SPレコードで大編成のオケ→ちょっと辛い…

SPレコード、今度は大規模なオーケストラということで、ストコフスキーのワーグナー、ニュルンベルクのマイスタージンガーの第一幕への前奏曲とローエングリンの第三幕への前奏曲を買いました。音はオケの強奏で歪みまくってある意味聴くに堪えない音ですが、ちょっとびっくりしたのは12インチ2枚のSPレコードの入れ物が実に立派で、文字通り「アルバム」です。LPレコードのことをアーティストがアルバムというのは、元々文字通りアルバムに入れてレコードを売っていたからとWikipediaにありましたが、その実例を見ることが出来ました。

ヴィラ=ロボスの「神秘的六重奏曲」

レコードクリーナーのお陰で、中古盤だけではなく、学生時代に聴いていたけど、バチバチノイズだらけになって聴く気がしなくなっていたLPが復活し、再生して学生時代を思い出しています。これはトリヴィオ・サントスというギタリストのアランフェス協奏曲(2回目の録音)ですが、お勧めはそちらよりB面の最後のヴィラ=ロボスの「神秘的六重奏曲」です。7分弱の短い曲ですが、楽器の選択が非常に特殊なんでめったに演奏されません。その楽器というのが、ギター、サキソフォーン、フルート、オーボエ、ハープ、チェレスタというものです。オーボエ以外のほぼ全ての楽器が演奏出来たというヴィラ=ロボスらしい選択ですが、おそらく他にこういう編成はないでしょう。ヴィラ=ロボスは1959年まで生きていたので、時代としては現代音楽の時代ですが、彼は決して無機的で実験的な曲というものは作らず、どういう曲を作ってもある種の歌心にあふれていると思います。私はヴィラ=ロボスの交響曲不完全集(一曲だけ楽譜が行方不明で録音されていません)とか弦楽四重奏曲全集、あるいはハーモニカ協奏曲といったものまで持っています。
なお、トリヴィオ・サントスというギタリストは、高校の時に鹿児島にいて、そこの十字屋という音楽ショップでアランフェス協奏曲を求めた時に勧められた人です。それは1300円の廉価盤で高校生には有り難かったですし、サントスというギタリストも気に入ったので、こうして2度目のアランフェス協奏曲のLPも買っています。当時の地方の音楽ショップはなかなか良心的だったと思います。

このレコードクリーニングマシン本当にいいです。

このクリーンメイトNEO レコードクリーナーを使い始めてもう80枚くらい処理しましたが、本当に効果抜群です。特にいいのは、HMVの中古レコードのジャズのLPで、盤質Bで500円くらいで売られているものを、これで処理するとほとんど新品同様でとてもお買い得です。手持ちのLPは約1,000枚ちょっとですが、全部これでクリーニングするつもりです。
こつですが、クリーニング液はマニュアルには4mlとか書いてありますが、けちらず十分に使うこと。そしてブラシを使う時にこのクリーニング液が白っぽく泡立つくらいにブラシを小刻みに揺らしながら洗浄することです。ブラシを15°くらいちょっと傾けるといいようです。あまり力を入れる必要はありませんが、逆にこのブラシならレコードの盤面を傷つけることはありませんので、こするような感じでやった方がいいと思います。

SPレコードのデジタル化

手持ちのSPレコードが40枚くらいになりましたが、SPを聴くためには、カートリッジをSP用に交換し、またフォノイコライザーも専用のものに付け替えてと結構面倒です。なので、少しずつデジタル録音していこうとしています。方法は、アンプのRec OutをタスカムのUS-366-CUというUSBオーディオインターフェースにつないで、これをPC上のSound Engine Freeというソフトで録音します。不思議なのは、モノーラルなんですが、何故か波形のプラスとマイナスがアンバランスになっています。聴感上はまったく問題ありませんが。SPの音はコンプレッサーがかかっている感じでダイナミックレンジはやはり狭いですね。そのためピアノとかは苦手のように思います。やはりボーカルが一番いいです。

ヤフオクでSPレコード28枚をゲット

ヤフオクで、SPレコード28枚を21,000円+送料で落札。前回SPレコード1枚を落札した分は、届いてみたら端部が割れておりまた盤面に7cmもある大きな傷で本当にひどかった(結局、「非常に悪い」評価を付けたらようやく返金に応じました)のに比べると、今回の本当に素晴らしいです。中にはほとんど新品同様のものまであります。中身は雑多ですが、「エール」で音さんのライバルだった夏目さんのモデルである関屋敏子とか、音さん(古関金子)の歌の先生だったベルトラメリ能子のものが混じっています。また高英男のシャンソンとか、民謡、君が代まであります。当分楽しめそうです。

