本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が佐田篤史3段、白番が上野愛咲美女流棋聖の対戦です。二人ともNHK杯は2回目で、どちらも初出場で一度勝っています。対局は左辺で競い合いが始まり、上野女流棋聖が再三強手を放ち、黒がやや利かされているという感じでした。戦いは中央から上辺へと拡大しました。上辺を白は延びておけば普通だったのをハネていったため、勢い黒も切り結び、お互いの大石の攻め合いの可能性もある複雑な局面になりました。結局左辺は活き活きになりましたが、その過程で下辺では黒が白2子を取り込んだ結果、右下隅から下辺の黒地が大きくなり黒が盛り返しました。しかし先手は白に回りました。その際に右辺を守りながら地を確保するのが普通で、それで白が悪くなかったと思いますが、白は右上隅に右辺から低いカカリという目一杯の手を打ちました。黒は当然間を割いていき、またももつれた局面になりました。その後上辺へと戦いが拡大し、結局黒が上辺の白の種石を取り、白は右上隅を全部地にするという振り替わりになりました。この結果は右上隅は30目以上で大きかったものの、他の黒地も大きく形勢不明で細かくヨセ勝負となりました。白はその後下辺に手を付けていきましたが、これは無理で結局下辺左側から少しヨセただけでした。黒はその後左上隅に置いていってそれを利用して上辺の白数子を更に取り込みました。しかし左上隅の持ち込みもかなりの損で、形勢不明は続き、結局左辺の劫が最後の勝負になりました。黒は白が劫立てで右辺の黒4子を当てたのに継がず劫を解消しました。更に左上隅で先ほど置いていった石を動き出し手にしようとしました。黒の狙いは劫に持ち込むことでしたが、白が1線に飛んで受けたのが好手で、黒の手にならず、ここで黒の投了となりました。先週に続き女流棋士の連勝です。
投稿者「kanrisha」のアーカイブ
最近の碁石
日本マックス・ヴェーバー研究ポータルサイト始動
サイトを作っただけで、長い間開店休業状態だった「日本マックス・ヴェーバー研究」ポータルサイトですが、昨日出席した折原先生の「東大闘争総括」の書評会終了後のパーティーの席で、このポータルの目的を説明し、幸いに暖かく迎えていただけました。それもあって昨晩から正式にコンテンツの追加を開始しました。当面はこのブログとコンテンツがだぶりますが、ご了承願います。
折原浩著「東大闘争総括」書評会に参加
13日に、東洋大学の白山キャンパスで行われた「折原浩著『東大闘争総括――戦後責任・ヴェーバー研究・現場実践』(未來社) 書評会」に参加しました。13:30から1時間が東大闘争について、そしてその後が先生の学問について、そして最後に質疑応答がありました。
マックス・ヴェーバーは、30歳でフライブルク大学の正教授に就任した時に、有名な「国民国家と経済政策」という演説を行います。その中でヴェーバーは「上にも下にも嫌がられること(でも正しいこと)を言うのが学問の使命」と言い切りました。そして折原先生こそそのヴェーバーの精神をもっとも受け継いだ人の一人で、まさしく大学の中でも敢えて嫌がられることを言い続けました。そういう人に影響を受けた人が集まった書評会ですから、普通の書評会のように歯の浮くようなお世辞の連続、ということはまるでなく、折原先生自体が「まな板の鯉」と形容したように、かなり厳しい意見が飛び交いました。しかし、日本でのこのように真の意味で忌憚のない意見が飛び交う場ってほとんどないので、そういう意味では逆に清々しさがありました。全体の印象としてはとても良かったです。特に東大闘争の当時者の方々からのお話が聞けたのは本当に貴重な機会であり、その中でもあの伝説の東大全共闘代表の山本義隆氏が参加されていてお話を伺えたのも素晴らしい体験でした。
二部の折原先生のヴェーバーの学問についても、特に中野敏男さんからかなり厳しい意見が出ました。私としてはそれには多少異論がありますが、それはまたおいおい公開して行きたいと思います。
一部と二部で参加されている方にはっきりした世代差がありました。しかしそれが悪いということではなく、むしろ世代間交流の良い場だったと思います。
最後にパーティーにも参加し、そこで発言する機会をいただき、例のヴェーバーポータルサイトについて説明し協力を要請出来たので良かったです。
(写真は先生と奥様の慶子さんです。)
ヴェーバーの”Zur Geschichte der Handelsgesellschaften im Mittelalter”の日本語訳に向けて
「日本マックス・ヴェーバー研究ポータルサイト」を去年の10月に作りましたが、諸般の事情でまだコンテンツは0です。そろそろ具体化しないとまずいな、と思い、ようやくヴェーバーの最初の論文である、”Zur Geschichte der Handelsgesellschaften im Mittelalter”の英訳を読み始めた所です。ところで英訳は、”The History of Commercial Partnerships in the Middle Ages”のタイトルになっています。”Partnerships”とは「合名会社」のことです。これまで日本ではこの論文のタイトルは「中世商事会社史」とされてきました。しかし、この「商事会社」という訳は色々な意味で問題のように思います。
(1)「商事会社」というのは昔の商法にあった規定で、「民事会社」と対になるもので、商行為を目的とした会社のことです。それに対し民事会社というのは現在の民法における「組合」のことです。この2つの区別は、商法上では意味がなくなったとして廃止されており、現在の日本の法律上「商事会社」という言葉は一部例外的に商法以外の法律に残っている以外は消滅しています。
(2)「商事会社」が生きていた時代であっても、それは限りなく現在の一般的な「会社」の意味に近くなります。しかしヴェーバーが使っているHandelsgesellschaft(en)という単語は、現在のドイツの会社法では、前にoffeneが付きますが、「合名会社」のことです。この場合の”offene”は秘密裏ではなく、会社として登記している、というぐらいの意味と考えられ、ヴェーバーも「合名会社」の意味で使っているのは明らかです。(もちろんヴェーバー当時の現在の「合名会社」ではなく、その成立期のプロトタイプみたいなものですが。)
(3)現在で「商事会社」というと一般的には「商社」を連想し、これは明らかな間違いです。
ちなみにジーベック社から出ている全集でも、このタイトルに対する注としてoffene Handelsgesellshaftの発展を述べたものである、とはっきり書いており、間違いなく「合名会社」の意味と解釈しています。
以上のことから、今後は「中世商事会社史」は使用せず、「中世合名会社史」を使いたいと思います。
しかし、「中世商事会社史」という一種の誤訳がずっと使われてきたのは、ほぼ誰も中味をきちんと読んでいない証拠かと思います。
吾妻ひでおの漫画で「イドの怪物」が出てきたもの
宇宙家族ロビンソンの”The Derelict”(遺棄船)
