「原子力潜水艦シービュー号」の”Time Bomb”

「原子力潜水艦シービュー号」の”Time Bomb”を観ました。第2シーズンの第2話ですが、この話で初めて新しいメカである「フライング・サブ」が登場します。第1シーズンのミニサブは単に小さな潜水艦でしかも防水シールドされておらず乗組員はウェットスーツを着けて乗り込まないといけないものでした。それに比べて「フライング・サブ」は気密性があるので、ノーマルスーツで乗り込めますし、何より潜水艦としてだけではなく海面から発進して空中を飛べるという優れものです。しかし海面から飛び上がるシーンはかなりヨタヨタしていますが…またシービュー号の全面のガラス(ハーキュレース)は第1シーズンでは2段になっていましたが、この回から1段に変わります。ちなみにフライング・サブがどうやってシービュー号に搭載されるようになったかの説明はまるでありません。
ちなみに第2シーズンからはシービュー号のクルーにも新顔が2人加わっており、こちらは第1話で既に登場していました。
で今回のお話なのですが、何というか二流の007としかいいようのないスパイ物です。007の「ドクター・ノオ」が公開されたのが1962年で、この第2シーズンは1965年で、スパイブームのまっただ中です。ミニサブ自体がボンドカーのような乗り物の影響を受けていると思われますし、また何故かかなり年配の筈のネルソン提督がスパイ役として、黒海の畔の都市にあるソ連の核兵器の製造基地に乗り込みます。笑っちゃうのが、ネルソン提督が出発する前に、色々な「秘密兵器」の説明を受けることで、007そのままです。しかもその説明をするのがタイム・トンネルで老博士スウェインを演じていた役者で、「原子力潜水艦シービュー号」では2度目の登場です。ネルソン提督はジェームズ・ボンドばりに味方のエージェント(女性)と濡れ場まで演じます。でそのエージェントがダブル・エージェントであり、実は最初からソ連の罠で、ネルソン提督はアメリカで水鉄砲に似せた特殊が銃で体内に特殊なセシウムを注射されており、核反応炉にネルソン提督が近づくと核爆発を起こし、それがアメリカの攻撃だという口実にしようとする陰謀です。それでネルソン提督を止めるために、クレーン艦長もカメラマンに化けてスパイ活動を行います。
何だか先が思いやられる第2シーズンです。

「原子力潜水艦シービュー号」の”Jonah and the whale”

「原子力潜水艦シービュー号」の”Jonah and the whale”を観ました。この話から第2シーズンとなり、カラーになります。ソ連の海底研究所が大クジラに襲われ破壊されます。それを設計したロシア人女性博士が、シービュー号から潜水球(ダイビングベル)を降ろして破壊の跡を調査しようとします。(何故アメリカとソ連が仲良く協力しているのかの理由は不明です。)しかし最初の調査で潜水球がまたもクジラに襲われ乗っていた人は死にます。それで次はロシア人女性科学者とネルソン提督が潜水球で調査に向かいますが、こちらもクジラに襲われ、クジラに潜水球が飲み込まれてしまいます。後はシービュー号のクレーン艦長以下が如何にこの潜水球を救助するかというだけの話です。タイトルは旧約聖書の「ヨナ記」に基づいています。この旧約聖書ではヨナは大きな魚に飲み込まれ、その腹の中で3日を過ごします。ともかくクジラの体内の特撮がちゃちでビニールとかを使っているのが丸わかりでアーウィン・アレンらしい安っぽさです。

