本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が張栩9段、白番が大竹優7段の対戦です。対局前にちょっと驚いたのは、張栩9段はノーシードで1回戦からの出場なのに、大竹7段がシードで2回戦からということです。(多分本因坊戦リーグに入ったからでしょう。)時代が変わりつつあります。碁の内容も、大竹7段は、ぬるいと思われるくらい、張栩9段が利かしに来たのを丁寧に受け続けました。そうした打ち方が出来るのはそれでも遅れない、という形勢判断がしっかりしているのかなと思いました。この碁での最大の焦点は左下隅で、白が隅に入られないように外側で1手打った後に黒は隅に入って行きました。そして小さく活きるのは簡単でしたが、それをせず劫にしてかつ外側の白との攻め合いを目指しました。AIの推奨は隅は軽く打って捨てて外側から利かして左辺の模様を大きくするでした。結果論ですがそういう打ち方の方が良かったようです。結局黒は下辺の白、左辺から伸びる白のどちらとも攻め合いに持ち込むことが出来ず、隅の黒は打っただけ取られここに27-28目くらいの白地が出来、これが最後まで響きました。その後のAIの形勢判定はずっと白優勢でしたが、最後のヨセで実は左辺からの白を切り離す手があり、それを決行したら白の一部を取り込むことが出来逆転でした。張栩9段は感想戦で真っ先にそれを言っていましたので、見落として後から気付いたのか、あるいは何か嫌な図が見えたのかは分りませんが、時間は余していたので、じっくり読んで決行すべきでした。最終的に白の3目半勝ちで、大竹7段は初めての3回戦へ進みました。
NHK杯戦囲碁 張栩9段 対 大竹優7段(2023年10月22日放送分)
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