信時潔の交聲曲「海道東征」

信時潔の交聲曲「海道東征」を聴きました。いわゆる「神武東征」のお話しを北原白秋が詩にまとめ、それに信時潔が曲を付けて、皇紀二千六百年の式典用として作られた曲です。
信時潔は一般的には「海行かば」の作曲者として知られていますが、私にとっては特別な作曲家で、それは何故かというと、私が出た小学校(下関市立文関小学校、正確には小学校6年の10月で転校したので卒業はしていません)の校歌を作曲した人だからです。この校歌、ここでMP3ファイルで聴くことができますが、今改めて聴いても、希望に満ちていていながら荘重でもあり、素晴らしい曲だと思います。文関小学校の後、中学校2校、高校1校、大学と色々校歌を聴きましたが、この文関小学校の校歌が一番良く出来ていると思います。信時潔は校歌を全部で1000曲も作曲したそうで、その中の一つに過ぎないのでしょうが、少なくとも手抜きの仕事はしていません。
「海道東征」に戻りますが、信時らしい荘重でかつ牧歌的な所もある名曲と思います。内容が内容だけに、戦後は演奏される機会も多くないようですが、一度は聴いてみる価値があると思います。

オーマンディー/フィラデルフィア管弦楽団のベートーヴェン交響曲全集

オーマンディー/フィラデルフィア管弦楽団のベートーヴェン交響曲全集を聴きました。ハンガリーという国は多数の名指揮者を出しています。ジョージ・ソルティ(ゲオルグ・ショルティ)、ジョージ・セル、アンタル・ドラティ、アルトゥール・ニキシュ、イシュトヴァン・ケルテスなどです。共通したイメージは、「音が硬い」ということで、ショルティとセルが典型かもしれませんが、鋭角的でとがった音を出すイメージがあります。ユージン・オーマンディーもそのハンガリー出身なのですが、オーマンディーだけはこの「音が硬い」というイメージがまるでなく、まずその正反対です。その指揮するオケの音は「フィラデルフィア・サウンド」と呼ばれたゴージャスな音ですが、本当は「オーマンディー・トーン」と呼ぶべきだそうです。
私がクラシック音楽を聴き始めた1970年代の終わり頃には、オーマンディー指揮フィラデルフィア管弦楽団のLPレコードはレコード店にあふれるようにありました。しかし、それはどちらかというと通俗名曲の類いが多かったように思います。そして今はオーマンディーは何故か高く評価されることがなくなっています。以前、ブラームスの交響曲第1番を200種類以上集めたことがありますが、その時入手に一番苦労したのがオーマンディー/フィラデルフィア管弦楽団のものでした。それはかつてどこでも売っていたものでしたが、その時は結局CDでは入手できず、eBayというオークションサイトで、LPレコードを入手したに留まりました。数年後にタワーレコードがオーマンディー/フィラデルフィア管弦楽団のブラームス交響曲全集を復刻してくれてようやくCDを手にすることができました。
前置きが長くなりましたが、このオーマンディー/フィラデルフィア管弦楽団のベートーヴェン全集は素晴らしいです。どこにも奇をてらった所がなく、堂々とした名演奏です。手持ちで15種類以上のベートーヴェン交響曲全集がありますが、その中でもベスト3くらいには入るものだと思います。特に3番のエロイカがいいと思います。

マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送響のベートーヴェン交響曲全集

マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送響のベートーヴェン交響曲全集を聴きました。ベートーヴェンの交響曲全集はブラームスの1番みたいに積極的に買い集めた記憶はないのですが、いつの間にか増えていて、今回のヤンソンスので12種類目です。手持ちは以下の通り。
1.フルトヴェングラー/ウィーンフィル他
2.クレンペラー/フィルハーモニア・ニューフィルハーモニア
3.バーンスタイン/ニューヨークフィル
4.バーンスタイン/ウィーンフィル
5.カラヤン/ベルリンフィル(1975-1977年録音)
6.イッセルシュテット/ウィーンフィル
7.クリュイタンス/ベルリンフィル
8.ガーディナー/オルケストル・レヴォリューショネル・エ・ロマンティーク
9.ノリントン/ロンドン・クラシカル・プレイヤーズ
10.ティーレマン/ウィーンフィル
11.ケーゲル/ドレスデンフィル
12.ヤンソンス/バイエルン放送響
で、今回のヤンソンスのですが、スタイルはいわゆるピリオドスタイルではなく、伝統的なものです。演奏には熱気を持ちながら精緻さも失わないというヤンソンスのいい所が出たものです。ですが、どれを聴いても他の大指揮者と区別されるような要素に乏しくて、聴いた後残るものがありません。ちょっと残念でした。手持ちのものの中ではティーレマンよりはいいですが。

