大川慎太郎の「不屈の棋士」を読了。コンピューター将棋に対する考え方を11名の棋士にインタビューしたもの。奇しくも電王戦で、佐藤天彦名人が、現役の名人としてポナンザと対局し、いい所なく敗れるという報道がありました。このように、既にコンピューター将棋は、タイトルホルダーのような超一流のプロ棋士の実力をも超えていることは明らかだと思いますが、11名の中には佐藤康光9段のようにそれすら認めていない人もいるということがわかりました。個人的には千田翔太6段のように、コンピューターを積極的に活用して、自分の棋力を向上させようとしている人の方がはるかに好感が持てます。個人的なことを振り替えれば、私の囲碁の力は、最初の頃は棋書をたくさん読み、プロの棋譜を並べ、また亡父(アマチュア7段格)に打ってもらうことで、すぐに3級くらいにはなりました。でもそこから先の初段へ、そして現在の3~4段くらいの棋力になる上では、コンピューター囲碁との対局が本当に役だっています。将棋でもこれから出てくるプロは、ほとんどをコンピューターとの対局で腕を磨いた、という人が出てくると思います。また、文字を書くことで考えても、ワープロやパソコンの仮名漢字変換が出てきて、「漢字が書けなくなる」などのネガティブなことをいう人はいました。でも、後から考えてみると、コンピューターは人間の書く力を強めてくれた、と思っています。本書のサブタイトルには、「人工知能に追い詰められた「将棋指し」たちの覚悟と矜持」とありますが、過剰な「矜持」は感じられても、「覚悟」の方はあまり感じられなかったです。
大川慎太郎の「不屈の棋士」
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