NHK杯戦囲碁 高尾紳路9段 対 小林覚9段

本日の(正確には昨日の)NHK杯戦の囲碁は黒番が高尾紳路9段、白番が小林覚9段の実力者同士の対局です。布石は右上隅でナダレもどきになり、左上隅でも白が黒にカケを打ったので、黒は両方で3線を這った形になり、白が中央に向かって厚くなりました。白が左辺を大きく模様にしたのに黒は低く打ち込み、ここで劫になりました。しかし黒は左辺を活きに行こうとはせず、軽く捨てて、その替わり下辺の白を切り離しこれへの攻めを見ました。白は右下隅でも左辺から一本かかったきりになっており、黒は下辺を攻めるとみせてこちらも狙っていました。白はそれを察知しまず右辺から動き下辺とは連絡したふりをしているという感じでした。黒はその2つを切りにいきましたが、白は右下隅にすべって眼形を確保しにいきました。黒はすぐその石を切り離しに行きました。白は右下隅で実利を得ましたが、中央と下辺と弱い石が2つ出来ました。中央を捨てるかと思いきや、中央の白を動き出し、右辺の黒にプレッシャーを与えました。この結果右辺に石が来たので、右上隅に切りが成立するようになり、実利で得をしました。その後白が上辺に打ち込み結局右上隅の黒を取りましたが、黒も代償で中央の白を取り、この辺り互角でしたが、やや白がリードかという形勢でした。その後左上隅で大きな劫になり、黒が勝って若干得をしましたが、まだ白が少し厚い形勢でした。黒は挽回しようと左辺で更に劫を仕掛けましたが、この劫は白が勝ち、黒は2目ほど損をしました。結局白の4目半勝ちとなりました。プロらしい、お互いに捨て石を駆使した面白い対局でした。

Cell phones and social etiquette

The following essay is what I wrote as an assignment of an English school AEON.

Topic: Cell phones and social etiquette
Style: Formal
Among many alleged manners for cell phones or smartphones, the most vocal one in these days might be “do not use your cellphone/smartphone while you are walking on the street”. It is absolutely true that looking at the screen of a cellphone/smartphone during your walk is quite dangerous not only for you, but also for others whom you may jostle. Some of smartphone applications, however, require users to watch the screen while they are walking. The most typical one is Google Map. Many people (including myself) use the app to find destinations when they are lost in unfamiliar areas. Some may argue that we should use the “vocal guidance” function so that we do not need to look at the screen. For many others, however, it is inevitable to look at the screen even with some vocal guidance since the app is named “map”. And a map is to look at while we are walking. In the past, when we had no cellphone/smartphone, nobody said that we should not look at a paper map while we were walking. The difference between the old information system and the new one is, just the number of people who use it. People did not always have maps in the past, but now most of them have smartphones and they use them almost all the time while they are awake.
From this example, we can argue that we should think more how to solve the addiction to smartphone than to expect good manners for smartphones. For many young people, the first thing to see in the morning after they woke up and the last thing to see before they fell asleep are the same thing, their smartphones. When I travelled in China in last September, what shook me most was the fact that many young engineers with whom I had a lunch one day started to check their smartphones as soon as they finished eating. At this point of change in personal behavior, we should intensively study potentially negative impacts to human health for both body and mind.
As a conclusion, smartphone addiction is quite a serious problem and to consider good smartphone etiquettes is quite useless without thinking of possible solutions for this addiction.

究極の果物剥きを求めて

究極の(?)果物剥きを求めて。元々毎日包丁を使っているのは、リンゴ、梨、柿といった果物剥きのためでした。一番左のヘンケルの比較的安価な三徳包丁を使っていましたが、研ぎ技術がアップして切れ味が良くなると、もっと他の包丁を試してみたくなりました。左から2番目がより大形の三徳包丁ですが、これは明らかに失敗で、刃厚がありすぎて食いつきが悪く、ある一定の力以上になるとすっと切れるので、危ないです。実際指を切りました。次が日本の伝統である、小形の薄刃の皮むき包丁(両刃)です。これは刃の全体を使えるので、確かに柿などの皮を剥くのには最適ですが、如何せん刃の長さが短かすぎてリンゴを割ったりするのには不向きです。次にそれより長いペティナイフです。よくあるペナペナしたのではなく、硬めのものです。これも悪くないんですが、刃の幅が狭いと、意外と剥きにくい感じです。それで結局三徳包丁に戻って来て、元々使っていたヘンケルの17cmよりちょっと短い15cmのに落ち着きました。和食での包丁の使い方の基本は桂剥きだそうですが、西洋包丁を使っていても皮剥きは基本中の基本のように思います。

和包丁(片刃包丁)の「裏押し」のコツ

小出刃も買いました。それで懸案の「裏押し」(和包丁の裏は中スキといって中央部を削いであって、平面に置いて横から見ると、2点接触状態になっています。裏押しはこの点で接触している部分を削って置いた面と平行な平面を作って、表の刃に対する基準面を作る作業です。)に再チャレンジしました。今度はうまくいったんじゃないかと思います。コツは、

