SPECのD級アンプ

オーディオ狂いが止まっていなくて、真空管アンプはシングルアンプ、プッシュプルアンプ、超三結、全段差動プッシュプルと試して、まあ現代の真空管アンプの可能性と限界がそれなりには理解出来たように思いました。そこで半導体アンプに戻って、前から興味があったSPECのD級アンプを導入しました。この会社はパイオニアからスピンアウトされた方々が作った会社で、たまたま以前私が勤めている会社の製品の使用用途を調べていて知りました。アンプの電源スイッチにNKKのS-1ALというレバーロックのトグルを使っています。レバーロックというのは操作するのに一度レバーを引っ張ってロックを外して操作するもので、誤操作防止のスイッチです。民生用品に使われるのは珍しいです。購入したのはプリがSPEC RPA-P5、パワーがSPEC RPA-W5ST x 2台です。フォノイコライザーは付いていないので、別にフェーズメーションのEA-300を使っています。実は最初はパワーを1台だけのつもりだったのですが、たまたまプリが既に生産中止で、デモに使っていたものを安く分けていただいたので、浮いたお金でパワーをもう1台買ったものです。また、パワー2台のBTL接続(ブリッジ接続)の音が素晴らしいというレビューもあったのでそのためでもあります。結論として買って大正解でした。SPECの技術の方がリファレンスにされているのが、300Bの無帰還シングル真空管アンプ+アルテックA-6の音ということですが、そのせいなのかSPECのアンプは真空管アンプと半導体アンプのいいとこ取りのような音がします。2ウェイのスピーカーを使って、バイアンプとBTL接続の両方を試しましたが、歪の少ない綺麗な音が好みなら、バイアンプ、活き活きとした力強い音が好きならBTL接続です。私はBTL接続の方が好きです。高音から低音まで音が前に出て来る感じで、切れ込み・アタック感も申し分ないです。ただソースによってはBTL接続の方は若干音が荒っぽくなる場合もありますが、多くの場合は気にならないレベルです。BTL接続でモノアンプx2台という構成での音像のシャープさも素晴らしいです。なお、オンキヨーのD-77NEは何故かこのSPECのアンプとはあまり相性が良くないようで、今はスピーカーはKriptonのKX-1.5を使っています。

Eduardo Paniaguaの優秀録音:Alarife’s Mudéjare’s

Eduarudo PaniaguaのCDはどれも録音が良く、おそらくマイクはワンポイントか2本だけのシンプルな録音機材で、音の鮮度が抜群です。また、多くが石造りの教会とかで録音されており、自然なエコーが素晴らしいです。そんな中から一枚紹介すると、”Alarife’s Mudéjare’s”というのが特にユニークです。Alarifeというのは建築家・大工と言った意味のようです。Mudéjareというのは、中世のイベリア半島で、レコンキスタというキリスト教徒による国土回復運動の結果キリスト教支配地域になった場所に残ったムスリム達のことのようです。そのMudéjare達がCuéllarに作った、San Martin教会(モスク?)で演奏されていた音楽を再現したもののようです。といってもパニアグア一族のことですので、かなりの部分想像に基づいていると思います。(一部「聖母マリアのカンティガ集」のある曲のメロディーも使っています。)録音として面白いのは建築家ということで、教会を作る所から始まり、トンカチカンカン、ノコギリギコギコという音が鮮度良く録音されています。また季節は秋なのか虫の声がかなりの音量で入っていたり、さらにはパニアグアお得意のチョロチョロ噴水の音も聞こえます。(何故か結構高い所から聞こえます。)出来上がった教会の中の録音は、縦に長く横が狭い建物だというのが良く分かる残響音になっています。こういうある種純粋な音楽とは違うある意味ゲテモノですが、何にせよオーディオ的には面白いです。

