エレキットTU-8500(完成品、パーツ交換)

中華真空管プリアンプに2日遅れて、エレキットTU-8500をサガミオーディオでパーツ交換+組み立てしたものが到着。
結果的に、このプリアンプの利得は、3.1倍(9.8dB)/1.15倍(1.2dB)の2つに切り替えられるのですが(NFの量を変えているだと思います)、後者の1.15倍の方が、300Bのシングルアンプのそのままの良さを一番引き出してくれました。要はアキュフェーズE-350でも、中華プリアンプでも、それ自体の主張がやや強すぎて300Bのシングルの良さを薄めてしまっている所があります。それに対して1.15倍というほとんどあるかないかの利得でこのプリを使うのが、300Bの実力を引き出す上では一番良いようです。では何故最初からこれにしなかったかと言うと、フォノイコライザーという私には不要なものが付いていて(真空管フォノイコライザー単体とMC用トランスは別に持っています)、それ以外のプリアンプ部はあまりコストをかけていない安物ではないかと思ったのと、何故かアムトランスで完成品は売っていますがパーツを交換したものではなかったことです。サガミオーディオはコンデンサーやボリュームを質のいいものに交換してくれています。ただこれでこちらばかり使うという訳ではなく、中華真空管プリアンプも力強さとダイナミックさというメリットがありますので、ソースによって使い分けてみたいと思います。
(写真の上段左がエレキットのプリ、上段右が中華プリアンプ、下がアキュフェーズのE-350。)

中華真空管プリアンプを試す

先日から真空管(プリメインまたはパワー)アンプ(300Bシングルアンプ、KT77シングルアンプ)に組み合わせる真空プリアンプを探しています。最初昔キットで組み立てたサンバレーのSV-3を試しましたが、色んな意味で作りが甘くて気に入らず、しばらくアキュフェーズのE-350のプリメインのプリ部だけを使っていました。これはHiFiという意味では文句ありませんが、メインのシステムがアキュフェーズE-600でそれと似たような音で真空管的な音が後退してしまいます。また、本格的な真空管プリアンプは、ラックスマン、トライオード、ウエスギ、マッキントッシュで一番安いのでも35万円コースです。それでAmazonで売っている10万円以下の中華真空管プリアンプを駄目元で試してみる気になりました。SHENZEN Yi-Xin Audio R&D Studioという所の製品で、送料込みで5万7千円くらいです。
最初製品名の中にある”Shigeru Wada Circuit”というのが何のことか分らなかったのですが、調べてみたら、1969年のラジオ技術という雑誌の2月号にて紹介されている、アマチュアの和田茂という人がその当時の定番の真空管プリアンプだったマランツ7の回路の改良として発表したもので、回路自体の原理を発明したのではなく、他の機器で使われていた回路をプリアンプに応用したみたいです。Amazonの中華真空プリアンプには、「和田茂回路」「Hetian Mao Circuit」と称したものが多く見つかります。ちなみにHetian Maoは「和田茂」をピンイン読みしただけです。で、その回路ですが、日本では和田茂回路と呼ばれることは無く、SRPP(シャント・レギュレーテッド・プッシュプル)と呼ばれています。調べてみたらラックスマンの管球プリアンプもウエスギのプリアンプもSRPPでした。詳細は私には良く理解出来ないのですがプッシュプルといっても増幅に使っているのは片方の真空管だけで、カソードフォロワーという回路で一般に抵抗を負荷とする所を、抵抗の代わりに真空管を使うものです。原理は良く分りませんが、歪みを小さくしながら出力を稼げ、かつ出力インピーダンスを低く出来るというなかなか優れた回路のようです。今回買った中華プリアンプには、片チャンネルに12AX7と12AU7が1本ずつ使われていますが、2段の電圧増幅ではなく、2本でSRPPを構成しているのだと思います。(12月22日追記:このアンプがそうかは分りませんが、https://diyaudioprojects.com/Tubes/ECC802S-ECC82-12AU7-Tube-SRPP-Preamp/ にあるように、12AX7は前段で普通に電圧増幅し、後段の12AU7で12AU7は2つの三極管が入っている双三極管なので、片方を増幅に使いもう片方をカソードフォロワーの抵抗負荷の代わりに使っているのだと思います。)片チャンネルでもう1本真空管が見えるのは整流管で、付いていたのは曙光電子の6Z4でした。
このアンプの第一印象は、結構真面目に作ってあるなということでした。但し、スイッチ類は安っぽく、特に入力2系統を切り替える押ボタンスイッチは切換えポイントも曖昧で、かつ操作感も良くないです。(一応私はスイッチメーカーに勤務していますので、そこは気にします。)実際に一度切り替えたら右側から音が出ないというのがありました。もう一度操作したら大丈夫でしたが。このスイッチは早晩交換するつもりです。
それで肝心の音ですが、一番最初に音出しした時は、「おお結構いい」でした。しかし聴き続けていると、やたらと元気が良くて高音がキンキンするのが気になりました。つないだのは300Bのシングルアンプですが、何だかシングルではなくてプッシュプルになったような音でした。そこでちょっと思いついて、整流管をあらかじめヤフオクで買ってあったRCAの6X4に交換しました。このアンプでは、スライドスイッチを切換えることで両方の整流管が使えます。(ソケットは同じですが、ピンへの回路の割り当てが違います。)6Z4は中国でしか作られていない整流管みたいで入手が難しく、6X4が使えるのは有り難いです。(といっても6X4も現在作られておらず、NECやナショナルやGEやRCAの昔の在庫がオークションサイトで売られているだけです。)6Z4は電流定格が50mAと小さく、6X4の方が70mAと若干大きいため、気のせいかもしれませんが、高音のキンキンした感じが減ったように思います。また、3時間ほどエージングすると、それなりにマイルドさが出て来ました。なお電圧増幅管は12AX7、12AU7ともスロヴァキアのJJ製が最初から刺さっていました。
中華真空管アンプの中には、真空管アンプと称しつつ、真空管はヒーターを点灯させているだけで、実際の増幅はデジタルアンプでやっているといったひどいものもあるみたいですが、今回買ったのは比較的まともかなと思います。ただプリアンプとして見た場合は入力が2系統しかないのは不便で、最低でも3系統は欲しいです。中長期的な信頼性はこれから検証になりますが、第1印象としては以上で、悪くはないです。

