本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が瀬戸大樹8段、白番が六浦雄太7段の対戦です。六浦雄太7段は昨年10月に阿含・桐山杯で優勝し3段から7段にジャンプアップしてのNHK杯戦初出場です。序盤で白が右上隅の黒の星に対しいきなり三々に入るという流行の進行です。黒が一本這った後ケイマに外し白がぶつかって黒が継いで白がハネた時黒は手を抜いて右辺の真ん中に打ちました。すかさず白はその黒の下に付けていきました。黒が伸び白がハネ、黒が切りという進行になりました。元々黒の勢力圏だったので白はどちらかを捨てて軽く打つのが普通ですが、白は全部頑張っていきました。途中黒が堅実な手を優先した結果、白の言い分が通った感じで、ここは白が局面をリードしました。黒はその後も堅実な手を打ち続けたため、白が地を稼ぎ弱い石もないという完全に白ペースの展開になりました。黒はその後右辺から伸びる白と左辺の白の分断を狙いましたが、白に上手くかわされ何事も起きませんでした。このまま六浦7段のNHK杯戦初勝利かと思われましたが、ここからの瀬戸8段の挽回の仕方が見事で少しずつ少しずつ得を積み重ねていきました。これに対し六浦7段は優勢を意識して堅く打ち過ぎで、特に右辺下部の白がかなり利かされ、2目ぐらい損したのがどうかと思います。それでも白がまだ優勢でしたが、黒は左辺の白の構えに対し勝負手で置きを敢行しました。ここで白は反発して目一杯打ったため、ここは劫になりました。この劫は一回白が勝ったのですが、黒は左下隅から下辺に展開する白に仕掛けていき、そのからみで一度収束している劫を復活させました。この辺り黒のしつこさはさすがプロという感じで見事でした。結局再開した劫も白が勝ったのですが、そのために劫立てで損な手を打たされ、また黒が劫の代償で白2子を抜いて中央に黒地が付いた結果、形勢は本当に細かくなりました。終わってみれば黒の半目勝ちでまったく見事な逆転劇と言わざるを得ないものでした。おそらく六浦7段は慣れないTV棋戦で緊張からふるえてしまったのだと思います。
NHK杯戦囲碁 瀬戸大樹8段 対 六浦雄太7段
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