stone as a pair, and they do not spare money to find it.
Another interesting thing about Japanese knives is that many of them are single-edged while most western knives are double-edged. It is said that single-edged is better in cutting but is difficult to cut something straight. There are also big differences in the way we sharpen single-edged knives compared to sharpen double-edged ones by grinding stones. Good chefs in Japan usually sharpen their knives by themselves, but there are also many of those who leave it to some professionals.

現時点の包丁と砥石のコレクション

ともかく、私の趣味の特徴は、「集める」ということです。使うとか使わないとかに関係なく、取り敢えず一式全部揃えたくなるのが私の性分です。和包丁の薄刃とか、洋包丁の牛刀27cmなんて一体いつ使うのか自分でも不思議です。
砥石も、荒砥が2種類、中砥3種、仕上げ砥5種、面直し4種です。後、砥面の微修正用の名倉(人造)が3種。その内天然砥石が3種。写真上の一番右は若狭の戸前、水浅葱というので、これが一番高価です。

養殖の肥満児鯛を捌く

魚を裁く練習のため、豊洲市場の通販で養殖のタイを注文したら、ご覧のような肥満児タイが来ました。取り敢えず半身を刺身にしました。サクをきれいに揃えられなくて見た眼はかなりイマイチですが、まあ久しぶりにやったにしては包丁の切れ味のお陰でそこそこ出来たかな、と。
残りの半身は塩焼きに、頭は吸い物にする予定です。

究極の果物剥きを求めて

究極の(?)果物剥きを求めて。元々毎日包丁を使っているのは、リンゴ、梨、柿といった果物剥きのためでした。一番左のヘンケルの比較的安価な三徳包丁を使っていましたが、研ぎ技術がアップして切れ味が良くなると、もっと他の包丁を試してみたくなりました。左から2番目がより大形の三徳包丁ですが、これは明らかに失敗で、刃厚がありすぎて食いつきが悪く、ある一定の力以上になるとすっと切れるので、危ないです。実際指を切りました。次が日本の伝統である、小形の薄刃の皮むき包丁(両刃)です。これは刃の全体を使えるので、確かに柿などの皮を剥くのには最適ですが、如何せん刃の長さが短かすぎてリンゴを割ったりするのには不向きです。次にそれより長いペティナイフです。よくあるペナペナしたのではなく、硬めのものです。これも悪くないんですが、刃の幅が狭いと、意外と剥きにくい感じです。それで結局三徳包丁に戻って来て、元々使っていたヘンケルの17cmよりちょっと短い15cmのに落ち着きました。和食での包丁の使い方の基本は桂剥きだそうですが、西洋包丁を使っていても皮剥きは基本中の基本のように思います。

和包丁(片刃包丁)の「裏押し」のコツ

小出刃も買いました。それで懸案の「裏押し」(和包丁の裏は中スキといって中央部を削いであって、平面に置いて横から見ると、2点接触状態になっています。裏押しはこの点で接触している部分を削って置いた面と平行な平面を作って、表の刃に対する基準面を作る作業です。)に再チャレンジしました。今度はうまくいったんじゃないかと思います。コツは、

(1)1000番の中砥を使い、まず準備として表面を完全に近い平面にすること。私は、ツボ万 アトマエコノミーというアルミ板にダイヤモンドペーパーを貼り合わせたものを面直しに使っています。要するに平面を出す作業なんで、砥石の方が平面でないと包丁も平面になりません。
(2)包丁を裏を砥石に当て、刃がある側を前面にします。包丁は砥石に対し直角にセット。
(3)研ぐ方向は刃がある側に向けて押して研ぎます。引いてはいけません。
(4)指で押すのは若干刃のある側により力を入れる。峰側に力を入れると刃先にうまく平面がつきません。
(5)場所を変えて研ぎますが、各回、4~5回で十分で、研ぎすぎは禁物。研いだ後、光っている場所が数mmあれば十分です。
(4)中砥の作業が終わったら、仕上げ砥に変えて、出来た平面を鏡面に仕上げます。

なお、刃先に関しては鏡面になっている部分が大きくなりますが、これは刃先にRがついているせいで、正常なので気にする必要はないです。

一回裏押しの作業が終わったら、以降は中砥では研がず、仕上げ砥のみを使って軽く研ぐだけにします。

参考文献:柴田書店 SHIBATA BOOKS 「包丁と砥石」
包丁の研ぎ方の本は4冊くらい読みましたが、この本が一番お勧めです。