本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が芝野虎丸名人、白番が牛栄子女流最強の注目の一戦です。布石で黒は二連星の後、右辺に右下隅から大々ゲイマに開くという、中国流の変型のような、初めて見る形を披露しました。白が右上隅でダイレクトに三々に入ってから、右辺が黒、上辺から左上隅にかけてが白という模様の張り合いの展開になりました。そこで黒が上辺左というか左上隅に深く潜って行きました。ここからこの石の死活を巡って激しい差し手争いになりました。その結果中央で大きな劫が出来ましたが、白は臆することなく最強の手で応じ続けました。結果として、白黒双方に眼が無く、攻め合いかあるいはセキかという感じになりましたが、結局黒白双方が相手の石5子を取り合うといういい加減の別れになりました。しかし劫を巡って白は中央で厚みを築いており、形勢は白のリードとなりました。その後白は右辺の黒模様に、右上隅との渡りを見ながら打ち込んで行きました。この打込みはあわよくば黒を攻めてやろうというもので、白が右辺に展開するのを黒が妨げることは出来ませんでした。残るは下辺から右下隅にかけてで、ここでの白の消しも成功しました。残るは左下隅で、ここの白を確実に活きておけば白に残ったのではないかと思いますが、白は下辺の出という大きな手を選択しました。結果的に左下隅は劫になり、劫は黒が勝って元々白地だったところが大きな黒地になりました。これでわずかに黒が抜け出しました。終ってみて黒の3目半勝ちでした。しかし敗れたとはいえ、牛女流最強の一回戦に続く力強い打ち回しが印象に残りました。
NHK杯戦囲碁 芝野虎丸名人 対 牛栄子女流最強(2023年8月13日放送分)
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