天頂の囲碁7との九路盤互先黒番での3局目


天頂の囲碁7との九路盤互先黒番での3局目。布石を変えてみました。5と付けて6とはねられた時7と突っ張る私独特の打ち方です。何と天頂の囲碁7は8と当てた後、10とここを継いで来ました。結果、白2目半勝ちでかなりいい勝負になりました。今の所これが本当にプロに勝ったレベルなのか?という感じです。

天頂の囲碁7 初対戦

天頂の囲碁7が到着。早速九路盤互先で2局。1局目は19目半負けでボロ負け。2局目は5目半負けで、先番なら1目勝ちで悪くは無いのでは。6と比べると2手目が既に違って私の必勝パターンに乗ってきてくれません。ただ、戦いを優先するより囲い合いを優先する感じです。

NHK杯戦囲碁 芝野虎丸7段 対 柳時熏9段

本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が芝野虎丸7段、白番が柳時熏9段の対戦です。芝野7段は、最近名人戦リーグにも入り絶好調。黒は3手目でいきなり左上隅の白にかかりましたが、白が受けたので、普通の布石に戻りました。その後は非常にオーソドックスな布石で逆に最近珍しいです。黒が左辺でも模様を拡げるため中央に一間に飛んだのに対し、白がその飛んだ石に付けていって、そこからちょっとした折衝になりました。黒は白が1子当てたのに手を抜いて、白にポン抜かせました。黒の構想としては、そのポン抜いた白全体を攻めていこうとしたようです。しかし、白は左辺に絡めながらうまく打ち回し、このポン抜いた白は黒1子を切り離してはっきり活きてしまいました。この辺りでは白が良かったと思います。先手の白はその後下辺を右下隅に迫りながら目一杯拡げ、黒が中央に飛んだのに更に中央に飛びました。そこで黒がケイマして、右辺の白の打ち込みを匂わせたのに対し、白はそれを受けず、中央に一間に飛んだ所からさらにケイマして黒を煽りました。黒は右辺の白の真ん中に打ち込みました。白はその石に付けていって、結局右辺で劫が始まりました。この劫は解説者の淡路修三9段には予想外だったようですが、芝野7段は予想していたようです。この劫は2段劫でお互いに1手では解消できない面倒な劫でした。芝野7段は中央への白の攻めを見せながら劫を続け、最終的には黒が下辺で白4子を取込み、劫は白が勝つという展開になりました。しかしその過程で白は左辺の石に眼を持つための手入れをさせられたりと、ちょっと固く打ち過ぎた感じです。右辺の劫は解消にもう一手かかりましたので、あまり白が得をしていない感じでした。その後先手の黒は左下隅の三々において、隅の地を稼ぎ、それから更に上辺の白地に手を付けていきました。ここの攻防は難解で攻め合い含みでしたが、結局黒はうまく活き、その代わり白は黒2子を取って中央でつながりました。しかし元が白地だったことを考えると黒の稼ぎの方が大きくここで差が開きました。その後、黒は下辺の白に対し切り込んだ後、石塔シボリで絞り、3子をアタリにしました。白はこの3子を継ぐと下辺全体で眼がなくなってしまい、ここで白の投了となりました。芝野7段の冷静な打ち回しと形勢判断が光った1局でした。

NHK杯戦囲碁 秋山次郎9段 対 黄翊祖8段

本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が秋山次郎9段、白番が黄翊祖8段の対戦です。双方中々の実力者同士の対戦です。布石は最近の碁としては珍しく、双方がカカリを打たず自陣を締まって、黒が右半分、白が左半分に模様を張るという展開になりました。白は右上隅の黒のシマリに最近流行りの肩付きを打ちましたが、黒は普通に受けず中央からかぶせました。白はそれに受けずに右辺の黒にボウシし、見たことがない形になりました。結局白は右上隅に潜って黒3子を取って活きましたが、黒からは右辺からか上辺からか利かしがありましたが黒はどちらも行使せず右下隅を打ちました。白はすかさず右上隅に1手かけて黒からの利きを回避しました。黒はそれに対して下辺を拡げました。白はそこで右下隅の黒のシマリに付けていきました。黒も最強に応じましたが結局ここは白から打てば劫になるというまま放置されました。黒はその後左辺に打ち込みます。それに白は受けずに上辺を打ちました。黒は左下隅に付けていきました。結果黒が左下隅を地にしましたが、白は厚くなり、最初に左辺に打ち込んだ黒が取り残されました。ここから囲い合いでは白がいいと見て、黒は左辺の石を担ぎ出しました。黒は中央の白の薄身をついて結局白数子を取り込んで左辺の黒の半分程を生還させました。これは黒の大きな戦果でしたが、白も上辺を打ち、かつ左辺を確定地にしており互角でした。ここで白が右上隅の黒に寄り付いて劫にしたのが上手く、白はここで右下隅の白が活きる手を劫材に使いました。この劫材は何手もあって黒は相手に出来ず、黒は劫を解消し、白が右下隅で活きました。この分かれではっきり白が優勢になったようです。その後黒は左上隅にからめながら上辺に手を付け、結局かなり大きく活きることが出来ましたが、その過程で白も中央の黒2子を抜いて厚くなり、差はあまり縮まりませんでした。結局白の6目半勝ちで黒はコミを出すことが出来ませんでした。

