PSVANE WE300Bの簡単なレビュー

ヤフオクで6万円で落札したPSVANEのWE300Bペアが到着しました。オリジナルのウェスタンエレクトリックの300Bを構造・材料を含め可能な限り忠実にコピーしたものです。
3時間ほどCDを掛けっぱなしした後、10枚ほど手持ちのCDをとっかえひっかえして聴きました。以下が感想です。
評価環境は、以下の通りです。
・SACDプレーヤー:アキュフェーズ DP-570
・プリアンプ:LUXMAN CL-38uC
・パワーアンプ:エレキット TU-8600S(アムトランスパーツ使用、12AX7と12AU7はMullard製)
・スピーカー:Kripton KX-1.5

(1)S/N比が高く、細かな音が良く聞こえる。そのため残響やハーモニックスが他の300Bより長く続く感じがします。
(2)低音が締まっていてダンピングが利いている感じ。
(3)音に独特の艶みたいなものがある。ある意味音を付け加えているとも言えます。
(4)音像が引き締まり、音場も密度が濃いです。ただ、本当の意味の繊細な音という感じではなく、気持ち音の粒子の径が大きい感じ。
(5)分析的というより、音楽を楽しませてくれる方向の音。

これで6万円は非常にコストパフォーマンスは高いと思います。10万3千円した高槻電器工業の初代TA-300Bよりこちらの方が好ましいです。
ご本家のWE300Bの音はヴィンテージ管、復刻管ともに聴いたことはありませんので、このPSVANEのがどこまでオリジナルを再現出来ているかどうかは分かりません。ただ、何となくWE300Bオリジナルの音の傾向は分かるような気がします。
なお、上記の感想は差をある意味誇張して書いていますので、他の300Bとの差は客観的に見ればわずかです。ブラインドテストをやって聴き分けられる人は少ないと思います。

300B(真空管)4種比較

真空管アンプの世界で一番のブランド真空管は何といっても300Bです。元々ウェスタンエレクトリックが、映画館がサイレントからトーキーに変わる時に、映画の音声の再生のアンプ用に開発した真空管です。種類から行くと3極管で、ヒーターとカソードが兼用になっている直熱管であり、出力管としてはもっともシンプルです。シングルアンプで使っても8Wぐらいの出力が出せて使いやすくて、また回路をシンプルに出来て音が良い、ということと、また元々業務用の真空管で一般には販売されていなかったという稀少性もあって、非常に人気の真空管になりました。今はこの300Bと称する真空管が、中国、ロシア、東欧、日本などで作られていて、その種類はおそらく30種を超えます。ただ本家本元は何と言ってもWE=ウェスタンエレクトリックです。今年、アメリカのWEが久し振りにWE300Bの復刻版を発売開始しました。日本でも最近売り出してマッチドペアで23万円くらいします。ちょっと手が出ませんので、その代りといっては何ですが、中国のPSVANE(プスヴァン)が本家のWE300をかなり忠実にコピーしたPSVANE WE300Bをヤフオクで6万円で落としました。明日着きます。
そういう訳でしばらくSPECのD級アンプばかりを聴いていましたが、久しぶりに300Bのアンプ(エレキットのTU-8600S、アムトランスパーツ使用)を取り出して、手持ちの300B(4種類)をちょっと比較試聴してみました。以下ごく簡単なレビュー。
(1)Sun Valley Prime Ver.4
2011年に購入、ペアで26,000円。中国製。最初に組立てた真空管アンプがサンバレー(キット屋)のJB300BVer.3ですが、それに付いていたもの。ハイ上がりの華やかな音で、悪く言えば素人騙し。コクとか味わいは乏しいです。でもそれほど悪い球ではありません。一般的にはこれで十分かも。
(2)高槻電器工業 TA-300B(初代)
これも2011年に出たばかりの時にSun Valley品に満足出来なくて購入。価格はペアで定価10万3千円くらいでした。高槻電器工業は昔松下ブランドの真空管を作っていた会社です。日本製としてはこれが久し振りの300Bです。音像が引き締まってかっちりとした音で、どこにも破綻が無いです。真面目な日本的な音です。今売られているのは2代目でペアで18万円くらい。初代との違いは不明ですがラックスマンの300Bのシングルモノラルアンプに採用されていて、300Bとしては価格的にもトップクラスになっています。
(3)JJ300B
JJはスロヴァキアのメーカーで、昔のTeslaの製造ラインを引き継いでいます。他の300Bより明らかに重く、サイズも大きいです。ガラスの厚みが他の物よりあります。ペアで36,000円くらいです。音のコントラストがちょっと抑えられている感じで、その代りに全体に音場が溶け合ったような密度の濃い、品位の高い音です。本格的な音でクラシック音楽向きだと思います。
(4)エレクトロ・ハーモニックス 300B EH Gold
ペアで33,000円くらい。エレハモというと、イメージ的に安物という感じですが、どうしてどうしてこれは中々の球です。音楽に躍動感と暖かさがあり、聴いていて快いです。値段もお手頃だし、推薦できる球です。
それで今回買ったPSVANEの300Bで満足出来たら、おそらくご本家のWE300B復刻版は買わないでしょう。ご本家といっても、本当の昔のヴィンテージ管とはおそらく別物ですし。

