「中世合名・合資会社成立史」の日本語訳、第1回正式公開版(2020年9月23日より公開開始)はその後細かな校正で30回以上改訂して来ましたが、この度第4章の一部でちょっとした誤訳があったのを発見しこれを改めたのと、特に前半部で原注の番号が抜けている箇所が多く見つかったため、これを修正してこの機会に版を新たにしました。この際に同時にヘッダーにこれまで版番号を入れていたのを読者の便宜を考え章名に変更しました。
月別アーカイブ: 2023年12月
スター・トレック・ザ・ネクスト・ジェネレーションの”A Matter of Honor”
スター・トレック・ザ・ネクスト・ジェネレーションの”A Matter of Honor”を観ました。連邦のスタッフ交換プロジェクトで、ベンザイト人のメンドンがエンタープライズ号にやって来ます。ピカード船長は、クリンゴンの宇宙船とのスタッフ交換を思いつき、それにライカーが志願します。クリンゴンの船のパーがやって来た時、メンドンはその外壁におかしなものを発見しますが、それを完璧に調査して対策が分るまでは上官に報告すべきではないというベンザイト人の考え方でピカードに報告しません。そしてウォーフがそのおかしなものがエンタープライズ号にも発生していることを見つけます。それは一種のバクテリアで外壁を食べて増殖して行くものでした。クリンゴンの船でもそのバクテリアが見つけられましたが、既に手遅れの状態でした。クリンゴンの船長は、それがエンタープライズ号による攻撃と解釈し、ライカーに対しエンタープライズ号への攻撃を命じます。ライカーはウォーフからもらった非常シグナル発生装置をクリンゴンの船長に渡し、エンタープライズ号はライカーを転送させようとしたのがその船長がエンタープライズ号に転送されます。船長がいなくなったので、ライカーが船長になり、エンタープライズ号に対し、シールドを解放して降伏することを命じます。すぐにライカーの意図が分ったピカードはその通りにします。そしてエンタープライズ号はそのバクテリアの対処方法をメンドンが見つけ、エンタープライズ号はクリンゴン船のバクテリアを除去します。それが完了すると同時にライカーはエンタープライズ号に戻り、クリンゴンの船長は自分の船に戻されます。
クリンゴンの考え方というのが色々出てきてそれなりに楽しめた話でした。しかしメンザイト人は何か良く分らない存在でした。
ウルトラマンAの「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」
ウルトラマンAの「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」を観ました。ヤプール人に仕える地底人がアリブンタという超獣を使って、人間のO型の血液型の女性を蟻地獄に落して捕まえるという事故が頻発し、夕子も危うく犠牲になりかけます。TACが竜隊長以下3人で、ジェットモグラみたいなので、地下に潜って攻撃しますが、逆襲され地下で動けなくなります。酸素は一時間分しかありません。ここでウルトラマンAの意外な弱味が暴露され、地底に潜ることが出来ないので助けに行けないことになりました。星司は、夕子にもう一度蟻地獄に捕まることを命じ、実際に夕子が吸い込まれた時、星司も一緒に穴に飛び込んでAに変身します。しかしそれは実は地底人の罠で、Aは敢え無く地下に閉じ込められ動けなくなります。そこでご都合主義のウルトラサインをM78星雲に送り、何とゾフィーが助けにやって来ます。ここでウルトラシリーズ初の怪獣と地底人、Aとゾフィーというタッグマッチが始ります。最後はAとゾフィーがそれぞれ超獣と地底人を脇に抱えて頭を衝突させるという、完全なプロレス技で両方を一度に倒します。このウルトラマンAではウルトラ兄弟路線が定着し、やたらとウルトラ兄弟が出てきますが、第1話に続いてゾフィー登場の回でした。あそれからアリブンタは蟻という設定ですが、実際は蟻と蟻地獄が混ざってます。
スター・トレック・ザ・ネクスト・ジェネレーションの”Unnatural Selection”
