ヴェーバーの「中世合名・合資会社成立史」についての日本人学者の言及として、大塚久雄氏の「株式会社発生史論」におけるそれについての批判をアップしました。私はマルクス主義のいわゆる「発展段階説」が大嫌いなので、自然と辛口の批判になりました。
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安藤英治氏の「中世合名・合資会社成立史」の紹介についての論評
安藤英治氏が、「ウェーバー歴史社会学の出立 ―歴史認識と価値意識―」という本の中で、20ページくらい「中世合名・合資会社成立史」の内容を紹介されており、それについて論評しました。故安藤先生には申し訳ありませんが、かなり厳しめの評価になりました。
ヴェーバーの「中世合名・合資会社成立史」のダイジェスト版を公開
ヴェーバーの「中世合名・合資会社成立史」のダイジェスト版を公開しました。
日本マックス・ヴェーバー研究ポータルのアクセス統計を見ていると、この論文の結論部にだけアクセスしている人が非常に多いんです。しかし、この論文の結論部だけ読んでもこの論文の内容はほとんど分りません。何故なら、全体が一つの仮説を提示しそれを論証するといった結論がはっきりしているものではなく、いわゆる決疑論を広範囲の地方の法規に対して展開しているのがこの論文であり、個々の法規の評価の部分が重要で、結論で簡単にまとめられるような内容ではありません。
ダイジェスト版といってもWordで17ページありますが、せめてこの位は読んでいただきたいと思います。
Amazonでの「中世合名・合資会社成立史」Kindle版販売
Amazonでの「中世合名・合資会社成立史」のKindle版販売は、今の所ポツリポツリという感じでしか売れていませんが、それでも「マックス・ヴェーバー」で検索すると結構上位に出て来るのがうれしいです。
井上寿一の「戦争調査会 幻の政府文書を読み解く」
井上寿一の「戦争調査会 幻の政府文書を読み解く」を読了。先の戦争で不思議なのは、いわゆるPDCAが十分行われないで、今後また間違えないようにする、という意識が徹底しなかったことです。しかし、1945年11月に幣原喜重郎が、その当時の政治家、官僚、軍人から聴き取り調査を行い、学識経験者が40回の委員会を開いて、戦争の原因と敗因を調査しようとしていたのを初めて知りました。この試みはしかし、当時別に東京裁判が進行中で、戦勝国の立場から日本を裁くということで、それ以外に日本が独自で自分達の過去を調査することが、また将来の戦争につながるんではないかというほとんど言いがかりみたいなクレームがイギリスやソ連から入り、アメリカは反対ではありませんでしたが、それらの国の反対を論駁出来ず、途中で調査会は解散になります。そのため調査は途中で終っているのですが、まあ興味深いのはポイント・オブ・ノー・リターンがどこだったかということで、アメリカとの戦争を決定づけたのが、三国同盟と南部仏印駐留だったとしています。一部の委員は戦争の原因を明治維新にまで遡ることを主張しますが、そこまでやると発散してまとまらないということで採用されなかったようです。東京裁判の結果として、戦争の責任者の多くが戦犯として処刑され、それらの人から聴き取りをすることも不可能になります。私の個人的意見ですが、日本人は当時も今も、目先の、せいぜい1年先くらいのことについては比較的に計画的にやってやり遂げますが、5年先、10年先といった戦略を立てるのが下手のように思います。当時、将来に文明の衝突的に日米が対決すると予想していた人は多くいましたが、まさかそんなすぐにアメリカと戦うことになるとは予想出来ていなかったと思います。残念ながらこの本で知った新しいことというのはあまり多くありませんでした。
「ローマ農業史」日本語訳プロジェクト始動
続けて、ヴェーバーの「ローマ農業史 国法と私法への意味付けにおいて」の日本語訳プロジェクトを開始します。
「中世合名・合資会社成立史」のKindle版販売開始
ヴェーバーの「中世合名・合資会社成立史」の日本語訳ですが、出来るだけ色々なフォーマットで読めた方がいいかと思い、AmazonでKindle版の提供も始めました。
別にお金を取るつもりはなかったのですが、設定として$0というのは出来ず、最低価格の$0.99(今時点のレートで105円)になっています。
ヴェーバーの「中世合名・合資会社成立史」の日本語訳PDF
ヴェーバー「中世合名・合資会社成立史」の日本語訳PDF版を公開
ヴェーバー「中世合名・合資会社成立史」の日本語訳PDF版を公開しました。まだ校正中ですが取り敢えずWordフォーマットにし、訳者注を本文から分離して脚注にしました。また人名をカタカナ表記にしました。
相倉久人著、松村洋編著の「相倉久人にきく昭和歌謡史」
相倉久人著、松村洋編著の「相倉久人にきく昭和歌謡史」を読了。といっても読了したのはかなり前で、ここの所ヴェーバーの「中世合名・合資会社成立史」の翻訳に時間を取られて紹介する暇がありませんでした。
相倉久人さんは昭和6年生まれの昭和一桁なんで、戦前の音楽もよくご存知です。例によって古関裕而がきっかけになって古い昭和の音楽にはまり、青春歌年鑑というシリーズで昭和3年から私が生まれた1960年代初めまでを全部揃えてしまいました。
この本で良かったのはやはり戦前の所で、古関裕而の軍事歌謡も含めて当時どのように受け止められていたのか経験者の話が聴けたのは良かったです。またエノケンの歌の才能についてこの本で教えられてCDを買いました。それから戦後になって、美空ひばり、坂本九、クレージーキャッツくらいまでは楽しめました。山口百恵以降はもう同時代なんでそんなに新しい発見はないですが、ちあきなおみの「夜へ急ぐ人」のような隠れた名曲を教えてもらったのが良かったです。ずっとCDを色々聴きながら読んでいましたが、つくづく思うのが昔の歌手の歌の上手さ。昔はほとんどの歌手が音大か音楽専門学校で歌を学んだ人ばかりでした。それが1960年代にフォークソングが出てきて素人ばかりになりました。もちろん素人には素人の良さもありますが、私はやはりちあきなおみや弘田三枝子のような上手い歌手が好みです。