エデュアルト・パニアグアのCD

エデュアルト・パニアグアというスペインの古楽演奏者がいます。
私はこの人のCDを31枚ほど持っています。元々は、グレゴリオ・パニアグアとアトリウム・ムジケーという1964年に結成された古楽演奏団体があって、中世などの今日では失われた楽器を自分達の工房で再現し、それを使った演奏を行っていました。私が持っているアトリウム・ムジケーの音源で一番古いのは、スペインのHispavoxというレコード会社が出した「スペイン古楽集成」のLPの中の「聖母マリアのカンティガ集」がアトリウム・ムジケーの演奏によるものです。
グレゴリオ・パニアグアとアトリウム・ムジケーは、1980年頃に発売された「古代ギリシャの音楽」のLPをオーディオ評論家の長岡鉄男がアナログの超録音優秀盤として激賞したことで、一躍有名になり、その後「ラ・フォリア」「アラブ・アンダルシアの音楽」「ラ・スパーニャ」等のやはり録音優秀盤が次々に発売されました。ちなみに「古代ギリシャの音楽」は厳密な考証に基づくものではなく、限定された史料から楽器を再現し、また想像力を膨らませて曲を作って演奏しているもので、本来の古代ギリシャの音楽そのものとは言えません。そういう意味で真面目な音楽評論家・音楽学者はパニアグアを毛嫌いする人もいます。
今は、おそらくグレゴリオは引退し、その年の離れた弟(といっても1952年生れなので今は69歳ぐらい)であるエデュアルド・パニアグアが今でも精力的に演奏活動をやってPneumaというレーベルからCDを出し続けています。特筆すべきは、「聖母マリアのカンティガ集」の録音です。全部で406曲もあるこの14世紀の音楽のCDをエデュアルドはこれまで私が知る限り15枚くらい出しています。406曲の中できちんと楽譜が付いているのは一部で、それも正確に採譜されているか怪しいものも多く、おそらくやはり想像力と最新の研究を合わせてCDを録音し続けているんだと思います。
カンティガだけでなく、スペインの中世の特徴である、アラブ系・イスラム系の音楽も積極的に録音しています。スペインの中世というのは、キリスト教、イスラム卿、ユダヤ教(スペインを支配したイスラムの王朝はユダヤ教に関しては寛容で、ユダヤ人達は自分達の信仰を守りながら暮していくことが出来ました)の混じり合った非常に興味深い音楽文化を持っており、その一部をエデュアルドの演奏で聞くことが出来ます。
なお、今出ているCDの録音についても、かつてのLP時代のものに比べてまったく遜色ないどころか、場合によってはデジタル録音の進歩でかつてのレベルを上回り、オーディオチェックには最適です。長岡鉄男が亡くなってからこういう録音優秀盤を継続的に紹介し続ける人がいなくなってしまいましたが。

インチキ真空管アンプに騙されないように

Just MyShopというジャストシステムの通販サイトから「真空管アンプ」のメールが来ました。しかしここで紹介されているアンプはYAHAアンプ(Yet Another Hybrid Amplifier=なんちゃってハイブリッドアンプ)というもので、プリの1段目に確かに真空管を使っていますが、12Vと言う低電圧で、真空管のもっとも特性の良くない箇所(増幅特性が直線ではなくかつ増幅率も悪い箇所)を使うもので(要するにどれだけ低電圧で真空管を駆動出来るかのお遊びであり、高音質のためではまったくない)、またメインの増幅はデジタルアンプなので、真空管らしい倍音の多い音などまったく期待出来ない安物です。
またブランドは「サンスイ」となっていますが、これはドウシシャという会社が山水電気が破産した時に、ブランドを買い取ったもので、かつての山水の製品とはまったく関係ありません。
それから「倍音を追加する」とか適当なことが書いてありますが、真空管が倍音をエコーのように追加するのではなく、真空管の歪が奇数倍の高調波歪みが少なく、偶数倍の歪が多いので、(真空管が半導体に比べて歪み率が悪くても)比較的気にならないというだけの話です。
まあ要するに一種の詐欺商品です。こういうもので真空管アンプを試してみようと思わない方がいいです。Just MyShopからはこの前も「真空管アンプ」が来ていて、こちらはちゃんと真空管アンプでしたが、それも何故か五極管シングルで五極管接続という、一般的にはあまり音の良くないとされているものを、「A級アンプだから音がいい」と書いてありました。真空管アンプの場合シングルアンプは全てA級アンプです。また音を良くしたいなら一般的は三極管を使うか、あるいは五極管接続でも三極管接続かUL接続を使います。
ちゃんとした真空管アンプの音を聴きたいなら、エレキットのキットをお勧めします。自分で組立てるのが面倒だったら、アムトランスとかサガミオーディオで組立て済み+部品交換のものを売っています。