スター・トレック・ザ・ネクスト・ジェネレーションの”Unnatural Selection”を観ました。エンタープライズ号は宇宙ステーションインディアに向かう途中で救助信号を受信します。それは連邦の輸送船ラントレーからでしたが、エンタープライズ号が駆けつけた時には全員が死亡していました。残された船長のログから、彼らがダーウィン遺伝研究所を訪れた後、急速に老化が進む病気に感染したことが分ります。エンタープライズ号はダーウィン遺伝研究所と連絡を取りますが、そこでも同じ病気が進行中でした。しかしそこの女性研究者は、「子供達」は感染していないから、エンタープライズ号に収容させてほしいと頼みます。しかし危険があるため、医者のプラスキーは、結局シャトルを使いそこに子供の一人を転送させます。そしてその子供、実は遺伝子操作によりテレパシー能力を持ち、病気への免疫も大幅に強化されていました。しかしプラスキーは感染し、その子供がキャリアーになっていることが判明します。結局、ラントレーの乗員の一人が軽い風邪のライノウィルスを研究所に持ち込んだのを、子供達の免疫機構が強力な抗体を作り出し、それが実は健康な人間のDNAを書き換え、老化させるということが分りました。しかしこのDNAの変化は不可逆であり、治療方法がありません。ピカードはしかし、転送装置が一度人間の身体を分解し、元に戻す過程で、本来のDNAと改変されたDNAの間の違いをフィルタリングするという方法を発見します。この方法は成功するかどうか不明でしたが、プラスキーは無事に元の年齢に戻り、他の研究所のメンバーも回復します。
ということで、ストーリーはなかなか良く出来ていたと思います。またピカードとプラスキーが今一つしっくりいっていない様子も描かれますが、おそらくファーストシーズンのカークとドクター・マッコイのようなやり合いをネクスト・ジェネレーションでも再現しようとしているのかと思いました。
中安信夫の「反面教師としてのDSM -精神科臨床判断の方法をめぐって-」
中安信夫の「反面教師としてのDSM -精神科臨床判断の方法をめぐって-」を読了。
これを読んだのは最近DSMというのに大いなる疑問を抱き始めたからです。(DSM{Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders}はアメリカの精神科医学会が出している、メンタルな症状の分類とその判定方法のマニュアルです。)それは、
(1) 最近やたらと発達障害とか、平均的な人に比べ若干劣っている部分があるだけで、病気にしてしまう風潮
(2) アンケート方式の安易な「うつ」(大うつ)診断、それによるうつ病患者の(表面的)増加
がDSMのせいではないかと思うようになったからです。
私が最初にDSMというものを知ったのは、2003年春に高校時代からの親友が、それまで「うつ病」ということで数年間服薬していたのに、そこにアルコール依存が加わり、また突然高揚状態になり、一日に何度も電話してきて、自作の支離滅裂なストーリーを勝手にしゃべってその後一方的に電話を切ったり、また隣人と諍いを起して暴力沙汰になりかねたり、と色々ありました。それで親友のは「うつ病」ではなく、「双極性障害(躁うつ病)」であろうと思うようになりました。その親友を診ていた医者は数年間に渡り、診察無しで代役で来た母親にうつ病の薬を渡していました。(双極性障害の患者には抗うつ薬ではなく、リーマスなどの気分安定剤を処方する必要があります。でないと躁状態の時に抗うつ薬でそれが更にひどくなります。)つまりは一種の医療過誤であり、徳島のその手の機関に相談に行ったことがあり、それで事前に「双極性障害」かどうかきちんと判定出来ないかと思ってネットで見つけたのがDSMでした。(結果的にその時に面談した精神科医も、後でメールでやりとりしたやはり高校の同期で精神科医になっていた者も、双極性障害であろう、ということで一致しました。)
DSMというのは要するに、精神的な病的症状を誰が診ても同じ結果が出るように、症状を細かく分類し、それぞれに判定の目安となる症状(エピソード)が列挙してあって、例えば大うつ病なら9あるエピソードの5つ以上だと該当、とかそういうものです。
まず著者の中安氏は日本精神病理学会理事長で、統合失調症の専門家です。中安氏はDSMを厳しく批判します。その理由は5つで、
(1)症状学というものを無視して、お互いに独立しているかどうか怪しいエピソードを羅列している。また「大うつ病」なら睡眠について「ほとんど毎日の不眠または過眠」とだけあります。しかし睡眠の障害には[1] 寝付けない [2] 何度も目が覚める [3] 早朝に覚醒してそのまま眠れない、などの種類があり、それぞれ別に扱うべきですが、DSMでは一緒くたです。
(2)択一式の診断方式を採っていて、それぞれのエピソードに当てはまるかどうかは○×であり、またその○が何個以上あるかで判定しています。これは私が考えてもおかしく、マハラノビス距離じゃないですが、エピソード間にどの程度相関性があるのかを考慮しないで、それぞれを同格に扱うのは統計学上も問題があります。
(3)Comorbidity(共存症)を認める。これは例えば大うつ病と統合失調症が同時に起こる可能性を認めているということです。
(4)NOS(Not Otherwise Specified)の採用。これは逆に「どれとも判定出来ない」というのを大分類と小分類の両方で認めているということです。
