小澤征爾さん

小澤征爾さんのご冥福をお祈りします。
ただ、私は小澤さんの音楽と相性悪いです。何か線が細くてダイナミックさに欠けるという感じです。それに器用だけど、「この曲だったら絶対的に小澤征爾!」っていうのが無いと思います。今、Amazonで検索してみたけれど、やはりどれ見ても、「この曲だったら○○か△△の方が」というのばかりです。
結果として、4,200枚持っているCDで、小澤さんのはせいぜい3枚くらい。内2枚はブラームスの第1番の交響曲で、これはその当時出ていたブラ1を全部集めようとしていた中のもので、小澤征爾の演奏が好きだったからではないです。もう一枚は武満徹だったと思います。またベートーヴェンの交響曲全集を50種類以上持っていますが、その中に小澤征爾のは無いです。

下成佐登子の「秋の一日」

下成佐登子の1stアルバムの「秋の一日」をゲット。下成佐登子って、多分今の50歳以下の人は名前もその曲もまったく聞いたことないと思います。それ以上の人も「コッキーポップ」を当時(1970年代後半)聞いてない限り知らないでしょう。しかし歌の上手さという意味ではポプコン出身の女性歌手の中でトップクラス、日本の全ての女性シンガーの中でもベスト10に入るんじゃないでしょうか。アルバムタイトルになっている「秋の一日」が秀逸で、このアルバムはシングルとは別バージョンのアコギのアルペジオ伴奏によるシンプルなアレンジですが、下成佐登子の声をより際立たせます。
私が何でコッキーポップを聴いていたかというと、鹿児島の進学校に高校から入り最初の1年は寮でした。その寮は12時消灯でマスター電源を切られるので、寝るしかありませんでした。しかし直前までハードに勉強して後いきなり眠るのは大変でした。そんな時MBC(南日本放送)で24時~24時半という絶妙のタイミングで放送していたのがコッキーポップでした。(ちなみにキー局のニッポン放送では24時半からだったみたいです。)電池式のラジオでイヤホンで聴いていました。当時(今も?)、鹿児島ではラジオの民放はMBCだけで、NHK-FMはその時間は放送はありませんでした。民放のFMも当時は無し。また1976年~1980年というタイミングも、ポプコンのいわば全盛期であり、そういう意味でも色々懐かしいです。このポプコン出身のシンガーソングライター、特に女性のシンガーソングライター(中島みゆき、八神純子、柴田まゆみ、谷山浩子、明日香、等々)は今の人より音楽的にも歌詞的にもずっとレベルが高いと思います。この下成佐登子さんもそんな一人ですが、大衆的な人気という意味では苦戦し、結局スタジオミュージシャンに転身したみたいです。

紅白ポプコン出身者対決

最近、ポプコンのCDを良く聴いています。(ポプコン=ヤマハが1970年代~80年代前半くらいまで主催していたポピュラーソングコンテストのこと。)それでふと思ったのですが、紅白でジャニタレが出ないのでKPOP系で補うのではなくて、いっそ10時台はポプコン出身者対決としたら、と思います。
女性が、中島みゆき、八神純子、渡辺真知子、あみん、小坂恭子、小坂明子、下成佐登子、柴田まゆみ、もとまろ、谷山浩子…、男性がもんた&ブラザーズ(代役)、チャゲ&飛鳥、クリスタルキング、世良公則&ツイスト、長渕剛、円広志、チェッカーズ、雅夢、因幡晃、NSP…ね、まったく紅白として恥ずかしくない錚々たるメンバーです。大体昔はニューミュージック系は紅白出なかったので、新鮮です。中島みゆきとか長渕剛は既に出ていますしね。年齢的に58歳~68歳くらいには刺さると思います。

渡辺真知子の「海につれていって」

ヤフオクで買った渡辺真知子のファーストアルバム(カセットテープ)です。実際に学生時代に同じくテープで持っていました。
長らく聴いていなかったですが、改めて聴くと、歌はとても上手い(音楽短大の声楽専攻)し、詩もなかなか良く出来ています。今にして思うと、キャラ的には9歳年下のドリカムの吉田美和とかぶる所が多いように思います。渡辺真知子もそうですが、ヤマハのポプコンが多くの優れた女性シンガーソングライターを輩出していますね。八神純子とか、小坂明子、中島みゆき等々。それまでの歌謡曲の世界では女性が歌う歌の歌詞は、男から見た都合の良い女という感じでしたが、女性シンガーソングライターが本当の女性の気持ちを歌い出したように思います。

飯島真理の2ndアルバム

ヤフオクで落札した、飯島真理の2ndアルバム、blancheです。カセットテープで何と包装のセロファン付きの未開封品です。オークション終盤でものすごい競り合いになり、CDの3倍の価格になってしまいました…
「超時空要塞マクロス」はリアルタイムで観ていました。その中に出てくるリン・ミンメイという女性キャラ(アニメの中で歌手になりアイドルになり、更には敵軍の兵士をメロメロにさせる音楽兵器にさえなる)の声と歌を飯島真理がやっていて、元祖声優アイドルです。でも国立音大のピアノ科出身で小学生の時から作曲をやっており、このアルバムもマクロスの曲ではなく(例外は「天使の絵の具」ですが、マクロスの中で流れたのとは違うアレンジです)、全て飯島真理作詞作曲です。ちなみに編曲と右の写真の右にいるのは吉田美奈子。
右側の写真見ても、この頃の真理ちゃんは本当に可愛いです。それに声も本当に可愛く、リン・ミンメイがマクロスのお話の中で重要な役を与えられたのは、彼女の声があったからだと思います。ただリン・ミンメイについては、いつもそのイメージで捉えられることに葛藤があったようです。

