NHK杯戦囲碁 一力遼7段 対 潘善琪8段

本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が一力遼7段、白番が潘善琪8段の対局です。一力7段は若干20歳ですが、既にタイトル戦挑戦者になり、ポスト井山裕太の最有力候補です。布石はオーソドックスなものでしたが、左辺は黒が左下隅と左上隅に両方にかかり、白も大人しく受けたので、黒が言い分を通したような形になりました。先手を取った白は右下隅にかかり、黒が二間に挟んだのに対し白はカケ、黒が出切るという定石になりました。白が切られた後、定石通り挟んだ黒の右横に付けていきましたが、ここで黒は伸びました。白は黒の切った石を右から当てて行き、調子で左側の石を出て行って黒石を裂かれ形にしました。しかし白も右側の2子を犠牲にしており、互角のワカレでした。次に右上隅の攻防になり、白はかかった後挟まれて、両ガカリし、その後三々に入って隅の実利を取りました。その後黒は左上隅の白に肩付きした後右に一間に飛んで、右上隅の黒の壁に接近している白の攻めを狙いました。白は左側に大ゲイマし、中央へ逃げようとしました。黒は肩付きして一間に飛んだ所に一手かけてカケツギの形にしました。このカケツギへのノゾキが利くかどうかが結果的にこの碁の焦点になりました。白は準備した上でノゾキを決行しましたが、黒が継がずに覗いた白の上に付けたのが上手い受けでした。白はそれに対し更に上に付け返しました。しかし黒は1目を捨てて白を封鎖することが出来ました。白からは黒を切れば劫に出来たのですが、その劫に見合う劫材がどこにもなく、劫は決行出来ず、別の所から中央に逃げました。この結果、左上隅から中央にかけて黒が素晴らしい厚みを築きました。この厚みを背景に、黒は左下隅でツケコシを決行し、左下隅と中央の白を分断しました。結果的に白は左辺から中央の石、上辺から中央に伸びた石、そして下辺右の石と、3カ所に活きていない石が出来ました。白は色々手を尽くして、結果としては3カ所共に活きましたが、その間に黒に色々と余得を図られ、この時点で黒がはっきりリードしました。黒は更に左上隅の白にも手を付けていきました。これは二手ヨセコウでしたが、結局白に劫材がなく、白の投了となりました。

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