イリーナ・メジューエワの「ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ」

イリーナ・メジューエワの「ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ」を読了。メジューエワと対談した人が聴き取ってまとめたものです。素晴らしい本で、全てのクラシック音楽を愛する人、またピアノを弾く人にお勧めします。メジューエワはその演奏を聴くと、感受性と知性がかなりの高いレベルで融合した人、という印象を受けるのですが、その印象はこの本によって更に強固になりました。こういう本が出ると、大抵の音楽評論家の本は不要になるのではないかと思います。ピアニストが曲を取り上げるにあたってここまで深く色々なことを考えているということが新鮮で感動的です。取り上げられている作曲家は、バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、シューマン、ショパン、リスト、ドビュッシー、そしてラヴェルです。バッハの「ゴールドベルク変奏曲」の中に「数」へのこだわりがあるとか、ベートーヴェンのピアノ・ソナタは弦楽四重奏曲の様式で書かれているとか、シューベルトこそ本当の古典派であるとか、ともかく目から鱗が落ちるような指摘に満ちています。また、メジューエワのお勧めの演奏(本人以外の)が載っているもなかなか楽しく、シュナーベルとかコルトーが多く登場します。個人的には、シューマンのクライスレリアーナとラヴェルの「夜のガスパール」についてはアルゲリッチを外して欲しくないのですが、ライバル意識があるのか(?)一度も登場しません。一方で私が好きなアファナシエフは何度か登場します。しかし、この本を読んで、いわゆる「ロシア・ピアニズム」というものが、ネイガウスやソフロニツキーが亡くなってかなりの時間が経った今でも、このメジューエワの中にしっかり生きているだなと思いました。

イリーナ・メジューエワのショパンのポロネーズ集

イリーナ・メジューエワのショパンのポロネーズ集を聴きました。メジューエワの手持ちでは17枚目のCDです。先日リストの「巡礼の年」のCDを買った時にチェックして、ショパンでこのCDをまだ買っていなかったので購入しました。メジューエワはリスト、メトネル、シューベルト、グリーグその他色々録音していますが、何といっても多いのがショパンで、現代でのショパンの第一人者と思います。ポロネーズは元々がポーランドの舞曲ですが、ショパンのそれは愛国の思いがつまった結構ダイナミックな曲が多いです。メジューエワは繊細さや叙情性だけではなくて、こういう曲での劇的な表現でも卓越した実力を見せてくれます。

ルドルフ・ヴァルシャイ指揮、ケルンWDR交響楽団のショスターコヴィチ交響曲全集

ルドルフ・ヴァルシャイ指揮、ケルンWDR交響楽団のショスターコヴィチ交響曲全集を聴きました。何故かHMVでもAmazonでも3,000円以下で現在販売されています。ショスターコヴィチ交響曲全集は、既にゲルギエフ、キタエンコ、ロジェストヴェンスキー、ハイティンク、ヤンソンスなどで持っているため、今さらと思ってヴァルシャイのは買っていなかったのですが、この価格で触手が伸びました。聴いてみてびっくり、超オーソドックスで素晴らしい演奏で録音もいいです。初めてショスターコヴィチ交響曲全集を買おうという方には是非ともお勧めします。一つ嬉しいのは、ショスターコヴィッチの交響曲は15曲もあって、長いのもあり短いのもありで色々なんで、全集にする時は例えば1番と15番をカップリングするなんていうことが良く行われるのですが、この全集ではきちんと順番通りに収録しています。これはありそうでなかなかないことです。ヴァルシャイのは既に14番の東京ライブのCDを持っていましたが、買って本当に良かったです。

イリーナ・メジューエワのリストの「巡礼の年 第3年」

イリーナ・メジューエワの弾くリストの「巡礼の年 第3年」を聴きました。メジューエワは好きなピアニストで波長が合うというのか、全てのCDで叙情性豊かでかつ繊細な演奏を繰り広げます。これが手持ちのメジューエワの16枚目のCDになります。リストの「巡礼の年」も好きな曲で、これまでホルヘ・ボレットやブレンデル、ベルマンで聴いています。この第3年の中では、「エステ荘の噴水」が有名です。リストは若い頃は、ピアノのヴィルトゥオーゾ性を誇示するような曲が多いですが、晩年に近づくにつれ、内省的・宗教的な曲が多くなります。この「巡礼の年 第3年」もその一つです。「ものみな涙あり」とか「心を高めよ」とか題名もいいです。

クラウディオ・アバドの2回目のマーラー交響曲全集

クラウディオ・アバドの2回目のマーラー交響曲全集を聴きました。「全集」と書きましたが、最初から全集にする意図があったのではなく、ライブ録音を集めたものだと思います。オケもベルリンフィルだけではなく、ルツェルン祝祭管弦楽団が混じっています。この全集に収められている録音では既に4番や7番は持っているのですが、まとめて聴きたくて買いました。学生時代に最初にマーラーを聴きだした頃、アバドの最初の全集が進行中でした。私にとっては、マーラーの基準はこのアバドの最初の録音です。それはクレンペラー、ワルター、バーンスタインといったマーラー指揮者の第一世代とも言える指揮者のものとは明らかに一線を画していて、どろどろとした情念とは無縁のかなり知的なマーラーでした。今2回目の全集を聴いて、基本的なアプローチは1回目と変わってないように思いますが、より柔軟さが加わって表現も自在になったように思います。もうこれで10種類以上のマーラーの交響曲全集を所有していて、今はマイケル・ティルソン・トーマスのがお気に入りですが、やっぱりアバドのも好きです。