初SPレコード体験

STRAIGHT RECORDというWebのショップでSPレコードを二枚買いました。パハマンのショパンと織井茂子の「黒百合の歌」です。本日届きました。カートリッジを購入済のオーディオテクニカのAT-VM95SPに変えます。針圧は何と5gもかけないといけません。それでテクニクスのSL-1200MK7のDIPスイッチを78回転ありの方にして、33回転と45回転のスイッチを同時に押すと78回転になります。またSPレコードのイコライザーカーブはLPとは違うので、本当は専用のイコライザーが必要です。それは注文していて到着待ちなので、今日はアンプのトーンコントロールを使い高音を上げて、低音を下げて聴きました。話には聞いていましたが、スクラッチノイズはすごいですが、曲が始まるとそんなに気にならなくなります。それで新しく発見したのは、パハマンの方は針を音楽信号の刻まれていない外周に落としただけだといつまで経っても曲が始まらないことです。音楽信号が刻まれている溝の最初の所に正確に針を落とす必要があります。これは結構面倒でした。織井茂子の方はそんなことはなくて、LPと同じで外周に落とせば自動的に針が進んで曲が始まりました。音質は悪くないと思いました。高い方の音が途中で切れている感じですが、中音域はクリアーでした。
問題は価格が高すぎることで、この2枚だけで1万円しました。

アルゲリッチのバッハ、オリジナルと復刻盤の差

HMVからアルゲリッチのバッハの復刻のLPが届いたので、1980年盤(初出)と音質を聴き比べました。
今回の復刻版は180gの重量レコードであり、それが利いていて重心が少し低い方に移動し、中低音に関してはむしろこの復刻版の方がいいかもしれません。
しかし、高音に関しては1980年盤の方がいい意味でよく伸びていて音場もいい感じです。おそらく長岡鉄男が言うようにピアノでチェンバロらしさを出すためにイコライジングでハイ上がり気味に処理しているのかもしれません。復刻盤はこれはこれで良い録音であり価値はありますが、この復刻盤を聴いたら長岡鉄男はおそらく「小粋な録音」とは言わなかったと思います。

なお、今回の復刻盤とDSD音源は非常に似ています。もしかすると復刻盤はDSDでリマスターしたものを使っているのかもしれません。1980年盤を録音した人はもう41年経っていますから、既にグラモフォンにはいないでしょうね。なので今回の復刻盤を担当したエンジニアは元のエンジニアの意志を正しく理解していないのではと思います。まあそうであっても私が持っている1980年盤は傷が沢山入り、途中針飛びする箇所もありますので、レコードという形でもう一度入手出来たのは良かったです。

アルゲリッチのバッハのDSD音源入手

私の愛聴盤である、アルゲリッチのバッハがハイレゾ音源(DSD2.8MHz)でe-onkyoで発売されました。
最初は1980年の夏頃、西ドイツからの輸入盤のLPで買ったもの(当時のLPは日本プレスより欧州のプレスの方が音が良い場合が多く、マニアは石丸電気の本店の外盤売り場などで外盤を買っていました)で、演奏も録音も良いものでした。しかしLPは聴きすぎてノイズが増え、やむを得ずその後出た普通のCDで聴いていました。しかし音質はLPよりも落ちるものでした。
それが3~4年前にエソテリックからSACDとして発売され狂喜して買い、不満はかなり解消されました。
それで今度ハイレゾ音源です。SACDもDSD2.8MHzですので差は無い筈ですが、やはりCDはスタンプ転写で作られるせいか、音の鮮度、音場の見通しの面でハイレゾ音源よりも劣るように思います。今回購入したハイレゾ音源がアナログの記憶の音に一番近く満足です。
ちなみに発売当時の長岡鉄男による録音評(別冊FM Fanの1980年の夏号の巻末の外盤ジャーナル)は以下。
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「元々がハープシコードの曲であり、ハープシコードの音というのは、立ち上がりが極めて鋭く、しかも落ち着いた耳当たりの良い音である。ピアノで弾く場合、ハープシコードの音色を意識するか、無視するかは演奏者、録音技師の自由だろうが、このレコードはハープシコードの音色を生かした優れた演奏と録音になっている。A面のトッカータが特に良い。タッチが極めて明快でクールで切れがいいのだが、決してオンに過ぎず、やかましさ、金属的な鋭さがない。余韻、ピアニッシモが綺麗で、透明感と静寂感がある。小粋な録音だ。」
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P.S.
ある人からバッハ生誕333年記念でLPも復刻されていることを教えてもらい、HMVに注文しました。