(5)成因論、何故その症状が出るようになったのかという点が考慮されない。
私は以上の5つの論点の批判はもっともだと思います。またもっと大きな問題として、このDSMを使って判定することで、本来精神科医がもっとも時間をかけて行わなければならない患者の「表出」(顔の表情、話し方、興奮度、身だしなみ、など患者について医者側から観察出来ること)の分析がまったく行われなくなる、という危険性も指摘されており、それは実際に日本で起きています。
この先生によるとアメリカは精神医学の後進国だそうです。(先進国はドイツとフランスだと言っています。)日本はその先進国に学んで来たのに、こんな後進国が作ったインチキなものを使うのは止めようという主張です。DSMは素人には便利ですが、専門家が安易に使うものではない、というのはその通りでしょう。
私の経験からおかしいと思っていることは、心療内科での「うつ」の判定が単なるアンケートであり、実際はそういう症状が無くても全部○を付ければほぼ確実に「大うつ病」であると判定されます。そして診断書をもらって会社だったら休職出来る訳です。最近「新型うつ」というのが増えているのですが、私はその大半はこうした主観的アンケートの回答で簡単に「うつ」と判定されることでそうなっているのだと思います。この先生も「うつ病の患者は決して増えていない」と主張されています。
丸餅ゲット
Amazonで丸餅をゲット。うつから回復した後、ここ10年くらいは正月休みは温泉宿に行ってそこで過ごすのを恒例としていましたが、今回は新しい家に移って最初の正月なので家でのんびりと過ごしたいと思っています。温泉に行きたければ近くに藤野やまなみ温泉がありますし。それでお雑煮も今年は自分で作ろうと思っていますが、お餅が関東風の角餅だと気分が出ません。大体関東が角餅なのは江戸時代に人口が増えて、餅を丸める手間を省くために包丁で切り出したのが最初で、本来は丸餅です。川崎のスーパーでは丸餅も売っていましたが、上野原のスーパーでは売っていなかったのでAmazonで注文しました。西日本は全て丸餅(一部例外有り。例えば徳島では元々蜂須賀家で名古屋方面から来た人の家は今でも角餅を使うようです。)なので、新潟の餅メーカーも当然丸餅を販売しています。
ちなみにお雑煮は、亡母直伝のすまし汁+白菜+餅+カマボコ+昆布と干し椎茸の出汁というあっさりしたもので、どちらかというと関東風で下関あたりの標準ではなく、亡母が何かを見て作り出したものです。
ウルトラマンAの「3億年超獣出現!」
ウルトラマンAの「3億年超獣出現!」を見ました。中学生の時に、美川隊員にラブレターを渡したけれど、その場で突き返されたという、漫画家久里虫太郎(小栗虫太郎ファンが怒るぞ!)の描いた絵がヤプール人に超獣化された、ガランが登場します。まあヤプール人が人間の欲望や妄想を利用したということで、虫太郎の描いた漫画通りのことが実際に起きますが、ウルトラマンAが光線技でガランの右腕を切り落としたのが、精神感応で虫太郎の右手も使えなくなり、結局Aの光線技3連発で倒されます。元が漫画だけあって、ガランもまさしく漫画的でいま一つ実在感が弱いです。しかし北斗隊員と南隊員、毎回無理矢理なタッチをします。今回は北斗隊員がアローから脱出して、地上からジャンプした南隊員とタッチします。脚本家も苦労しているように思えます。
NHK杯戦囲碁 福岡航太朗4段 対 一力遼三冠王(2023年12月24日放送分)
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が福岡航太朗4段、白番が一力遼三冠王(棋聖・本因坊・天元)の対戦です。布石は何だか豆まき碁というか、相手の手に受けずにお互いが先を急ぐ展開で、左上隅の白の肩付きにさえ黒は手を抜きました。局面が動いたのは右下隅の攻防で、白が下辺の黒二間ビラキにいっぱいに詰めたのに対し、黒は白の隅のコスミのカドにまで迫りました。白は一つ押してから下辺からケイマに煽りました。黒はその石に付けて中央への脱出を図りましたが、白は強く抑え込んで劫付きながら黒を封鎖しました。結局ここで白は中央で黒2子をシチョウに抱え(序盤で打った左上隅の肩付きが丁度シチョウアタリになっていました)、また劫の関係で黒二子を抜いて厚くなりました。その厚みを生かして右辺に打込み、右辺下方の黒を攻め、結局黒を渡らせた代わりに黒の中央にケイマに飛んだ石を切離し、中央が白っぽくなりました。その後戦いは左下隅に移り、黒が三々に潜って振り替わりを目差したのに、白は全体を攻めようとしました。しかし結局白は黒を活かし、その代わりここでも中央が厚く、かなり中地が付きそうな状況になりました。ここで先ほどの黒二子をシチョウに抱えていたのが、左辺の攻防の結果黒の逃げ出しが可能になっており、実際に黒は逃げ出しを決行しました。しかしここでも白は深追いせずに黒を活かして打ちました。白はその後右上隅でわざと白二子を捨て、その代わり先手で上辺で黒1子を取り、上辺が安定しました。それを利用して今度は左上隅の黒をハサミツケから攻め立てました。黒は中央に逃げましたが、先ほど活きとなっていた中央の石がカラミとなり、結局最後は黒の左上隅も中央も全部死んでしまうということになり、黒の投了となりました。一力遼三冠王の緩急を付けた攻めの上手さが光った白の名局でした。