ハルモニア・ムンディのLP29枚落札

ヤフオクで今度はハルモニア・ムンディのLPを落札。前回のERATOと同じ出品業者で、これもYAMAHAの文字入りの袋に入っていたので、またYAMAHAの渋谷道玄坂店の放出品と思います。業者の申告は23枚でしたが、箱物が4組くらいあって実際は29枚でした。その内20枚がフランス、9枚がドイツです。ハルモニア・ムンディで録音がいいのはフランスの方なので嬉しいです。しかも大好きなコンチェルト・ヴォカーレ(ルネ・ヤーコプス、ジュディス・ネルソンら)のが6枚入っていて大当たり!でした。ただ今回は最後まで落札価格が釣り上がって、結局送料入れて1枚あたり2,300円と新譜のLP並みの価格になってしまいましたが、仏ハルモニア・ムンディのLPをこれだけまとめて手に入れられる機会はなかなかないので満足です。今、試しに聞いていますが、プチプチノイズも無く、盤質も極上です。録音もアナログの最高峰といっていいレベルです。

Harmonia MundiのLP23枚を落札

先日のERATOの輸入盤に続き、今度はHarmonia Mundiの輸入盤LP23枚を落札しました。今回も袋にYAMAHAのロゴとマークが見えるので、やはりヤマハの渋谷道玄坂店にあったものだと思います。今回はかなり高く付いてしまいましたが、それでもこういったLPがまとまった手に入る機会はあまりないので、貴重です。

スペアナソフトによるリスニング位置での周波数特性測定

測定用コンデンサーマイク(昔サブウーファーを自作したことがあり、その時に買ったもの)をUSBオーディオアダプターでPCにつなぎ、スペアナソフトを起動し、デノンのオーディオチェックCDでピンクノイズを流して現在のオーディオの周波数特性をチェック。うーん、結構ばらついているというべきか、むしろリスニングポジションとしてはまあフラットと言うべきか、迷います。

輸入盤ERATO(道玄坂ヤマハ店頭品)を更に31枚追加ゲット

ヤフオクでまた輸入盤のERATOのLP31枚を落札しました。前回の59枚と合わせ、全90枚を送料込み15,000円くらいで入手出来ました。昔の記憶だとこのシリーズは1,800円くらいだったと思います。それに比べると約1/10の金額で買えてラッキーでした。今回もまたYAMAHAの袋入りで、渋谷道玄坂のヤマハの店頭品が回ってきたものです。前回が1979~1981年頃発売のものでしたが、今回は1981~1983年頃発売のものが中心です。前回の59枚はまだ全部聴いていませんが、録音の質はとても良く、オーディオ的にA級の録音が多いです。ジャケットの裏に録音場所の写真が付いていることがありますが、大抵が教会かお城みたいな所で、自然にエコーがかかります。発売から40年経っていますが、クリーニングマシンで洗浄してやればほとんどノイズは出ません。

懐かしのヤマハ渋谷店(道玄坂の途中)のレコード売り場

昨日届いたヤフオクで55枚まとめて買ったエラートのLP、袋にヤマハのマークがついていましたが、ジャケットにも「SHIBUYA YAMAHA」というシールが貼ってあったのがありました。間違いなくこれヤマハ渋谷店(道玄坂)の店頭品ですね。私の学生の頃は、渋谷で一番大きなレコード屋はヤマハでした。タワーレコードとかHMVが出て来る前です。ただ記憶では1980年代のどこかでレコード販売は止めましたが。もっとも私は輸入盤は渋谷のヤマハよりも秋葉原の石丸電気本店の外盤売り場で良く買いました。長岡鉄男の「外盤ジャーナル」推薦盤コーナーなんてのもありました。

仏エラートの輸入盤59枚を落札

手持ちのLPのクリーニングが終ったので、またヤフオクを物色し、エラートの輸入盤LP59枚を送料込み8,980円で落札しました。(写真はごく一部)全てヤマハの袋に入っていてほとんど聞かれた形跡が無く、実際にクリーニングして聞いてみたら新品同様で非常にお買い得でした。バロックから古典期の色々な作曲家を扱っており、全体が一つのシリーズではないかと思います。発売も1979年から1981年頃と、私が本格的にオーディオを始めた頃で懐かしいです。おそらくヤマハの銀座か渋谷でレコード販売を止める時に店頭の在庫をまとめて売却したとかではないかと思います。ともかく1枚150円ぐらいで録音も極上です。私はシャルランよりエラートの録音の方が好きです。非常に良いお買い物でした。