私のオーディオチェック用ソースその2。エディアルド・パニアグアの”Alarifes Mudéjares”。タイトルは「ムデハル様式の建築家達」という意味。ムデハル様式とは、レコンキスタ(キリスト教徒によるスペインの国土の奪回運動)の後、スペインに残ったイスラム教徒の技術とキリスト教が融合して建てられた、アラゴンなどに多く残っている建築様式のこと。
このCDはパニアグアらしく人を喰っていて、建築家達がノコギリを引いたり、トンカチで釘を叩いて、という教会を建てるシーンから入っています。音場は広大ですけど、縦長の建物の中というのが良く分り、左右は狭く、上が広いです。特に2階か3階に水盤か人工の泉があるのか、水が高い所から流れているのが面白いです。教会の外からは秋なのか虫の声がしています。そこで演奏される曲は、建築様式と同じでキリスト教とイスラム教が混じり合ったスペイン独特のものです。エディアルド・パニアグアは「聖母マリアのカンティガ」を多数録音していますが、カンティガの音楽ともかなり近いです。というかパニアグア一家のことですから、厳密な考証に基づくものではなく、かなりの部分想像によるものでしょうが。
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手持ちのCDの枚数
ガンサー・シュラー指揮の運命・ブラ1
ガンサー・シュラーという音楽家をご存知ですか?アメリカでは2度グラミー賞を取った人で有名と思いますが、日本ではあまり知られていません。元々クラシック畑の人で、シンシナティ交響楽団の首席ホルン奏者を皮切りに、その後作曲家、指揮者となり、またジャズの世界でもあのマイルス・デイヴィスと一緒のバンドを作って活躍しています。また小澤征爾と一緒にタングルウッド音楽祭を始めた人であります。このCDはそんなシュラーが、ニューヨークフィルなどの腕利きの奏者を集めた少人数のオケを作り、自身が書いた「指揮法教程」という教科書の実践例として、自分のレコード会社であるGM Recorgingsから出したもので、内容はベートーヴェンの「運命」とブラームスの第1番の交響曲です。何でこのCDを買ったかというと、15年くらい前に、ブラームスのこの交響曲のカタログ征服を目指して、入手出来る全てのCDを集めようとしていたことがあり、その中で入手したものです。そういう経緯なのでまったく期待しないで聞いたのですが、演奏は素晴しいものでした。演奏スタイルはいわゆる新古典派的というか、「何も足さない、何も引かない」というきわめて楽譜に忠実な演奏です。そうした演奏は得てして無機的でダイナミックスに乏しい非人間的な演奏になりがちなのですが、シュラーの指揮から出てくる音楽は、まったくそういうネガティブなものがありません。またオケの一人一人の技量も素晴しく少人数ということもあって、そのアンサンブルの見事さはかつてのトスカニーニや1960年代のカラヤンを思わせるものです。ブラームスの1番は結局現時点までで220種類ぐらい集めましたが、その中で堂々のベスト10に入る演奏だと思います。4300円くらいとちょっと高いですが、今でもAmazonで入手可能です。
ハンス・ホッターとコンラート・リヒターの「冬の旅」(1982年ライブ)
最近、ずっとシューベルトの「冬の旅」を聴いています。「冬の旅」のコレクションは現時点で70数枚になっています。ブラームスの交響曲1番の収集の時みたいなカタログ征服、的な気持ちはありませんが、今でも新譜が出ているとつい買ってしまいます。
このハンス・ホッターとコンラート・リヒターの冬の旅は、1982年のホーエネムスでのシューベルティアーデでのライブです。実にホッターはこの時73歳でした。このライブはリアルタイムではないですが、NHKのFMで放送されました。丁度その時実家に帰省中でやむを得ずモノーラルのラジカセでエアチェック(今の若い人、この言葉通じないですね。要するに放送をカセットテープで録音することをこう言いました)したものを何度も聴きました。このCDは20年前くらいに出た海賊版のCD-Rです。
この時のホッターは、最初の曲の「おやすみ」の第3節でメロディーを間違える(1節、2節と違うのに同じに歌った)など、非常にハラハラさせる立ち上がりでした。しかし曲が進むに連れ、落ち着きを取り戻し、これ以上無いくらい迫力と悲壮感の漂う冬の旅を聴かせてくれました。ホッターはその生涯で冬の旅を120回以上歌ったそうですが、この時のライブは長く歴史に残すべきものと思います。
ヴィラ=ロボスの交響曲全集の2セット目
エイトル・ヴィラ=ロボスの交響曲全集の2セット目を購入。右のNAXOSから発売された、サンパウロ交響楽団、指揮はカラブチェフスキーのもの。左が最初に出た、カール・セント・クレア、シュトゥットガルト交響楽団のもの。この左のが出た時、まさかヴィラ=ロボスの交響曲全集が出るなんて、と驚いたものですが、さすがNAXOSさん、ブラジルのオケでの新しい全集を出してくれました!ちなみに「全集」となっていますが、12曲の交響曲の内、5番は楽譜が散逸して不明で、どちらの全集にも収録されていません。ヴィラ=ロボスというのは不思議な作曲家で、クラシックファンの間で決して高い人気がある、というものではありませんが、好きな人は結構熱狂的に好き、というタイプの作曲家であり、私は後者です。ヴィラ=ロボスの音楽の基本は留学していたフランスの音楽で、交響曲の中にも3曲、ヴァンサン・ダンディに捧げているものがあります。それとブラジルの民族音楽的要素の付け加えですね。ブラジルにおいては日本の山田耕筰以上の存在です。