「名曲名盤」本はもう要らない。

最近家のオーディオシステムを一新して、またクラシック音楽をかなりの時間聴くことが増えたため、何十年かぶりに「名曲名盤」ものを買いました。レコード芸術という雑誌が延々と何十年も定期的にやっているものを、何年かに一回書籍にするもので、これは2017年版です。
読んであきれたのは、
(1)未だにそれかい!
というのが多すぎます。ミュンシュの幻想交響曲、フルヴェン/バイロイトの第九、グールドのゴールドベルク変奏曲、等々。先日知人との論争で深く調べることになったモーツァルトのピアノ・ソナタイ短調(K.310)も未だにリパッティが圧倒的一位。(私はリパッティのイ短調ソナタの演奏はかなり特殊な演奏と思い、これがスタンダードだとはまるで思いません。)
(2)と思ったら流行に流されている!
(1)の一方で、モーツァルトの交響曲については、昔は(1970~1980年代)はワルターかベームかという感じでしたが、この本ではアーノンクールかブリュッヘン。このピリオド演奏というのも一種の流行りものであり、私は廃れる日が来ると思っています。
(3)ちゃんと色んな演奏聴いているの?
私が多分日本の誰よりも多く演奏を聴いていると思われるブラームスの交響曲一番(私はCD、レコードを210種くらい持っています)で、フルトヴェングラーが入っているのはいいとしても、北ドイツ放送響とのものに誰も投票していません。フルトヴェンのブラ1はこれ以外は不要と思うくらいの名演です。
シューベルトの「冬の旅」(60数種所有)についても、フィッシャー・ディースカウで一番いいのは55年のムーアとの初録音のモノラル盤だと思いますが、これに投票している人は一人だけ。クヴァストフ盤に投票している人は0。私が好きなフルラネット盤も0。女声でロッテ・レーマンが入っているのはいいとして、先ごろ亡くなったルートヴィヒや、白井光子に投票している人は0です。要はほとんど沢山聴いていない人が投票しているということです。
昔(1980年代)はLPレコードの新譜は一枚2,800円くらいで今より相対的に高かったので、折角買うなら名演奏のをということでこういう本の需要はそれなりにあったのですが、今はボックスものだと一枚当たり100円くらいのものまである時代で、こういう内容の、しかもほとんど過去と大差無く、さらには演奏の網羅性も薄い書籍が今後生き残っていくのか、正直疑問です。初心者の方にはこういう複数の人の投票制のものより、一人の人が偏見丸出しで選んだ本の方がはるかに面白いと思います。(有用かどうかは保証しかねますが。)網羅性として優れているのは吉井亜彦さんの「名曲鑑定百科」シリーズです。

黒沼香恋の「フランスの夜会」(CD)

黒沼香恋さんのデビュー盤である「フランスの夜会」を聴きました。黒沼さんはまだ東京藝大の4年在学中ですが、既に年少の時から全日本学生コンクールで優勝したりと実績を積み重ねている若きピアニストです。本アルバムにはラヴェルのピアノ協奏曲と、「ラ・ヴァルス」、「逝ける王女のためのパヴァーヌ」、ドビュッシーの「月の光」、そしてプーランクの「ナゼルの夜会」が収録されています。最近の日本のピアニストは昔に比べると技術的には非常に向上していて、黒沼さんも非常に安心して聴ける確かな技量があります。そして黑沼さんんは音が色として見えるという「共感覚」の持ち主のようです。これはフランスのピアニストのエレーヌ・グリモーと一緒です。そういう感覚の人にはこのラヴェルのピアノ協奏曲は本当に色彩感溢れる曲なんだと思いますが、弾いている本人が楽しみながら弾いている感じが良く出ています。他の曲も良かったですが、プーランクの「ナゼルの夜会」は初めて聴きました。これはプーランクがある何夜かの夜会に招かれた時に即興で弾いた主題を元にした変奏曲で、それぞれの変奏曲はその夜会にいた友人一人一人が描写されているようです。在宅が多い中、音楽は本当に癒やしになっていますが、このCDは特にそうでした。これからの黒沼さんの活躍が楽しみです。