(1)1000番の中砥を使い、まず準備として表面を完全に近い平面にすること。私は、ツボ万 アトマエコノミーというアルミ板にダイヤモンドペーパーを貼り合わせたものを面直しに使っています。要するに平面を出す作業なんで、砥石の方が平面でないと包丁も平面になりません。
(2)包丁を裏を砥石に当て、刃がある側を前面にします。包丁は砥石に対し直角にセット。
(3)研ぐ方向は刃がある側に向けて押して研ぎます。引いてはいけません。
(4)指で押すのは若干刃のある側により力を入れる。峰側に力を入れると刃先にうまく平面がつきません。
(5)場所を変えて研ぎますが、各回、4~5回で十分で、研ぎすぎは禁物。研いだ後、光っている場所が数mmあれば十分です。
(4)中砥の作業が終わったら、仕上げ砥に変えて、出来た平面を鏡面に仕上げます。

なお、刃先に関しては鏡面になっている部分が大きくなりますが、これは刃先にRがついているせいで、正常なので気にする必要はないです。

一回裏押しの作業が終わったら、以降は中砥では研がず、仕上げ砥のみを使って軽く研ぐだけにします。

参考文献:柴田書店 SHIBATA BOOKS 「包丁と砥石」
包丁の研ぎ方の本は4冊くらい読みましたが、この本が一番お勧めです。

広中一成の「牟田口廉也 『愚将』はいかにして生み出されたのか」

広中一成の「牟田口廉也 『愚将』はいかにして生み出されたのか」を読みました。読んで内容にかなり疑問を持ちました。サブタイトルの意味は、「牟田口廉也の『愚将』ぶりは、個人の才覚というより陸軍の構造的問題が生み出したもの」という所に留まらず、「実は言われている程牟田口廉也は愚将ではない」とまで言いたいように見えます。牟田口並みの「愚将」が陸軍にゴロゴロいたのはそれは事実でしょうが、それをもってして牟田口の「愚かさ」は弁護できないと思います。
(1)一番強硬にインパール作戦を主張したのは牟田口で、彼がいなかったら実行されなかった可能性が高い。
(2)無謀極まりない作戦でありながら「これ以上確実な戦いはない」などと非合理きわまりないことを主張した。
(3)実際にはまったく機能しなかった「ジンギスカン作戦」の失敗が明らかになっても、次の手を打たず、「敵の食料を奪取せよ」と無茶苦茶な命令を出し続け、兵士を餓死に追い込んだ。
(4)何かと言うと部下を更迭した。
(5)きわめて極端な精神主義で戦いは勝てると主張した。
等々を考えると、牟田口を「愚将」とするのに十二分な理由があると思います。
しかもこの本は、インパール作戦を巡る命令体系については詳しく書きますが、インパール作戦に参加した兵士の悲惨さについてはあまり書いていません。全部で9万人が参加し、生きて帰ってこれたのはわずか1万人程度、という太平洋戦争で最悪の結果を引き起こしたということがあまり書かれていません。
また、牟田口の上官がインパール作戦を止めなかったから、牟田口だけの責任ではないのだ、という理屈は丸山眞男の「無責任の体系」そのものです。
結論として、この本をもってして従来の「牟田口=愚将」という見方が覆ることはないでしょうし、またあってはならないと思います。

「原子力潜水艦シービュー号」の第1シーズンのまとめ

「原子力潜水艦シービュー号」の第1シーズンのまとめです。
全32話で、1964年から65年にかけて放映されています。各話のタイトルは以下の通りです。
Eleven days to Zero、The City Beneath the Sea、The Fear makers、The Mist of Silence、The Price of Doom、The Sky is falling、Turn Back the Clock、The Village of Guilt、Hot Line、Submarine Sunk Here、The Magnus Beam、No Way Out、The Blizzard Makers、The Ghost of Moby Dick、Long Live the King、Hail to the Chief、The Last Battle、Mutiny、Doomsday、The Invaders、The Indestructible Man、The Buccaneer、The Human Computer、The Saboteur、Cradle of the Deep、The Amphibians、The Exile、The Creature、The Enemies、Secret of Loch、The Condemned、The Traitor