NHK杯戦囲碁 山下敬吾9段 対 今村俊也9段

本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が山下敬吾9段、白番が今村俊也9段の対戦です。山下9段は丈和なみの「豪腕」、今村9段は「世界一厚い碁」でその看板通りの対戦内容になりました。序盤山下9段がかなり強引に仕掛けていって、それを今村9段が手厚く処理して、山下9段が地を稼ぎ、今村9段が中央を厚く構えるという碁形になりました。右上隅の黒模様に対し、白が上辺から打ち込み、更に右上隅に潜り込んで、結局白が右上隅で活きました。その後の折衝で黒は左辺をつながっていれば無難だったのを、山下9段がかなり頑張った手を打ちました。その結果黒は弱い石が3カ所に出来ました。黒は全部を妥協せずに頑張り、一時は3カ所共にしのいだかと思いました。しかし中央の折衝で黒が白4子を当たりにしたのに白は受けずに左辺を押さえていって、結局左下隅からの黒が取られてしまいました。この振り替わりは明らかに白の大利でここで形勢がはっきり白良しになりました。山下9段は左上隅の白に劫を仕掛けてそこを最後の望みにしました。劫材は確かに黒が有利でしたが白は活きさえすれば良く、実戦も活きて終わりになりました。白の中押し勝ちです。今村9段のあくまでも厚い碁形が効力を十分発揮した碁でした。山下9段はどうもNHK杯戦での勝率が良くないですね。

依田紀基9段の「依田流アルファ碁研究 よみがえる、呉清源・道策」

依田紀基9段の「依田流アルファ碁研究 よみがえる、呉清源・道策」を読了。アルファ碁に関する本もこれがもう6冊目にもなります。依田9段がアルファ碁・Masterの棋譜を調べて、その打ち方に呉清源や道策との共通点を見いだして、比較をしているものです。全体の1/3がアルファ碁・Master、残りの1/3が呉清源、さらに残りが道策になります。その中に一部依田9段自身の棋譜も入っています。私もアルファ碁・Masterは呉清源に近いと思っていました。それは坂田栄男のような読みの鋭さで勝負するのではなく、全体の構想の素晴らしさで勝つという部分です。この本ではそういう指摘はありませんが、藤沢秀行の打ち方もAIと似た所があると思います。道策についてはその棋譜をほとんど並べたことがないので、この本で指摘されてああそうかと思いました。アルファ碁・Masterの肩付き一本や掛けてからのツケは確かに道策と似ているようです。ただ、この本の指摘は単に似ている、ということで感心しているだけで終わっていて、より深い分析までには至っていないように思います。最近プロ棋士がアルファ碁・Masterを含めたAIの碁の打つ手を真似しだして、それが非常に流行していますが、私の見るところその真似をしている方が勝っているかというと、そうでもないようです。強い人の打ち方を形だけ真似ても仕方がないと思います。プロ棋士におけるAI囲碁のより深い咀嚼が今後望まれると思います。

NHK杯戦囲碁 内田修平7段 対 羽根直樹9段

本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が内田修平7段、白番が羽根直樹9段の対戦です。序盤は比較的オーソドックスな布石かと思いましたが、右下隅にかかった白石を放置し、白が左下隅をコスみ、黒が右下隅をコスミ付け、白が立って黒が隅からケイマした所で白はこの2子を直接動かず、下辺を左から詰めました。黒は白2子を封鎖し、白は詰めた下辺の石からケイマしてこの2子に連絡しました。この結果、黒の勢力対白の実利というこの碁の碁形が決まりました。その後右上隅の攻防になり、ここでも白は実利を稼ぎ、黒は右辺を模様にしました。この攻防で先手を取った黒は左上隅の掛かりっぱなしになっていた所からかけ、白が上辺を張ってここでも白は実利を稼ぎ、黒は左辺も模様にしました。黒がさらに上辺を押していった過程で黒がちょっと上手い手を打ち、白地を5目くらい削減することに成功しました。この辺りでは黒が悪く無かったと思いますが、ここからの羽根9段の打ち方が巧妙で、下辺から無理せずに自然に左辺および中央に進出しました。ここで黒が下辺の白に利かそうとしたのがある意味逸機で、白は受けずに左辺を打ちました。結果的に下辺の白地は大きく削減されましたが、それ以上に黒の中央に出来る筈だった地がほとんど見込めなくなった方が大きかったようです。その後黒は左下隅で出切りを敢行し、左下隅に手を付けて劫にしました。劫材は黒の方が豊富だった筈ですが、黒は妥協して白2子を取り込みましたが、白も左下隅で活きて、この結果は白が悪くなかったと思います。その後黒は切り離した中央の白への攻めも中途半端で、結局コミの負担が大きく、白の中押し勝ちとなりました。羽根9段の余し作戦がきれいに決まった感じです。

