マイケル・ウォルフの”Fire and Fury”

マイケル・ウォルフの”Fire and Fury”をようやく読了しました。と思ったらもう来週日本語訳が出るのね…苦労して読んで時間を無駄にした感が…
英語自体もスラングみたいなのが多くて易しくないのですが、それ以上にいっぱい出てくる人名や団体名にほとんどなじみがないので、ついていくのが大変でした。(これでも2年半くらいCNNを聴き続けて、それなりに知っている筈ですが、それでも。)またトランプ陣営を支える人達も次から次に更迭されて変わっていくので、これまた大変でした。(日本語訳はすごいスピードで出てきましたが、そういうのにちゃんと注釈を付けてくれているのでしょうか。)
この本は200人以上に取材したそうですし、また著者は以前やはりトランプに関する本を出していて、その本がトランプのお気に召したので、「壁の上のハエ」のような感じで取材を許された、とありますが、どこまで本当か分かりません。ただ、感じるのは全体がトランプがいかに馬鹿で大統領にふさわしくなく、またトランプ陣営がいかにアマチュア的で混乱している上に、内部の対立も激しく、というある種の先入観を前提に全体が構成されているような感じで、事実を淡々と積み上げるという感じではまるでありません。ただ、トランプの性格として、陰謀を企むというより、「皆に好かれたい」だけだという指摘は当たっているように思います。
陰謀という意味では、スティーブ・バノンで、全体を通じてバノンの異常さというのが最初から最後まで頭を離れませんでした。2020年の大統領選への出馬を検討していると書いてありますが、本気なんでしょうか。
トランプ政権の最初の数ヶ月は、そのバノンとジェリバンカ(ジェラード・クシュナー+イバンカ)、そして根っからの共和党のラインス・プリーバスの間の激しい主導権争いの中、非常に混乱しながら進んでいきます。私は知らなかったのですが、ジェラード・クシュナーのお父さんは民主党への大口献金者なんだそうです。そういう訳で政権の中ではリベラルな方のジェリバンカとバノンが特に対立します。
読んでいて、この1年のトランプに関する不快なニュースを逐一また思い出すことになり、何というか楽しくない読書で、「何でこんな馬鹿な奴らの話を読まなければならないのだろう」という思いでいっぱいでした。でも、この本がアメリカで売れているのは、アメリカ人にとっても未だにトランプ政権とは何なのかがよく分からないからだと思います。