宇宙家族ロビンソンの第2話”The Derelict”(遺棄船)を観ました。前回船外修理中に命綱が外れて危うく一人宇宙に放り出されそうだったロビンソン博士は奥さんのモーリンが発射したワイヤーをつかんで何とかジュピター2号の外壁に戻りました。その時、パイロットのドンが彗星が接近していることを告げますが、ロビンソン博士は船内に戻らずに修理を続けようとします。修理は何とか終わりましたが、彗星の発する熱で金属が膨張してハッチが開かなくなり、と緊迫したシーンが続きます。ウィルの発案でハッチを消火器で冷却して何とか2人は救出されます。そして宇宙をまたさすらっていくと、今度は巨大な宇宙船に遭遇します。無線で呼びかけても返事はありませんが、ジュピター2号が近づくとその宇宙船に誘導され内部へ取り込まれます。ロビンソン博士とドン、ドクター・スミスの3人で中を探検に出かけ、内部で銀河のナビゲーションをする装置を発見します。そのうちにウィルがジュピター2号を抜けて外に出、そこで奇妙な生物か鉱物か分からないようなものを見つけます。ウィルは何とかその生物とコミュニケーションを取ろうとしますが、ドクター・スミスが発砲してしまい、ウィルとドクター・スミスが追いかけられます。結局ジュピター2号を発進して逃げましたが、先ほどの装置で地球の重力と同じくらいの星が近くにあることが分かり、ロビンソン博士とドンはその星にジュピター2号の修理のために着陸することを決意します。
といった話です。緊迫感があって悪くはないですが、ちょっとテンポが悪いような気もします。
万年筆で久し振りに筆記体の英語を書いてみる
パーカーの万年筆
IELTSのライティング添削7回目
IELTSのライティングの添削は7回目になりましたが(毎週土曜日に提出しています)、今回Task Response(問われていることに対しきちんとロジカルに論じているか)の項が初めてバンド8と評価されました。まあ、全体は6.5ですが、これは私の語彙レベルとか文法レベルの問題でこれ以上はそう簡単にはスコアは上げられないです。ただ、Task Responseは非ネイティブとしてはまあ十分だと思います。今回これでいい評価になったのは、今回7回目で、問題が一巡して同じパターンの問題が出たので、前回の同じパターンの模範解答を参照して、ほぼそれと同じ構成で書いたからです。以下が問題と解答です。添削した後のものです。(語数:305)
なお、解答中に出てくる具体例の数字などはほぼフェイクです。試験では引用が正確かどうかという点は採点されません。なので自分で適当なフェイク事例をでっち上げればそれでOKです。
G. In many countries, the government prioritizes economic growth above all other concerns.
Discuss the advantages and disadvantages and give your own opinion.
The governments of many nations in the world set economic development targets above all other targets. While such a policy may accelerate the destruction of the environment, this essay argues that it can improve the standard of living of people and that overrides the demerit.
(まず、問われている内容を自分の言葉でパラフレーズします。そしてネガティブな面とポジティブな面を両方挙げ、このエッセイでどちらを支持するのかを書きます。)
One of the main drawbacks is that rapid economic growth is often accompanied by the destruction of the environment. In order to build necessary infrastructure, trees are cut down, seas are reclaimed, and mountains are excavated. An increase in the number of factories may cause serious pollution of air, water, and of soil. While Japan’s growth in Gross National Product (GNP) increased by a factor of 7.6 from 1954 to 1973, the number of complaints about pollution also jumped from 235 to 3,567 during that period. However, this essay insists that economic growth gives people better lives and it can offset the disadvantage.
(まずネガティブな面の方を具体例を入れて論じ、しかし最後にポジティブな面でネガティブな面は相殺されると述べます。)
The main benefit of economic growth for people in a country is that it can surely improve their standard of living. Economic expansion brings more profits to companies in the country so that they can pay higher wages to their employees. Due to increased income, people can live in better residences, eat more nutritious food, and enjoy some hobbies. The overall improvement of life can cause expanded longevity and a decreased death rate. For example, while Indonesia showed an average 6% economic growth from 1991 to 2005, the infant death rate decreased from 6.8% to 3.4% during the same period. This can dramatically improve the satisfaction of people and any government should take this seriously above all else.
(ポジティブな面を具体例を入れて詳細に論じます。最後にもう一度問われていることへの自分の考えをしっかり書きます。)
To conclude, the main disadvantage for a country of prioritizing economic growth is the destruction of the environment. However, this essay insists that economic development gives people better lives and satisfaction so that the disadvantage can be overridden.
(結論として、再度ポジティブとネガティブな面を挙げ、ポジティブが優るとします。)