本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が陳嘉鋭9段、白番が芝野虎丸3段の対局です。陳嘉鋭9段は中国出身の棋士で、世界アマ選手権で優勝した後関西棋院でプロになり、本因坊リーグ、名人リーグにも参加したことのある強豪です。一方の芝野虎丸3段は、洪道場出身でまだ17歳ですが、ポスト井山裕太の最有力の一人です。対戦は黒が上辺に展開したのに白が右上隅にかかっていき、黒がそれを一間に高くはさんで、早くも競いあいになりました。その後上辺から延びた白を黒が攻める手を打った所、白は出切りという最強の手で応えました。黒は白の気合に押されたのか、切られた石を捨てました。この時、せっかく捨てたのなら押しも決めるべきだったと思いますが、黒はここで手を抜いて右下隅のかかりに転じました。すかさず白は中央の黒にノゾキを決め、更に上辺から延びた石からコスみ、黒がケイマに飛んだのを強引に切断に行きました。この結果、黒は中央に弱石を2つ抱えることになり、白が打ちやすくなりました。その後黒は中央の白と右下隅の白を分離しましたが、右辺と中央と両方しのがなくてはいけなくなりました。白は右辺に手を付けていき、結果として黒6子を先手で打ち抜くという戦果を上げました。黒は右辺の半分がようやく右上隅に連絡しただけで、ここで白が地合も優勢になりました。白はその後も緩まず、下辺を攻め、また先手で左辺に回り取り残された黒を攻めました。この攻防で白は地を稼ぎ、左下隅も大きくまとまって勝勢になりました。最後は中央の黒の眼を取って活きをなくし、ここで黒の投了となりました。ともかく芝野3段の強烈な攻めと手所での正確な読みが光った一局でした。
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NHK杯戦囲碁 清成哲也9段 対 許家元4段
本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が清成哲也9段、白番が許家元4段です。清成9段は私と同じ年齢の関西棋院のベテラン、許4段は台湾出身の19歳で、最近各棋戦で活躍しています。対局は上辺で黒が左上隅の白にかかって白が1間に挟んだのに黒が手を抜いて右上隅を締まり、白がその締まった石に肩付きしてという、アルファ碁の打ち方に影響を受けた最近ありがちな展開になりました。黒はその後左上隅で挟んだ白に付けていって治まりを目指しました。その折衝の中で、黒は白1目を抱えましたが、白は左上隅から這いを効かそうとしましたが、黒は効かされとみて受けず、左辺を打ちました。白がその石に付けてきてツケオサエで隅を治まりに行きました。黒は当ててできた2つの断点について、下の石を下がるという一番頑張った手を打ちました。この時黒は切られた石をすぐ延びず、隅に曲がって行き、更に隅にハサミツケを打ちました。しかし白はそれを受けず、切った石から当たりを打ちました。一連の折衝の結果、黒は左上隅の地をかすって地に辛く頑張りましたが、白が全体的に手厚くなりました。白はその後下辺を大きく模様にしました。これに対し黒は左辺の白を切っていき、中央進出を図りました。ここの折衝は劫になりましたが、黒は劫立ても兼ねて下辺に手を付けていきました。ここで白が左下隅の黒に差し込んでいって継ぎ方の様子を聞いたのが好手で、下辺に黒が眼を作るのが難しくなりました。黒は中央に出て行き、結果的に活きましたが、その間白は今度は右辺を大きな地にしました。またどさくさに紛れ、劫にも勝って継いで、中央の黒を取り込んでしまいました。これで白が勝勢になり、その後黒は中央に進出を図りましたが、白地削減は限定的であり、ここで黒の投了となりました。許4段はNHK杯戦で初勝利です。
NHK杯戦囲碁 坂井秀至8段 対 志田達哉7段
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が坂井秀至8段、白番が志田達哉7段の対戦。坂井8段は灘高から京大医学部に行って医者に1回なっておきながら、そこからプロ棋士に転向した変わり種。そういうコースをたどった棋士としては東大出てから銀行員になった後プロ棋士になった石倉昇9段もいるのですが、坂井8段はそういう遅いスタートでありながら碁聖のタイトルを取っている所がすごいです。対する志田7段は、26歳ですが既に各棋戦で活躍中の若手です。対局は黒の坂井8段が2連星でスタートし、途中で3連星にしたのが珍しいです。白が右上隅の黒の星にいきなりスソ掛かりしたのがまた珍しい打ち方でしたが、その結果白は上辺を目一杯模様にし、白が悪くないと思いました。白が右辺の黒模様を消した後、黒は上辺の白模様に手をつけて行きました。結果として黒は先手で活きましたが、白も中央が厚くなり、右辺からの石が安定したので白が悪くなかったと思います。その後白は中央の厚みを生かし左辺の黒に打ち込んで行きました。折衝の結果左辺は劫になりました。この劫は黒が勝って若干形勢を盛り返したように思いましたが、白も右辺を連打できたので、形勢としてはやや白が打ちやすいのは変わりませんでした。寄せで双方最善を尽くしたように思いますが、終わってみれば白の半目勝ちでした。
天頂の囲碁6との九路盤互先対局 白全滅。
この対局は天頂の囲碁6との九路盤互先の対局で、左下の白が死形になるまでは前の対局と同じ。その後の打ち方で最善は何なのかを試してみただけですが、何と白は全滅して72目半勝ちになりました。右上隅の白が死んでしまったのは驚きで、Zenが基本的な死活を理解しているのか疑問に思います。また、最後の手77も不要なのですが、何故かこう打たないと天頂の囲碁6は左下の白が死んでいると認識してくれないので、やむを得ずこう打っています。