NHK杯戦囲碁 大西竜平7段 対 一力遼2冠


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が大西竜平7段、白番が一力遼2冠(一力遼碁聖はついに7大タイトル戦で井山裕太を倒して天元位を獲得しました。)この碁は大西7段が体調でも崩しているのか、不出来な碁でした。固い手を打つのはいいのですが、攻めとも守りともつかない中途半端な手を打ったり、見合いになっていて自分から先に打つ必要がない箇所に一手かけたり、優勢で逃げ切ればいいというものでもない局面で、ちぐはぐな手が目立ちました。それでそうやって固い手を打って溜めた力を爆発させるのが右辺の白への攻めだった筈ですが、活きられると持ち込みになる置きまで打ったにもかかわらず、白に楽に活きられ、なおかつ自分の方が途中で右上隅から上辺で手を入れなければならず、攻めが空振りに終わりました。それどころか右辺の黒を逆に攻められ、そのため中央の白地が大きくまとまりました。囲碁は本手、固い手ばかり打っていては勝てないという見本のような1局でした。

TU-8200R用の真空管ガードの作成

エレキットの6L6GCシングル真空管アンプTU-8200R(KT77に差し替え)ですが、そのままだと出力管の上部がアンプ本体より出ていて、もし上から何か落ちてきたりしたら一発で出力管がやられます。なのでAmazonで適当に見繕ったもので真空管ガードを作りました。使ったのは別の真空管アンプ用ガードで単体で売られていたもの
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07N4CB75T/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o04_s00?ie=UTF8&psc=1
と、何とメッシュの金属の「ペン立て」です。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B089ZVXJMY/ref=ppx_yo_dt_b_asin_title_o05_s00?ie=UTF8&psc=1
このペン立てが実に絶妙に丁度いいサイズ(12.4 x 9.8 x 9.7 cm)であり、EL34でもおデブのKT88でもオクタルベースの5極管・ビーム管ならほとんどOKです。まずはくっついてる紙の装飾を取り除き、次に底に付いているゴム足みたいなのをカッターで削ってベンジンで拭いて取り去ります。そしてこのままだと上部に熱がこもる危険性があるので、ドライバーセットについていた先端の尖った奴をプラスチックハンマーで叩いて6箇所穴を開けました。そしてガードとこのペン立てを最初両面テープで固定しようとしましたが、接触面積が小さいので上手くいかず、結局すずメッキ線が手元にあったので、先ほど開けた穴を通して縛って固定しました。そしてこれを側面をガムテープで固定して完成です。メッシュの金属ですので、真空管のヒーターのオレンジ色もちゃんと見えます。出力管を交換する時はガムテープを外すだけです。見た目はもう一つですが、真空管保護という意味では十分目的を達成しました。また熱が籠もらないかをちょっと懸念していましたが、ペン立て部とガード部が接触しているため、ガードがある意味大きなヒートシンクとして放熱に貢献しているようで、まったく問題ありませんでした。

TU-8200Rのアムトランス組み立て+パーツ交換品