ユリウス・パツァークの「美しき水車小屋の娘」と「冬の旅」

ユリウス・パツァークのシューベルトの「美しき水車小屋の娘」と「冬の旅」のカップリングのCDを海外から取り寄せて聴きました。ユリウス・パツァークというテノール歌手は、日本のクラシックファンには、ほとんど一枚のレコード(またはCD)にて記憶されています。それは、ブルーノ・ワルター指揮ウィーンフィルで、1952年に録音されたマーラーの「大地の歌」で、パツァークはキャスリーン・フェリアーと一緒に歌っています。この盤は現在でもこの曲のベスト1の録音と言われています。この曲のLPには音楽評論家の宇野功芳が解説を書いていて、パツァークについては「ドイツリートなども録音しているが、あまり声量がなく大した歌手ではないが、たまたまその声量と声質が『大地の歌』(中国の漢詩の世界を西洋人が誤解して、「生は暗く、死もまた暗い」のような厭世的な歌詞がたくさん出てきます)にはぴったり合ってこれ以上ないような名唱になった。」などと言ったことを書いていました。最初に「冬の旅」の方から聞いて、確かに声量がなく、息が浅く、素人みたいな歌い方と思いました。しかし、「美しき水車小屋の娘」の方を聴いてみたら、そういう評価はまったく覆り、声量も十分で、堂々の大歌手の歌い方でした。調べて見たら、「美しき水車小屋の娘」が録音されたのが1943年でパツァークは45歳、「大地の歌」の時は54歳、そして「冬の旅」に至っては1964年で66歳です。「大地の歌」と「冬の旅」での声量の衰えは加齢によるもので、若い頃は立派な歌手だったことがわかりました。やはり人の言うことを鵜呑みにしないで、自分で実際に確かめてみることが大事と改めてわかりました。

フィッシャー=ディースカウとブレンデルの「冬の旅」(1979年、DVD)

フィッシャー=ディースカウとブレンデルの1979年のライブの「冬の旅」のDVDを入手、聴きました。フィッシャー=ディースカウの冬の旅は、LPとCD合わせて12種類持っていて、それで全てかと思っていたらこのDVDがまだあったので取り寄せてみたものです。録音時期としてはバレンボイムと入れたものと同じ年です。ですが、バレンボイムとの盤が、色々と変化を取り入れた「変化球」の「冬の旅」だったのに対し、このDVDは60年代の演奏に近いオーソドックスなものです。ただ、DVDのせいだからかもしれませんが、CDに比べると音質が落ちる感じです。DVDの「冬の旅」はもう一種類、クヴァストホフとバレンボイムのを持っています。こちらはクヴァストホフがいわゆる「サリドマイド児」だったということを初めて知って衝撃的でしたし、演奏自体も素晴らしいものでした。しかし、このディースカウ・ブレンデルのDVDはそれほどの感激は与えてくれないですね。「冬の旅」に関しては、「映像」の必要性は疑問に思います。