NHK杯戦囲碁 王立誠9段 対 淡路修三9段
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が王立誠9段、白番が淡路修三9段の対局です。王9段はかつて棋聖2連覇などタイトルを取った一流棋士、かたや淡路9段もタイトルこそ取っていませんが、挑戦者としては何回も登場し、ロッキーと言われた剛腕の持ち主です。対局は白が左上隅でやり損ねて、はっきり活きて厚くはなったのですが、何手もかけ過ぎで効率の悪い打ち方で黒に地を稼がれてしまいました。白がその左上隅から左辺を更に押していった時に黒が左下隅をかけたのが好手で、左辺で白が出切って1目取る価値を小さくしました。黒は逆に白を出切って、隅から効かせ、先手で切り上げ右下隅のかかりに回り、黒が優勢でした。しかし白はその後うまく打ち回し、黒に弱石2つを作ってこの2つをカラミ攻めにすれば有望な局面かと思われました。しかし、白は2つの石の分離がうまくいかないと思ったのか自重した手を打ち、黒はつながることが出来ました。これで再び黒が優勢になったようです。その後白は左下隅の黒を封鎖する手を打ち、これが先手と思っていましたが、黒は受けずに中央を打ちました。白は左下隅の2の2に付けていきましたが、黒から1線に下がる手が好手で、白からは最初に4目取られて、その後劫になるくらいしかありませんでした。最後に白は黒に包囲された中央の白1子を動き出しましたが、最後は攻め合い1手負けで手にならず、ここで投了となりました。終始王9段の冷静な打ち回しが光った1局でした。
天頂の囲碁6との九路盤 ついに互先対局
天頂の囲碁6との九路盤対局、今度はついに互先(コミ6
天頂の囲碁6 九路盤定先/打ち直し
天頂の囲碁6との九路盤定先での対局をもう一度同じ手順で打っていたら、左下隅の受けで白が変化しました。しかし、前のは劫になりましたが、今度の受けでは(24)と継いだためそのまま死の形になりました。(一見セキみたいに見えますが、白から内ダメを詰めると、5目中手になり白死。黒からは外ダメをすべて詰めてから、板六の形に6目にして取らせて、急所に置けば白死です。)後は包囲している黒が生きればいいだけで、生きた所で30目以上の勝ちになりました。しかし、その後Zenのバグだと思いますが、ヨセが乱れて間違えまくり、結局49目勝ちという記録的な勝ちになりました。
NHK杯戦囲碁 謝依旻女流棋聖 対 小林覚9段
本日のNHK杯戦の囲碁は、謝依旻女流棋聖が黒番、小林覚9段が白番の対局です。白は上辺に展開していましたが弱く、ここを黒がどういじめるかが本線と解説の趙治勲名誉名人は言っていましたが、謝女流棋聖は右辺の白への打ち込みを選択しました。その結果、黒は白の三子を取り込んで右下隅からの地が大きく、大きな戦果を上げました。しかし白も先手で黒1目を抱えたのが厚く、上辺の白も心配がなくなりまたし先手で左下隅に打てたので、全体ではここで白がリードしました。黒は左辺で非勢を意識して目一杯の手を打ちましたが、途中で軌道修正したりしてちょっとちぐはぐでした。また、下辺の折衝で戦いになり、部分的には振り替わりで互角に分かれましたが、白は取られていた3子を生還させることが出来、ここでも白がポイントを上げました。そのまま白がリードを保ってヨセに入りましたが、ここで事件が起きて黒が左上隅に置いていったのに白が受けを間違え、白の2子が取り込まれて、出入り10目近く黒が得をしました。普通の碁ならここで逆転ですが、この碁ではそれまでの白のリードが大きく、終わってみれば、白の1目半勝ちでした。謝女流棋聖も非常に強いですが、このNHK杯戦で羽根直樹9段に連敗しているなど、男性トップ棋士にはもう一歩届かない感じです。
天頂の囲碁6との九路盤定先 天元布石
天頂の囲碁6との九路盤定先での対局。初手天元の布石を
NHK杯戦囲碁 趙善津9段 対 藤沢里菜女流本因坊
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が趙善津9段、白番が藤沢里菜女流本因坊・名人の対局です。趙9段は本因坊獲得経験、棋聖挑戦経験のある強豪です。対する藤沢女流2冠は、謝依旻女流棋聖の女流名人10連覇を阻止するなど絶好調です。対局は左辺で差し手争いになりましたが、黒がかけたのが強手で、封鎖された白は何とか左下隅に連絡出来ましたが、後手になり、この辺り黒のペースでした。その後白が中央の黒を攻めようと下辺に一間に飛んだのに黒が両ノゾキを打って白を分断に行きました。しかしその後の下辺の折衝で黒はアマチュアでも比較的容易に読める筋をうっかりし、要石の2子が取られてしまいました。(画面で左下方面で黒2子がアタリになっていますが、そこを継いでも黒が結局取られてしまうことを確認してみてください。)ここで白が優勢になりました。黒は中央の白の攻めに最後の望みを託し、右辺と中央の分断に行きました。ここで白は中央を守る手を打っておけば固かったのですが、右辺の地を頑張り過ぎました。黒は目一杯の手で白を分断し、眼も取りました。白は左辺の黒と攻め合うしかなくなりましたが、この黒は左上隅の白に差し込んで両当たりにする手があり、かなり手が長く攻め合いははっきり白が負けでした。この結果中央に30目を超える黒地が出来、白の投了となりました。