TU-8600SとクリプトンKX-1.5の組み合わせ

昨晩、超三結真空管アンプを久しぶりに聴きましたが、音そのものはいいのですが、やはりパワー不足で、能率の低いスピーカーと組み合わせると強音で割れや歪が目立ちます。なので今日はエレキットのTU-8600S(アムトランス製パーツ使用)を使ってみました。出力管は高槻電器工業のTA-300B(初代)です。これとクリプトンKX-1.5の組み合わせは初めてでしたが、これが中々に良かったです。SPECのD級アンプの音には満足していますが、それでもやはり300Bシングルの音というのは独特の魅力があります。実は先日、ご本家のWE300Bがリニューアルされて再発売されることが発表されています。ペアで21万円で今お金が無くて買えませんが、やはりご本家の音というのも一度は聴いてみたいものです。とはいえこの高槻のTA-300Bも素晴らしいと思います。
なお、高音歪み防止のサブウーファーは今回の組み合わせでは無くても問題ありませんでした。

久しぶりの真空管アンプ

久しぶりに超三結真空管アンプを取り出し、8cm自作フルレンジにつないで聴いています。これはこれでとても良い音です。サブウーファーは、フルレンジの低音を補う意味ももちろんありますが、小出力の真空管アンプの歪を減らすのには欠かせないアイテムです。要は低音をサブウーファーが引き受けてくれることで、真空管アンプがかなり楽になるみたいです。

スピーカー取っ替え引っ替え

現時点でのオーティオの到着点。3台のスピーカーを聞くものに合わせて選んでいます。そのためにラックスのスピーカーセレクターを入れました。奥がJBL4307、これは主としてジャズ系。真ん中がKriptonのKX-1.5でこれを聴いている割合が多いです。手前がAutograph mini/GRでボーカルや室内楽など。この他にB&Wの706S2がありますが、優等生過ぎて面白みがないので、押し入れ行きになっています。またオンキヨーのD-77NEは、真空管アンプでは良かったですが、何故かSPECのD級アンプとは相性が悪いようです。

ハルモニア・ムンディのフランスとドイツの違い

クラシック音楽のレーベルにharmonia mundiというのがありますが、これにドイツとフランスがあって、これまでこの2つがどういう関係か知りませんでした。英語のWikipediaによると、この2つは別会社です。何でも1950年代のどこかで、フランス人のベルナー・クータスと、ドイツ人のルドルフ・ルビィがたまたま同じ 列車に乗り合わせ、話をしたら音楽の趣味が一致して意気投合し、二人で同じ名前のレコード会社をフランスとドイツにそれぞれ作ろうということで出来たみたいです。なので資本関係はありませんが、音楽ジャンルがバロックやルネサンスの古楽中心ということや、お互いにアーチストを貸し借りしたり、等の交流があったようです。なお、録音が平均的に良いのはフランスの方ですが、ドイツの方もレオンハルトのチェンバロの録音などで良いものがあります。今はドイツの方はBMGに買われ最終的に現在はソニーの傘下、フランスの方はPIASエンタテインメント・グループみたいです。
なお、五味康祐が「天の聲-西方の音」というエッセイの中で「ハルモニヤ・ムンディ」という題でこのレーベル(独の方)について書いています。

TANNOY Autograph mini/GRを導入

この1年くらいのオーディオ道楽の最後(にしたい)。ついにTANNOYに手を出しました。とは言ってもAutograph mini/GRですが。銘器Autographの名前は付いていますが、高さで比べると、4.2対1で、容積比だったらほとんど1/100ではないかと。こちらは小形スピーカーで有名なRogersのLS3/5aよりも小さいです。また本物はフロントローデッドホーン+バックローデッドホーンというこれ以上ないくらい凝ったエンクロージャーの構造になっていますが。こちらは単なるバスレフで、フロントローデッドホーンもありません。能率も85dB/W/mです。
ということで、物は試し、という感じであまり期待しないで導入したのでが、これが当たりでした!弦はTANNOYですから当然いいですが、金管楽器が実にきらびやかに鳴ります。またこのサイズからは信じられないようなスケール感のある音です。また10cm同軸2ウェイというのは、ボーカルには最適で、まさしく目の前で歌手が歌っている感じで定位します。もちろん本当の意味での100Hz以下の低音はほとんど出ていませんが、サブウーファーで補っているので問題ありません。単なるクラシック音楽がいいというだけでなく、いわゆるオーディオ的にいい音源の再生も見事にこなします。

