ウルトラマンタロウの「僕にも怪獣は退治できる!」

ウルトラマンタロウの「僕にも怪獣は退治できる!」を観ました。大ムカデというのは、俵藤太が退治したという伝説が残っていますが、その大ムカデがそのまんま怪獣になったような話です。しかし大ムカデは頭部と胴部が分離してもそれぞれ生きていて挟み撃ちでタロウを攻撃したり、毒液を放出してタロウを苦しめますが、タロウは各個撃破で何とか倒します。紙芝居屋の子供がこの怪獣との戦いで正義に目覚める、というまあありがちなエピソードでした。

トワイライト・ゾーンの”Sounds and Silences”

トワイライト・ゾーンの”Sounds and Silences”を観ました。ラズウェルはモデルシップの会社の社長で、長年海軍のリクルートもやっていました。彼は子供の時、母親がノイズに敏感でいつも静かにするように言われていた反動で、大きな声でしゃべり、海軍関係のレコードを大音量でかけたり、会社の中で船舶用のベルを鳴らしたりとそんな調子です。彼の妻は20年間我慢して来ましたが、ついに我慢でき出なくなって出て行きます。その時からラズウェルには小さなノイズが全て爆音のように聞こえるようになります。耳鼻科では問題ないと言われ、精神科を受診し、結局子供の時の母親の言いつけが今奥さんが出ていったのをきっかけにまた彼の精神の中で増幅してそういう現象を産み出しているということで、要は「気のせい」ということでした。実際に精神科を受診してらか彼は正常に戻ったのですが、彼の妻が宝石を取りに戻ったのに怒鳴ったら、彼女の反論が蚊の鳴くようにしか聞こえなくなりました。ラズウェルはこれこそ精神の力で感覚をコントロール出来たのだと喜びましたが、今度は全ての音がミュートされてごく小さな音でしか聞こえなくなりました…
というエピソードですが、うーん、この辺りのトワイライト・ゾーンのお話はかなりマンネリで、ただ異常な現象が起きているだけというのが多いです。

ウルトラマンタロウの「これがウルトラの国だ!」と「燃えろ!ウルトラ6兄弟」

ウルトラマンタロウの「これがウルトラの国だ!」と「燃えろ!ウルトラ6兄弟」を続けて観ました。ウルトラセブンの「超兵器R1号」とかなり似たプロットで、怪獣「ムルロア」の名前は、私の世代ならすぐにそれと分かる「ムルロア環礁」からでしょう。(フランスの核実験場です。)欧州のある国が開発したトロン爆弾という核兵器の実験のため、遠く離れたムルロア星をその爆弾で爆破し、その星にいた蛾の一種が放射線で怪獣化して地球を襲うというもの。結局タロウは最初あっさり負けて変身を解いて地面に倒れていた所、ウルトラの母が登場し、怪獣が撒散らしたガスで地球が真っ暗になったのを元に戻すためには「ウルトラの国」のあるものを取ってくる必要があると言います。タロウがウルトラの星に戻ると、そこにはご都合主義で、先日死んだ筈のゾフィーが何の説明も無く復活していて、6兄弟が合体して「鐘」を取り出し、それを地球に持っていって光りを元に戻します。怪獣はタロウに直接やられたのではなく、水爆8個分の威力を持つというAZ1974という爆弾でやられます。ウルトラセブンの「超兵器R1号」ではセブンがR1号の開発を止めるべきだったのでは、と苦悶しますが、このタロウのお話はまるでそういうのは無しです。ちなみに実際の人間の兄弟姉妹で6兄弟が登場しますが、あっさり両親が怪獣に殺されたり、長男が闇水売りのトラックにはねられたり、と何しに出て来たか分からない存在になっています。

NHK杯戦囲碁 表悠斗3段 対 許家元9段(2025年2月2日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が表悠斗3段、白番が許家元9段の対戦です。本局は何と言うか戦いが最初から最後までほとんどなかった中で、許9段が左辺から左下隅で2線の覗きを決めて、左下隅の黒に一手入れさせて一本取ったのと、右下隅方面への黒へのヨセで、割り込んでわざと1子取らせたのを下からも上からも二重に利かしに使うという小技を出して、それでリードを拡げたという感じで、結局白の5目半勝ちでした。黒は左上隅の三々に打ちこむチャンスが2回ありましたが、どちらでも決行しませんでした。もちろん手になったかどうかは分かりませんが、形勢が悪いのにそのまま淡々とヨセを打った、という印象です。表3段は17歳初出場で3回戦まで来れた、というのは立派ですが、こういう戦わない碁で上に行けるのかな、という気がします。トップの一人の井山裕太3冠がともかく目一杯の手を打つのをやはり参考にすべきではないかと思います。

辻直四郎著の「ウパニシャッド」

辻直四郎著の「ウパニシャッド」を読了。この書籍は辻博士が戦前NHKのラジオでウパニシャッドの入門番組をやった時の番組に大幅に加筆したものが前半、後半はいくつかのウパニシャッド文献の日本語訳です。
ウパニシャッドはヴェーダの中から生まれたインドの宗教的かつ哲学的思想の中心かつ頂点を占めるものです。リグ・ヴェーダの内容は様々な諸神に儀式とソーマ(神酒)を捧げて御利益を得るようにする、というきわめて現世志向だったものが、ウパニシャッドはまったくその反対の現世の否定、現世からの脱却を解くものになります。ウパニシャッドではブラフマン=梵とアートマン=我の二元論が中心であり、ブラフマンが宇宙創造の原理のようなもの、それに対しアートマンが我という感じが当てられている通り、それぞれ個々の人間の中にあるものということになり、最高の理想はこの梵と我が一つに溶け合ういわゆる梵我一如というものになります。この梵我一如の境地の譬えに、あるウパニシャッドの文献では、「夢を見てない状態の睡眠」(今日の用語ではノンレム睡眠)がそれに近いとされます。しかし、普通に考えれば夢を見ていない眠りは、半分死んでるようなものではないかという気がします。この思想からは現世において力強く生きていこう、ということにはならず、インドでのこの梵我一如の追求は、遊行するか苦行するかのどちらかであり、どちらにせよこの現世での自分の役割を果たすといった思想はまるで感じられません。インドは16世紀にムガール帝国のイスラム教徒の支配下に入り、そしてご承知の通りその後イギリスの植民地となり、かなり長い間の停滞を経験します。その遠因の一つがこうした思想ではないかと思います。
なお、ブッダの仏教ではブラフマン=梵は認めますが、アートマン=我は、諸法無我という言葉で分かるように否定されています。
なお、収録されているウパニシャッドの具体的な話の中には、クシャトリアである王に詭弁じみた論争を仕掛けたバラモン僧が、王にことごとく問いを論破され、その結果負けたバラモン僧の頭が爆発して砕け散る、といったすさまじいものもあります。カーストではバラモンはクシャトリアより上ですが、実際にはそうでもない場合もあったようです。