エレキットの6L6GCのシングルアンプとしてTU-879Sを7年前に組み立て、つい最近まで使っていました。しかし、KT77を試そうとした時何故かソケットに上手く入らず力を入れたら、中心のプラスチック部が折れてソケットの中に残ってしまいました。それを取り出そうとあれこれやったのがまずく、おそらくソケットが壊れたか断線したかで片方の音が出なくなりました。一応修理しようとしましたが、組み立て説明書ももう手元に無く、上手くプリント配線板が外せなくて修理を断念し、結局こちらもTU-8200Rのアムトランス組み立て+パーツ交換品をポチりました。それでこのアムトランスバージョンの6L6GCシングルアンプ、とても良いです。真空管アンプ入門としては本当にお勧めです。何故かいうとTU-879Sと同様にバイアス電流の自動調整の仕組みが入っていて、色んな出力管を差し替えて比較することが出来ます。また5極管接続、UL接続、3極管接続を基板上のジャンパーピンで切り替えられます。ネットで評判を調べてみたら、このアンプに限らずエレキットの真空管アンプはプリント配線板を使っているからダメ、みたいなことを書いている人がいました。私に言わせればプリント配線板より手配線の方が音がいいというのはほとんど誤っていると思います。アキュフェーズのアンプは真空管ではなく石(MOS-FETなど)ですが、すべてプリント配線板を使っています。(ガラスエポキシだけでなく、ガラステフロンもあり。テフロンを使う理由はテフロンの誘電率がエポキシより低いので高周波の伝送ではエポキシよりも特性が良いということだと思います。)
これまで真空管アンプキットは5回ほど組み立てましたが、真空管アンプのキットで組み立て(半田付け)で一番難しいのは真空管のソケット回りです。この面倒さがプリント配線板なら一挙に解決されます。逆にサンバレーのSV-3(プリント配線板と手配線の併用)なんかはソケットの端子に直接抵抗やコンデンサーを半田付けする(ちなみに真空管は横置き)、なかなか恐ろしい配線を採用しています。こういう部品は宙に浮いている訳ですから、電流が流れれば振動して音質を悪化させますし、仮に金属片が触れれば簡単にショートします。一方、プリント配線板なら、部品も回路も非常に強度のあるガラス繊維強化エポキシの板(ガラエポは紙フェノールと違って金型で穴を打ち抜くのも難しいですし、ドリルの損耗も激しいです。その位強度があります。)にがっちり固定されています。また余分な部分はソルダーレジストという絶縁物で覆われていますので、ショートの危険性も手配線に比べれば非常に低いです。回路の抵抗を問題にするのであれば、一般的な35μの銅箔ではなく、70μの銅箔を使えばいいだけですし、電源回路などで電流容量を必要とする場合はパターンの幅を大きくします。(実際にエレキットの300Bシングルの真空管アンプのプリント配線板は70μ銅箔を使っています。)私は10年間銅張積層板を売っていた経験があり、もっと厚い銅箔(105µ、140µ)のガラエポもあります。圧延箔ならもっと厚いのもあることを知っています。(一般的な銅箔は電解箔と言って電気分解で作ります。それ以外に高い屈曲耐性を要求される場合に、ローラーで引き伸ばした圧延箔というのがあります。銅箔にご興味があれば、福田金属箔粉工業や古河電工のサイトをご覧ください。)
それから、真空管アンプの評価はそれなりのレベルの機器と組み合わせて評価すべきであり、例えば入力がiPodとかだとそれなりの音しかしません。
取り敢えず、今付けている出力管はデフォルトの6L6GCではなく、KT77を付けています。このKT77はEL34のある意味上位版として作られたようですが、実際にはビジネスにおいてはEL34に完敗しています。しかし今日聴いた限りではとてもいい感じでした。今現在はアキュフェースのプリメインアンプのE-350をプリとして使用していますが、この場合は300Bのシングルアンプよりもこちらの方がむしろいわゆる真空管らしい音を楽しめる気がします。