ブルックナー交響曲全集
真空管アンプを作るモードから、今はそれを使ってひたすら音楽を聴くモードに移り、ここ最近はブルックナーの交響曲ばかりを聴いています。元々全集を7種類持っていましたが、5種類買い足して12種類になり、マーラーの交響曲全集の種類より多くなりました。ブルックナーは自身がうつ病+強迫神経症だった人で、私自身がブルックナーを聴くのはやっぱりメンタルで下降気味の時が多いように思います。もっとも本当に悪くなるとモーツァルトぐらいしか聴けなくなりますが。この中でお勧めは、パーヴォ・ヤルヴィーとヤープ・ヴァン・ズヴェーデンです。何というかブルックナーの野卑な所を強調したようなヨッフムとかインバルの演奏はあまり好きになれません。また、やたらと「原典版」とか「初稿」にこだわるのも好きではありません。例えば4番の1874年の初稿の第3楽章なんかは、正直な所未熟で野卑としか思えません。
1.オイゲンングヨッフム ベルリンフィル、バイエルン放送響
2.オイゲン・ヨッフム ドレスデン・シュターツカペレ
3.ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン オランダ放送響
4.ヘルベルト・フォン・カラヤン ベルリンフィル
5.ギュンター・ヴァント ケルン放送響
6.シモーネ・ヤング ハンブルク交響楽団
7.スタニスラス・スクロヴァチェスキー ザールブリュッケン放送響
8.マルクス・ボッシュ アーヘン交響楽団
9.ロリン・マゼール バイエルン放送響
10.エリアフ・インバル フランクフルト放送交響楽団
11.朝比奈隆 大阪フィル(3回目の全集)
12.パーヴォ・ヤルヴィ フランクフルト放送交響楽団
ハルモニア・ムンディのフランスとドイツの違い
クラシック音楽のレーベルにharmonia mundiというのがありますが、これにドイツとフランスがあって、これまでこの2つがどういう関係か知りませんでした。英語のWikipediaによると、この2つは別会社です。何でも1950年代のどこかで、フランス人のベルナー・クータスと、ドイツ人のルドルフ・ルビィがたまたま同じ 列車に乗り合わせ、話をしたら音楽の趣味が一致して意気投合し、二人で同じ名前のレコード会社をフランスとドイツにそれぞれ作ろうということで出来たみたいです。なので資本関係はありませんが、音楽ジャンルがバロックやルネサンスの古楽中心ということや、お互いにアーチストを貸し借りしたり、等の交流があったようです。なお、録音が平均的に良いのはフランスの方ですが、ドイツの方もレオンハルトのチェンバロの録音などで良いものがあります。今はドイツの方はBMGに買われ最終的に現在はソニーの傘下、フランスの方はPIASエンタテインメント・グループみたいです。
なお、五味康祐が「天の聲-西方の音」というエッセイの中で「ハルモニヤ・ムンディ」という題でこのレーベル(独の方)について書いています。
グーセンス指揮ロンドン交響楽団のアンティル「コロボリー」他
ユージン・グーセンス指揮ロンドン交響楽団の、アンティル「コロボリー」とヒナステラの「パナンビ」のLPを入手。
長岡鉄男教徒は、このジャケット見ただけですぐ分かりますが、外盤A級ジャーナルの64番で取上げられている超絶録音です。レーベルはEVERESTで1958年のプレスですが、この頃のEVERESTは録音に35mmの映画用のフィルムを利用していたので有名で、他にも多数ステレオ初期の名録音があります。また指揮者のグーセンスがなかなかスキャンダルの人で、指揮者としての腕は見事なのですが、オーストラリアで「最後の魔女」と呼ばれた怪しげな女性と付き合い、一緒に卑猥な写真をいっぱい撮って、それが空港で見つかって大スキャンダルとなって、仕事をほぼ失ったという人です。私はこれ以外にグーセンスが指揮した幻想交響曲もCDで持っています。魔女で身を持ち崩した人が魔女が出て来る交響曲を指揮していると言う面白いものです。
長岡鉄男はこのLPの「コロボリー」を最後まで聴いた人は必ず「ほーっ」とため息をつく、と書いていますが、確かに終盤の盛り上げ方はすごくて、春の祭典をボレロ風に演奏している感じです。この録音、最近ハイレゾで販売されているというので探しましたが、そっちは無く、Amazonで検索したらオリジナルのLPが意外と簡単に出てきたものです。録音は盤質から来るパチパチノイズと、テープのヒスノイズが若干目立ちますが、それ以外はダイナミックレンジもFレンジも広く、この60年ちょっとのオーディオの進歩ってはたしてあったのかと思ってしまいます。
本田美奈子.の”Ave Maria”
また仏ERATOの輸入盤LP37枚を落札
またヤフオクで仏ERATOの輸入盤LP40枚を落札しました。やはりYAMAHAの袋で、これまで2回と同様に、渋谷の道玄坂のYAMAHAの店頭在庫だと思います。これまで2回の落札分を合わせ、127枚、既に持っていたERATOのLPが30枚くらいありますので、全部で160枚になり、私の手持ちのLPの一割強になり、なかなか貴重なコレクションになったと思います。今回のにはドビュッシーとかフランクとか、割と普通のクラシックも入っています。また、「カタルーニャの音楽」というLPに「モンセラートの朱い本」が入っていたので「おお!」と思ったのですが、聴いてみたら私が既に持っているHispavoxのスペイン古楽集成に入っているのと同じ音源でした。ちなみにこのLPの演奏はパニアグア一家です。LPは1,000枚で手打ちにしようと思っていたら、既に1200枚を超しています。置き場所を確保するのが大変です。