カセットテープで昔の米国ドラマ主題歌集

最近、ヤフオクで少しずつカセットテープの音源を買ってますが、これはなかなか私にぴったり。スター・トレック、宇宙家族ロビンソン、トワイライト・ゾーン、バットマン、スーパーマン、コンバット、ローンレンジャー、名犬リンチンチン、わんぱくフリッパー、スパイ大作戦、ヒッチコック劇場、0011ナポレオン・ソロ等々の主題歌集です。しかもオリジナル版で日本語吹き替えのものではありません。

エディアルド・パニアグアの”Alarifes Mudéjares”

私のオーディオチェック用ソースその2。エディアルド・パニアグアの”Alarifes Mudéjares”。タイトルは「ムデハル様式の建築家達」という意味。ムデハル様式とは、レコンキスタ(キリスト教徒によるスペインの国土の奪回運動)の後、スペインに残ったイスラム教徒の技術とキリスト教が融合して建てられた、アラゴンなどに多く残っている建築様式のこと。
このCDはパニアグアらしく人を喰っていて、建築家達がノコギリを引いたり、トンカチで釘を叩いて、という教会を建てるシーンから入っています。音場は広大ですけど、縦長の建物の中というのが良く分り、左右は狭く、上が広いです。特に2階か3階に水盤か人工の泉があるのか、水が高い所から流れているのが面白いです。教会の外からは秋なのか虫の声がしています。そこで演奏される曲は、建築様式と同じでキリスト教とイスラム教が混じり合ったスペイン独特のものです。エディアルド・パニアグアは「聖母マリアのカンティガ」を多数録音していますが、カンティガの音楽ともかなり近いです。というかパニアグア一家のことですから、厳密な考証に基づくものではなく、かなりの部分想像によるものでしょうが。

手持ちのCDの枚数

新居への荷物運び、LP約1,700枚は完了、CDは7割程度完了です。
それで前から気になっていた、手持ちのCDの枚数が全部でどのくらいか、新居で全部ちゃんと棚に並べられそうなので、ラフに計算(英語で ballpark estimate と言います)してみました。そうすると4,300枚くらいになりました。写真の棚が700枚くらいですから、これの6個強くらいです。1枚平均1,000円として、430万円とちょっと高級な車が買える金額をつぎこんでいます。今はダウンロードとかストリーミングが主力ですが、場所を取るとはいえ媒体を持っているというのはある種の満足感があります。

ガンサー・シュラー指揮の運命・ブラ1

ガンサー・シュラーという音楽家をご存知ですか?アメリカでは2度グラミー賞を取った人で有名と思いますが、日本ではあまり知られていません。元々クラシック畑の人で、シンシナティ交響楽団の首席ホルン奏者を皮切りに、その後作曲家、指揮者となり、またジャズの世界でもあのマイルス・デイヴィスと一緒のバンドを作って活躍しています。また小澤征爾と一緒にタングルウッド音楽祭を始めた人であります。このCDはそんなシュラーが、ニューヨークフィルなどの腕利きの奏者を集めた少人数のオケを作り、自身が書いた「指揮法教程」という教科書の実践例として、自分のレコード会社であるGM Recorgingsから出したもので、内容はベートーヴェンの「運命」とブラームスの第1番の交響曲です。何でこのCDを買ったかというと、15年くらい前に、ブラームスのこの交響曲のカタログ征服を目指して、入手出来る全てのCDを集めようとしていたことがあり、その中で入手したものです。そういう経緯なのでまったく期待しないで聞いたのですが、演奏は素晴しいものでした。演奏スタイルはいわゆる新古典派的というか、「何も足さない、何も引かない」というきわめて楽譜に忠実な演奏です。そうした演奏は得てして無機的でダイナミックスに乏しい非人間的な演奏になりがちなのですが、シュラーの指揮から出てくる音楽は、まったくそういうネガティブなものがありません。またオケの一人一人の技量も素晴しく少人数ということもあって、そのアンサンブルの見事さはかつてのトスカニーニや1960年代のカラヤンを思わせるものです。ブラームスの1番は結局現時点までで220種類ぐらい集めましたが、その中で堂々のベスト10に入る演奏だと思います。4300円くらいとちょっと高いですが、今でもAmazonで入手可能です。

ハンス・ホッターとコンラート・リヒターの「冬の旅」(1982年ライブ)

最近、ずっとシューベルトの「冬の旅」を聴いています。「冬の旅」のコレクションは現時点で70数枚になっています。ブラームスの交響曲1番の収集の時みたいなカタログ征服、的な気持ちはありませんが、今でも新譜が出ているとつい買ってしまいます。
このハンス・ホッターとコンラート・リヒターの冬の旅は、1982年のホーエネムスでのシューベルティアーデでのライブです。実にホッターはこの時73歳でした。このライブはリアルタイムではないですが、NHKのFMで放送されました。丁度その時実家に帰省中でやむを得ずモノーラルのラジカセでエアチェック(今の若い人、この言葉通じないですね。要するに放送をカセットテープで録音することをこう言いました)したものを何度も聴きました。このCDは20年前くらいに出た海賊版のCD-Rです。
この時のホッターは、最初の曲の「おやすみ」の第3節でメロディーを間違える(1節、2節と違うのに同じに歌った)など、非常にハラハラさせる立ち上がりでした。しかし曲が進むに連れ、落ち着きを取り戻し、これ以上無いくらい迫力と悲壮感の漂う冬の旅を聴かせてくれました。ホッターはその生涯で冬の旅を120回以上歌ったそうですが、この時のライブは長く歴史に残すべきものと思います。