上海蟹に再挑戦

上海蟹については、この間の中国出張の時に初めて食しましたが、
(1)まだ季節の走りだった
(2)小さかった
(3)雌だけだった
ということで、私としては不満足でした。
なので、横浜の中華街で食べてみようかと思ったのですが、ネットで予約しようとしたら、全部の店で一人での予約は受け付けてくれません。
では、自分で料理しようと思って、ネットを探したら、楽天のショップで簡単に買えました。雄の170gと雌の130gを買いました。料理といっても、冷凍なのでそれを流水で30分くらいさらして解凍し、それから茹でるだけです。雌を12分、雄を16分茹でました。ソースは市販の蟹酢+醤油にショウガの切ったのを入れたものです。
これで試してみましたが、冷凍なのでどうかと思いましたが、上海の店で食べた時より今回の方がずっと楽しめました。また雌の蟹ミソ(卵巣)もなるほどと思うおいしさでした。
デザートで柿を食べたのですが、これはネットで見たら食べ合わせでNGとなっている組み合わせでした。理由はどちらも体を冷やすからだそうです。でも一緒に体を温めるショウガを摂っているし、高麗人参も服用しているので、まあ大丈夫でしょう。
ちなみに、蟹スプーンは無くても構いませんが、蟹ハサミは必需品です。無いと脚部を食べるのがかなり大変になります。

獅子文六の「箱根山」

獅子文六の「箱根山」を読了。1961年に朝日新聞に連載されたもの。獅子文六については、もう一通り読んだ気になっていましたが、この「箱根山」は中々の傑作で、とても面白い作品でした。まず、1950年代から60年代にかけて「箱根山戦争」と呼ばれた、西武グループと小田急グループ+東急グループの箱根の観光開発、交通手段への投資を巡る熾烈な争いがあったのを、恥ずかしながらまったく知りませんでした。箱根というと私は小田急のイメージしかなかったのですが、そう言えば以前正月に行った箱根の水族館が入っている芦ノ湖沿岸の施設は西武系でした。この箱根山戦争には、さらに藤田観光もからんで三つ巴の戦いになったようですが、この辺りを獅子文六は仮名にして興味深く描いています。
しかし小説としての主題は、「足刈の湯」(モデルは芦ノ湯)にある二軒の温泉旅館である若松屋と玉屋の争いです。この二軒は元々兄弟がそれぞれ経営していて親戚なのですが、いつからかこの二軒が他の旅館を駆逐した結果、代々激しく争うことになります。お話は、この二軒の宿の、玉屋側の、太平洋戦時中に箱根に滞在したドイツ兵が日本人旅館女中との間に設けた乙夫と、若松屋の経営者の娘である明日子の恋、まるでロミオとジュリエットみたいな恋ですが、中心で進んで行きます。この乙夫君がなかなかさわやかなキャラクターで、頭が非常に良い上に運動も良く出来、旅館での客あしらいもうまい、と魅力的な人物に描かれています。この乙夫と明日子の恋がドロドロした所のない、とても好感の持てるもので、そこがこの小説の魅力です。また、若松屋の主人が旅館の主人にしては学問好きで、箱根には古代「アス族」が住んでいたという仮説を打ち立てていて、というのもフィクションではなくモデルがいるみたいです。9月に新刊の文庫として出ました。(私は講談社の大衆文学館の文庫本を古書で購入しました。)