全体の印象は一言で言うと「ぬるい」というもので、SF的な話にしても、スパイ的な冷戦ものにしても、もう一つ詰めが甘いという感じで、特に特撮はちゃちです。特に”The indestructible man”の宇宙の調査から戻って来たロボットはひどいですね。後はリアリティの点でかなり疑問が残るということです。一応タイトルは「原子力潜水艦シービュー号」で「原子力」が頭に付いているのですが、その原子力エンジンがトラブって放射能が漏れるといった話は0であり、”Submarine Sunk Here”の回に至っては、シービュー号は機雷に接触して沈没してしまうのですが、その時も放射能による海洋汚染とかに関してのセリフは一言もありません。
さらに良く分からないのが、シービュー号の位置付けで、一応民間の団体である「ネルソン海洋研究所」の所属であり、クレーン艦長も何度も”civilian”だと言っています。しかしその一方でシービュー号は最先端のポラリス型核ミサイルを18基も搭載していて、この面では完全に軍の管轄下にあります。またネルソン提督もクレーン艦長も何度も国からスパイ活動を命じられています。
さらには、番組の中で何度かシービュー号は「最強の兵器」だということが強調されます。しかしながら各ストーリーの中でシービュー号の強さが際立つ、という話はほとんどなく、特に巨大タコ、巨大クジラ、巨大クラゲという海中巨大生物ものの話では、ともかく巨大生物に体当たりされてシービュー号のどこかが故障し、というのがほとんどルーチンでした。シービュー号の武器としても常には使えない核ミサイルを除くと後は魚雷が4門だけで、しかも近距離の敵には使えません。巨大クラゲの時などは電撃を使っていましたが、その程度です。
また、フィルムの使い回しも各所で見かけられ、特に非道かったのが、”Turn Back the Clock”の回で、映画ロスト・ワールドのシーンをまったく変えないでそのまま使い回しています。(どちらにもデヴィッド・ヘディスンが出ています。)氷山の間から海面へ浮かび上がるシーンも多分映画版のをそのまま使っています。
良いと思うのはネルソン提督役のリチャード・ベースハートの演技ですね。これに対し、クレーン艦長役のデヴィッド・ヘディスンは何というか暗い感じがしてあまり好きになれません。
それから、全体を通じて脚本家の間で設定の共有化が図られておらず、お互いに矛盾する話があります。特にひどいのは核ミサイル発射の扱いで、”Doomsday”ではフェイルセーフシステムがあって、鍵を持っている4人がそれぞれ解錠操作をして押ボタンを露出させ、なおかつ大統領の許可がないと核ミサイル発射が出来ない筈が、”The Buccaneer”の回では、シービュー号を乗っ取った大泥棒がいとも簡単に核ミサイル発射を命じています。(クレーン艦長がミサイルの発射装置の配線を切断したのでその時はミサイルは発射されていませんが。)
第1シーズンで好きな話は、サンタクロースではないかと思われる不思議なキャラクターが出てくる”Long Live the King”です。おそらくはクリスマスの前後に放映されたのだと思います。

「原子力潜水艦シービュー号」の”The traitor”

「原子力潜水艦シービュー号」の”The traitor”を観ました。この話が第1シーズンの最後です。これまた冷戦もので、ネルソン提督の妹が敵のスパイによって誘拐されます。(この妹がネルソン提督の唯一の身内であることが語られます。とするとネルソン提督は独身を通しているということになります。)これによってネルソン提督は「某国」スパイより、アメリカが世界の海底の多くの箇所に設置している核ミサイル発射サイロの正確な場所を教えるよう迫ります。ネルソン提督は仕方なく地図データを渡します。何とこのスパイが実はアメリカの諜報機関の大物で、このスパイ自身がシービュー号が各サイロのミサイルが正常に待機していることを確認する航海に同乗します。目的はネルソンが渡した地図データが正しいものかどうかを確認することです。
というストーリーなのですが、この脚本は割りに良く出来ていて、結局ネルソン提督はアメリカを裏切ったのではなく、アメリカの諜報機関の中にいる裏切り者を発見するためのトラップを仕掛けたということで、誘拐された妹は実はアメリカのエージェントの女性でした、という結末です。
ディスクの裏面にクレーン艦長役のデイヴィッド・ヘディスンのインタビューが付いています。それによると、ヘディスンは「ロスト・ワールド」の台本が馬鹿馬鹿しいと思っていて、この映画を撮っている時は常に憂鬱だったそうです。それでアーウィン・アレンから「シービュー号」に出て欲しいという依頼があった時、最初は断ったそうです。しかし、リチャード・ベースハートがネルソン提督役で出ると聞いて、ベースハートのファンだったヘディスンはクレーン艦長役を承諾したとのことです。