トワイライト・ゾーンの”The Parallel”
トワイライト・ゾーンの”The Parallel”を観ました。このタイトルはすぐに内容を予想させてしまい、その通りにパラレルワールドものでした。宇宙飛行士のロバート・ゲインズ少佐は、地球周回のロケットの飛行士として打ち上げに臨みます。打ち上げ後、突然本部との連絡が取れなくなり、彼は強い衝撃を受け、気を失います。彼が目を覚ますと、基地の病院のベッドの上でした。彼は6時間連絡不通だった後、打ち上げの場所のすぐ近くに、大気圏再突入時の高熱の痕跡もまったく無いカプセルに乗って無事着陸している所を発見されました。彼は家に戻されると、妻と娘が出迎えましたが、そこに何故か無かった筈のフェンスがあるのに気付きます。妻に聞くとそれは家を買った時からある、と言います。そしてゲインズは自分の帽子に少佐ではなく中佐の徽章が着いているのに気付きます。帽子を間違えたのかと思ったら、机の上の写真も中佐の徽章を付けていました。その内に彼の妻も娘も、ゲインズが別の人だということに気付き始めます。そして現在の大統領がケネディでは無いということも分ります。彼は百科事典をチェックしますが、そこには彼が知っている歴史とは微妙に異なる歴史が書いてありました。実は基地の方でもゲインズが乗って来たカプセルが、元々打ち上げたものと微妙に違うことに気付きます。ゲインズは自分がパラレルワールドに来ていることを自覚します。基地で取り調べを受けている時に彼はまた飛行中の宇宙船の中に戻ります。彼は基地に「今の大統領の名前は?」と聞きます。
結局ゲインズは元の世界に戻りましたが、彼がパラレルワールドにいたということを誰も信じてくれません。しかしその時基地のレーダーにUFOが現れ、それはゲインズのと同じようなカプセルで、その飛行士は自分が「ゲインズ中佐である」と言っていて、ゲインズが言っていたことが真実であったことが証明されます。
うーん、パラレルワールドと言っても、2つだけで、多元宇宙ではなく、まあSFを読んでいればすぐ出てくるアイデアのように思います。私だったら、ゲインズが現大統領の名前を聞いたらケネディだったけど、微妙に違うケネディにして、結局また別のパラレルワールドに来てしまったことにしますが。
氏家幹人の「武士道とエロス」
氏家幹人の「武士道とエロス」を読了。まあ日本のLGBTQ問題を考えるための資料としてです。タイトルは直接的には書いていませんが、要するに日本で戦国時代から江戸時代の最初の方までいかに衆道=男色がはびこっていたかという本です。まあ知識としては知っていましたが、その程度までは知らず、一時は女色よりもはるかに男色が盛んだったというのを知って、それはさすがに驚きました。またそもそも男色の始まりは寺院での僧侶が稚児を可愛がったことであり、当然のことながら仏教に同性愛を禁じる戒律はありません。また儒者では中江藤樹は、その僧侶の男色を嘆かわしいとして非難する一方で、その弟子の熊沢蕃山は、「あまり男色を厳しく排除すると、その経験のある若者が集まってこなくなる」と実にさばけた判断をしています。また神道に関する記述はありませんが、神道も男色を含む同性愛を禁じたというのは聞いたことがありません。またこの現象は東アジアに普遍ではなく、日本が一番程度がひどく、朝鮮通信使が雨森芳洲に苦情を言ったら、芳洲が「あなたも経験すればその楽しさが分ります」と答えてあきれられたという話もあります。
それでも17世紀になると次第に男色は禁じられていくのですが、それがまた明治になると薩摩藩の出身者がまたそれを東京に持ち込むということが行われます。薩摩のは「若衆宿」という、社会学で言うメンナーハウスというある意味戦士の養成機関での男色が盛んだったようです。そういえば衆道の話って「カムイ伝」にも出て来ますよね。
ちなみに江戸時代には、女性の同性愛も少しはあったようですが、ほとんど表に出てくることはなかったようです。
結論として日本における同性愛への差別は、17世紀くらいから出て来たようですが、元はといえばとても寛容な社会だったということが再確認出来ました。