スタートレックのファーストシーズンの”This Side Of Paradise”

スタートレックのファーストシーズンの”This Side Of Paradise”を観ました。エンタープライズ号はオミクロン・セッティの第3惑星に向かいます。そこには地球からの入植者がいましたが、3年前に強い放射線が降り注ぐという天災があり、おそらくは全員死んだものと思われていて、その調査のためでした。しかし、惑星の表面に降りたって見ると、150人くらいの生存者がおり、皆ここは天国で何を植えても問題無く育つと言います。その生存者の中に昔のスポックの知り合いレイラも居ました。レイラはスポックを愛していましたが、昔のスポックの反応は冷淡でした。ドクター・マッコイが全員の健康状態をチェックすると、教科書に載っているもっとも良い例のように、全員の状態がパーフェクトでした。しかしエンタープライズ号のクルーは、この星には動物がまったくおらず、昆虫さえも見つけられないことを発見します。スポックはレイラに野原に連れ出され、そこで百合のような花の前に立った時に、花から胞子を含む水が吹き出してそれを顔に浴びます。しばらく苦しんでいたスポックでしたが、幸福感に満ちあふれた状態になり、レイラと素直な恋愛感情を交わし合います。しかし、カーク船長の命令には従おうとしません。実は宇宙を漂っていた植物がこの星を見つけ、そこでの人間に対し、完璧な健康管理と不死の状態、および精神の安定という天国のような状態を作り出し、その代りにその植物が人間の中で共生するようになっていました。この植物はエンタープライズ号にも持ち込まれ、胞子が空調を通じて機内に拡がり全員がスポックと同じ状態になり、次々に惑星に降り立って行きます。カークだけが何故かその植物の影響を受けていませんでしたが、船内でその植物から胞子の噴射を受けカークもまた幸福状態になります。しかし、カークは船長としての使命を思い出し、強い感情を持てばその胞子が効かなくなることを発見します。カークはスポックに嘘を言ってエンタープライズ号に連れ戻し、そこでありとあらゆる侮辱の言葉(お前の父親はコンピューターだ!のような)を浴びせます。温厚で感情をコントロールしているスポックもさすがに怒り、カークと争いになります。その中でスポックはその怒りの感情により元に戻ります。スポックはレイラに自分はこの船を守る義務があるといい別れを告げます。レイラはそれに対する感情で、胞子のコントロールから元に戻ります。カークとスポックは強い超音波を発する装置を作り、それによって入植者とクルー全員を元に戻します。その惑星を去るとき、マッコイが「我々は再び楽園から追放されたのだろうか」と言い、カークは「例え試練があってもそれに歯を食いしばって立ち向かうのが人間だ」と答えます。この回では珍しいスポックのラブシーンが見られました。

今日のオーディオ

今日のオーディオ。
(1)サブウーファーにFOSTEXのPM-SUB8追加。ますます本格的システムになりました。
(2)オーディオマニアの元上司のアドバイスで、アキュフェースのE-350をプリアンプとして使用。
(2)のせいで、SN比は抜群になり、とても端正かつ緻密な音になりました。しかしそれは要するにこれまでさんざん聴いて来たアキュフェーズの音(アキュフェースのプリメインはE-308→E-350→E-600と使い続けて来ています)が支配的になったということで、やはり真空管らしさはかなり後退したような…うーん、悩む。(写真の後、E-350はテーブルの下に移動し、サブウーファーの高さは下がりました。)