グーセンス指揮ロンドン交響楽団のアンティル「コロボリー」他

ユージン・グーセンス指揮ロンドン交響楽団の、アンティル「コロボリー」とヒナステラの「パナンビ」のLPを入手。
長岡鉄男教徒は、このジャケット見ただけですぐ分かりますが、外盤A級ジャーナルの64番で取上げられている超絶録音です。レーベルはEVERESTで1958年のプレスですが、この頃のEVERESTは録音に35mmの映画用のフィルムを利用していたので有名で、他にも多数ステレオ初期の名録音があります。また指揮者のグーセンスがなかなかスキャンダルの人で、指揮者としての腕は見事なのですが、オーストラリアで「最後の魔女」と呼ばれた怪しげな女性と付き合い、一緒に卑猥な写真をいっぱい撮って、それが空港で見つかって大スキャンダルとなって、仕事をほぼ失ったという人です。私はこれ以外にグーセンスが指揮した幻想交響曲もCDで持っています。魔女で身を持ち崩した人が魔女が出て来る交響曲を指揮していると言う面白いものです。
長岡鉄男はこのLPの「コロボリー」を最後まで聴いた人は必ず「ほーっ」とため息をつく、と書いていますが、確かに終盤の盛り上げ方はすごくて、春の祭典をボレロ風に演奏している感じです。この録音、最近ハイレゾで販売されているというので探しましたが、そっちは無く、Amazonで検索したらオリジナルのLPが意外と簡単に出てきたものです。録音は盤質から来るパチパチノイズと、テープのヒスノイズが若干目立ちますが、それ以外はダイナミックレンジもFレンジも広く、この60年ちょっとのオーディオの進歩ってはたしてあったのかと思ってしまいます。

レコード針の寿命について

最近、毎日LPレコードを聴いており、平均して10枚/日ぐらいなると思います。そうなると気になるのが針先の寿命です。今使っているオーディオテクニカのAT-OC9XSHはシバタ針というものです。交換針のメーカーのJICOのサイトによると、シバタ針の寿命は約400時間とあります。LP1枚が大体45分とすると、530枚くらい聴くとこの位の時間になります。このカートリッジを使い始めてからもうその位は聴いていると思いますが、今の所音が劣化した感じはありません。シバタ針の開発者の情報によると、シバタ針の寿命はLPの盤面の程度が普通の場合、1500時間、非常にきれいな場合は4500時間となっています。私はJICOの情報よりこちらの情報の方が正しいと思います。まず針先が無垢のダイヤの場合、通常人は消しゴムが減っていくように摩耗していくと思うでしょうが、実際は違います。それからダイヤに比べ大幅に硬度が低い(モース硬度で1未満)の塩ビのレコードの表面をトレースしているだけだったら、寿命は非常に長いです。よく針先の接触面積が非常に小さくてそこに針圧がかかるので針が摩耗すると解説してありますが、これは正しくないです。ダイヤの針を摩耗させるとは、ダイヤに近い硬さのものが針先に当たって、微小な欠けが起き、これが繰り返されることが摩耗という現象の実態です。これは包丁や剃刀が段々切れなくなるのと理屈は同じです。なので、針を長持ちさせたければ、盤面のゴミ・ホコリがなるべく無い状態で再生すればいいということになります。このためにもクリーニングマシンというのは役に立ちます。また、砂埃やガラスの微粉末のような硬度の高いゴミは針先にもっともダメージを与えます。それからカートリッジの音が劣化して来たと思ったら、まずは電動スタイラスクリーナーで1分くらいクリーニングすることをお勧めします。針先の表面に樹脂類やゴミが付着して音を劣化させている場合が非常に多くあります。

また仏ERATOの輸入盤LP37枚を落札

またヤフオクで仏ERATOの輸入盤LP40枚を落札しました。やはりYAMAHAの袋で、これまで2回と同様に、渋谷の道玄坂のYAMAHAの店頭在庫だと思います。これまで2回の落札分を合わせ、127枚、既に持っていたERATOのLPが30枚くらいありますので、全部で160枚になり、私の手持ちのLPの一割強になり、なかなか貴重なコレクションになったと思います。今回のにはドビュッシーとかフランクとか、割と普通のクラシックも入っています。また、「カタルーニャの音楽」というLPに「モンセラートの朱い本」が入っていたので「おお!」と思ったのですが、聴いてみたら私が既に持っているHispavoxのスペイン古楽集成に入っているのと同じ音源でした。ちなみにこのLPの演奏はパニアグア一家です。LPは1,000枚で手打ちにしようと思っていたら、既に1200枚を超しています。置き場所を確保するのが大変です。