8月20日放送のNHK杯戦囲碁は(旧居の片付け作業でリアルタイムでは観られず、NHK+の見逃し番組視聴で観ました)、黒番が大西竜平7段、白番が林漢傑8段の対戦でした。大西7段は独特の囲碁においての世界観を持っていて、「大西ワールド」と呼ばれていますが、この碁はそれが全開でした。初手はなんと写真の赤丸を付けた所です。おそらくですが初手でここは史上初ではないでしょうか。それで白の2手目がその右に一間にかかる(?)手で、昔初手天元に対し、橋本宇太郎さんだったと思いますがやはりかかっていったというのを思い出しました。そういう訳で早速ここで戦いが始りました。白は大ゲイマというある意味軽快な手を打っていて、黒はそれを分断して攻めるのではなく、あくまでも全体を攻めました。白もそこで途中では捨てる方針だったと思いますが、黒があくまでも小さく取らないで全体を狙っていたので、結局中で活きることになりました。この別れはAIの判定では白良しだったようですが、良く分りません。白はしかし左上隅の戦いで、黒の断点を覗いていったのが疑問手で、黒が継がずに左上隅をハサミツケたのが機敏でした。ここはいったん劫になりましたが、結局黒は左辺に渡り、白地だった隅が黒地に転じ、ここで黒が若干リードしたようです。しかし勝負を決めたのは左下隅の戦いで、攻め合いになったのですが、白が二子をアタリにされたのに隅をハネて行ったのが失着で、二子を抜かれると攻め合いにならず、白が丸々取られてしまいました。こうなると白は地が足らず、ヨセで黒が固く打ったので最後は黒の2目半勝ちでしたが、白がこれ以降勝つチャンスは無かったと思います。
NHK杯戦囲碁 大西竜平7段 対 林漢傑8段(2023年8月20日放送分)
返信