本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が山下敬吾9段、白番が富士田明彦7段の対戦です。二人は去年のNHK杯戦でも同じ3回戦で当たり、その時は山下9段が勝っています。いつも新しい布石を見せてくれる山下9段が、左上隅で小目の白に対し5の5にかかるという手を披露したのですが、そこで白は受けずに右下隅で同じ位置に打ち返すという意地を見せました。そこから進んで焦点となったのは左上隅と左辺の戦いで、富士田7段が山下9段のお株を奪うように自分から仕掛けて黒を分断しました。その後の折衝でおそらく黒に疑問手があり、結局黒9子が攻め合いにもならず取られてしまい、また上辺で劫になりましたがこれも白が勝ち、併せて40目レベルの白の確定地が出来て白が優勢になりました。しかし黒が左下隅にかかった石を白が目一杯はさんだのがある意味打ち過ぎで、その後の折衝で黒が中央を厚くして上方の白を攻めながら右下隅方面の大模様をまとめる、という願ってもないチャンスが黒に来たのですが、黒はそのチャンスを逃してしまいます。白は上下2つの弱石をしのぐ必要がありましたが、両方を巧みにしのぎ、白の中押し勝ちになりました。富士田7段は昨年の雪辱を果たして準々決勝に進みました。
NHK杯戦囲碁 山下敬吾9段 対 富士田明彦7段(2025年1月26日放送分)
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