「巨人の惑星」の”Rescue”

「巨人の惑星」の”Rescue”を観ました。中国の性善説の話と同じで、子供が深い井戸に落ちたら誰でもそれを助けようとする、というのと同じ話でした。いつも通りにコービックの部下が地球人達を捕まえようとしていますが、そこにたまたまピクニックに来ていた親子連れがいて、4~5才くらいの男の子と女の子がキャプテン達を見つけ捕まえようと走ってきます。ところがそこに廃坑の深い縦穴があり、二人は落とし穴のようにその中に落ちてしまいます。すぐにレスキューチームがやって来ましたが、途中に構造物があって、大人がそこに立つと崩れてしまい、下にいる子供2人が危険になります。たまたまキャプテンとダンがコービックに捕まっていたため、ヴァレリー達は子供達の母親に取引きを持ちかけ、キャプテンとダンが穴の中に降りて何とか子供達を助け出すから、その代りコービックの手から解放して欲しいと言います。しかしコービックはその取引きを拒みます。そこでキャプテンとダンは無条件でいいから子供達を助けると志願します。
子供達は何とか生きていましたが、どうやって外に出すかが問題でした。しかしマークとフィッチューがその縦穴につながっているやはり廃坑の横穴を見つけ、キャプテンとダンの所にやって来ます。そして子供達にその横穴を自力で拡げて外に出るように言います。コービッドには無線でそちらに脱出すると伝え、地球人達は元の縦穴から脱出しようとします。しかし縦穴は崩れて埋まってしまいます。やむを得ず横穴から脱出しましたが、コービッドの部下に捕まりそうになります。しかしそこに子供達を助けてもらった両親2人が立ちふさがって地球人達を逃がします。

エレハモの300B EH Gold

300B、今度はエレハモ(Electro-harmonix)の300B EH Goldを入手しました。高槻電器工業のTA300BやJJの300Bはもちろん良いのですが、少し端正過ぎて、端正な音はメインのアキュフェーズのアンプでさんざん聴いていますので、落語で言えば文楽ではなく志ん生の味が出ないかと思って、「300B book」というムックで高評価だったこれを買ったものです。まだエージングをしてみないと分りませんが、少し聴いた感じではなかなか良い感じで、オーディオチェックではなく音楽を聴くのに適している球だと思います。エレハモは一般的イメージでは、ギターアンプ用の球が主体でちょっと安物というイメージですが、これに関してはなかなかいいです。

NHK杯戦囲碁 六浦雄太7段 対 河野臨9段


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が六浦雄太7段、白番が河野臨9段の対戦です。この一局の最初の焦点は、下辺の黒模様へ白が打ち込んでからのさばきで、コスミツケられた後、普通に立たずにケイマに外したのを黒が愚形を覚悟で切りに来た時に、右下隅の三々に付けたのが絶妙な手で、この手をからめながら下辺で極めて上手くしのぎ、さらには右下隅もまだ劫にする手段が残るという展開になり、白が一本取りました。また中央で黒が下辺と左辺で分断され、それぞれで活きを図らなければならず、その間に白は左上隅の地模様を拡げ、白のほとんど勝勢になりました。その後白が上辺も拡げて左上隅からの地模様が更に大きくなりました。ここで普通に囲っていて、また右辺の白が取られないように注意しておけば白の名局で終っていたと思いますが、上辺右側で黒の開きに肩付きしていった所から局面がもつれました。白は上辺で更に地を増やしましたが、その代わりに右辺との連絡が絶ち切られ、逆に黒は薄いながら何とか包囲網が出来、右辺の白が活きるか死ぬかの勝負になりました。結局白は単独では活きることが出来ず、右上隅の黒を切り離して攻め合いに行きましたが、白もダメヅマリで、単純にダメを詰めに行くことが出来ず、黒の手の方が長くなりました。そして劫に持ち込むことも出来ず、右辺の白が取られてしまいました。こうなるとさしもの白の好局も大逆転で黒の中押し勝ちとなりました。六浦7段はこれで準々決勝進出です。