天頂の囲碁7

天頂の囲碁7がAmazonに出ていて、予約購入できるようになっていました。11月17日発売予定。説明見ると、井山裕太六冠王を始めとしてプロ棋士に勝ったバージョンと同じみたいで、棋力は9段になっています。これは期待します。
天頂の囲碁6は九路盤互先で打っている限り、以前見いだした必勝パターンで勝つことが多くなり、つまらなくなって最近あまり対局しなくなっていた所でした。

NHK杯戦囲碁 一力遼7段 対 潘善琪8段

本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が一力遼7段、白番が潘善琪8段の対局です。一力7段は若干20歳ですが、既にタイトル戦挑戦者になり、ポスト井山裕太の最有力候補です。布石はオーソドックスなものでしたが、左辺は黒が左下隅と左上隅に両方にかかり、白も大人しく受けたので、黒が言い分を通したような形になりました。先手を取った白は右下隅にかかり、黒が二間に挟んだのに対し白はカケ、黒が出切るという定石になりました。白が切られた後、定石通り挟んだ黒の右横に付けていきましたが、ここで黒は伸びました。白は黒の切った石を右から当てて行き、調子で左側の石を出て行って黒石を裂かれ形にしました。しかし白も右側の2子を犠牲にしており、互角のワカレでした。次に右上隅の攻防になり、白はかかった後挟まれて、両ガカリし、その後三々に入って隅の実利を取りました。その後黒は左上隅の白に肩付きした後右に一間に飛んで、右上隅の黒の壁に接近している白の攻めを狙いました。白は左側に大ゲイマし、中央へ逃げようとしました。黒は肩付きして一間に飛んだ所に一手かけてカケツギの形にしました。このカケツギへのノゾキが利くかどうかが結果的にこの碁の焦点になりました。白は準備した上でノゾキを決行しましたが、黒が継がずに覗いた白の上に付けたのが上手い受けでした。白はそれに対し更に上に付け返しました。しかし黒は1目を捨てて白を封鎖することが出来ました。白からは黒を切れば劫に出来たのですが、その劫に見合う劫材がどこにもなく、劫は決行出来ず、別の所から中央に逃げました。この結果、左上隅から中央にかけて黒が素晴らしい厚みを築きました。この厚みを背景に、黒は左下隅でツケコシを決行し、左下隅と中央の白を分断しました。結果的に白は左辺から中央の石、上辺から中央に伸びた石、そして下辺右の石と、3カ所に活きていない石が出来ました。白は色々手を尽くして、結果としては3カ所共に活きましたが、その間に黒に色々と余得を図られ、この時点で黒がはっきりリードしました。黒は更に左上隅の白にも手を付けていきました。これは二手ヨセコウでしたが、結局白に劫材がなく、白の投了となりました。

武宮正樹9段の「武宮の形勢判断 地を囲わない努力」

武宮正樹9段の「武宮の形勢判断 地を囲わない努力」を読了。武宮正樹9段の最近の本をマイナビのサイトで見かけて買ってみようとAmazonでレビューを見たら、「最近の武宮9段の本は同工異曲で、取り上げている棋譜も同じものが多くてまったく新鮮味がない」とされていました。それでその本を買うのは止めましたが、その人が褒めていたのがこの本です。(出版は2003年)武宮9段は若い頃は宇宙流と呼ばれる大模様の碁が有名でしたが、年が進むと単純な大模様は少なくなり、むしろ全体に厚い碁が多くなったように思います。この本はそんな厚い打ち方の解説の本です。「厚い」打ち方をすると、どうしても相手に先に地を与えるので、アマチュアである我々はつい焦ってしまいますが、この本で解説されている武宮9段の棋譜は素晴らしく、まったく地が無いように見えて、後半追い上げていく様が見事だと思います。また厚い碁で勝つには力も相当必要で、相手が無理手を打ってきたら的確に咎めて得をしなければなりません。そういう意味で厚い碁は、力のある人向けの戦法なのかもしれません。とはいえ、この本で解説されている打ち方はとても自然で、アマチュアにも非常に参考になります。