本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が清成哲也9段、白番が関航太郎2段の対戦です。関2段はまだ17歳で、初出場です。清成9段は確か私と同じ歳で57歳だったと思いますので実に40歳の年齢差です。まあ囲碁棋士には90歳を超えて現役の方もいらっしゃいますが、NHK杯戦という選ばれた棋士だけの舞台では比較的珍しいかと。布石は清成9段の初手が目外しで、後で白がかかって来た時に大斜ガケより一路広い大大ケイマガケを打ったのがちょっと珍しかったです。白がコスんで頭を出し黒が右辺を受けた後、白が黒の左上隅の大ゲイマシマリに付けていったのが今風でした。ここの折衝で黒は左上隅にかなりの実利を稼ぎ、白は代償に上辺で厚みを築き上辺を目一杯開きました。この上辺の折衝で黒が白の厚みの断点を覗いていったのに白が反発し、結局攻め合いになり、白が黒の数子を取り込みました。黒は取られた石を活用し上辺から利かすかと思いましたが、中央から利かしました。この結果黒は中央と左辺がつながり厚くなりましたが、白も上辺と右上隅がつながりました。その後黒は中央右の石の安定を図るため白2子を切り離して取り込みましたが、黒が何手かかけている間に白は下辺を大きく模様にしました。しかし黒は中央に眼の無い白の一団がありこれを攻めることで下辺は荒らせるとのことで、まず右下隅の三々に入りました。黒は上辺で劫立てが多く効には負けないとのことで下辺をハネた後効は歓迎とのことでカケツぎました。白は効には行けず妥協した手を打ちました。黒は白を切っている石を動き出し、この辺りは黒が順調だったと思います。この碁の焦点はその後の下辺の折衝で、下辺中央に開いた白に黒が付けていった時です。普通は白は伸びるくらいですが、白はハネ返しました。その後黒は今度は左下隅に付けていき、黒が上手くさばいたかと思いましたが、下辺で黒が白1子を当てた時、継ぎを打たずに中央の白に連絡したのが白の勝負手でした。その後色々ありましたが黒が下辺の黒を攻められた時、右辺を重視して下辺を捨ててしまったのが不可解でした。左下隅もすべて白地になっていたため、下辺と左下隅で90目くらいあり、多少右辺を地にしてもこれでは黒は勝てません。結局白の中押し勝ちで、関2段は初勝利を挙げました。