ギュンター・グロイスベックの「冬の旅・白鳥の歌」

ギュンター・グロイスベックの歌、ゲロルト・フーバーのピアノ伴奏による、シューベルトの「冬の旅」、「白鳥の歌」を買いました。クラシックのCDを買うのはかなり久しぶりです。ブラームスの交響曲第1番ほどではありませんが、シューベルトの「冬の旅」も昔から集めていて、現時点で60種類くらい所有しています。「冬の旅」は本来は、テノールのための歌曲集なのですが、何故かテノールの名演というのはあまりないように思います。(エルンスト・ヘフリガーのものは、ちょっとヒステリックな感じがしてあまり好きじゃないですし、ペーター・シュライアーは、「美しき水車小屋の娘」は好きですが、「冬の旅」はイマイチだと思います。)
一番傑作が揃っているものはバリトンによるもので、有名なフィッシャー・ディースカウやハンス・ホッターがそうです。意外にいいのは、バスと女声によるものです。大学の時に、シューベルトの日本での最大の研究家であった故石井不二雄先生が、私に推薦してくれたのは、バスのマルッティ・タルヴェラのものでした。また比較的最近買った、フルッチョ・フルラネットのものは私の大のお気に入りです。史上もっとも遅い冬の旅です。このグロイスベックもバスですが、奇をてらわずに、ストレートに力強く歌っており、とても好感が持てます。
なお、女声による冬の旅では、ロッテ・レーマン、クリスタ・ルートヴィヒのものがお勧めできます。

フィッシャー=ディースカウの「冬の旅」

シューベルトの「冬の旅」をもっとも多く録音した歌手は、疑いの余地なく、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウです。それでは何回録音したか?Amazonのある所では7回と書いてありましたが、とんでもない!私が持っているものだけでも12種類あります。

1.1948年、クラウス・ビリング(ARCHIPEL)
2.1952年、ヘルマン・ロイター(audite)
3.1953年、ヘルタ・クルスト(CDO)
4.1955年、ジェラルド・ムーア(EMI)
5.1955年、ジェラルド・ムーア(INA)
6.1962年、ジェラルド・ムーア(EMI)
7.1965年、イェルク・デムス(グラモフォン)
8.1971年、ジェラルド・ムーア(グラモフォン)
9.1978年、マウリツィオ・ポリーニ(FKM)
10.1979年、ダニエル・バレンボイム(グラモフォン)
11.1985年、アルフレッド・ブレンデル(フィリップス)
12.1990年、マレイ・ペライア(CBSソニー)

私が最もお勧めするのは、上記の4の、最初のジェラルド・ムーアとの録音です。モノラル録音ですが、堂々の直球勝負という感じで、素晴らしいです。1960年代の録音は、ちょっと知的すぎて鼻につく感じです。1979年のバレンボイムとの録音では、直球ではなくかなり変化球を駆使するようになります。11と12は有名ピアニストを起用して目先を変えたものですが、衰えが目立ちお勧めできません。

ちなみにもう一種、ブレンデルが伴奏しているDVDがありますので、私の知る限りでは録音は13種類です。

日立コール・ファミリエのコンサート

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今日は、日立グループのOB・OGがメンバーであるアマチュアの合唱団である、日立コール・ファミリエのコンサートに行ってきました。元上司を含め、知り合いが3名参加しており、元上司から毎年チケットをいただいておりますので、1年に1回出かけてきます。場所は錦糸町のすみだトリュフォニーホールです。曲目はケルビーニのレクイエムハ短調他です。メンバーがリタイアした方ばかりで、毎年平均年齢が上がっているようで、はらはらしながら毎年聴いています。

前川陽子スーパーベスト

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前川陽子スーパーベスト、を購入。
60年代、70年代のアニソンの女王は、前川陽子さんで決まりだと思います。ひょっこりひょうたん島、キューティーハニー、魔女っ子メグちゃん、どれをとっても素晴らしい歌唱力です。女性が歌うアニソンの中では、この3曲と、弘田三枝子が歌うジャングル大帝のエンディングが出色だと思います。

ケルビーニ 荘厳ミサ曲ヘ長調「シメイにて」

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知り合いが2016年6月に合唱のコンサートで、ケルビーニのレクイエムハ短調を歌います。その予習として昨年買ったのがこのムーティーのCDなのですが、私のお気に入りは、2つのレクイエムよりも、1枚目に入っている、荘厳ミサ曲ヘ長調「シメイにて」です。この曲はケルビーニが、ベルギーの町シメイに滞在して作曲から遠ざかっていた時に、町の教会の献堂式のためにミサ曲を頼まれて作曲したものです。演奏時間72分の大曲ですが、親しみやすさと荘重さが両立した名曲だと思います。