南條範夫の「駿河城御前試合」を読了。白井喬二を全部読んでしまったので、次に読む本を模索していて、Amazonのお勧めで出てきたので買ってみたもの。講談の「寛永御前試合」の元になっているという「駿河城御前試合」の、11組の剣士の真剣による斬り合いの対決を描いた作品です。白井喬二を白魔術とすると、これはまごう事なき黒魔術的世界で、さわやかさはかけらもありません。出てくる試合がどれもどろどろした因縁に基づく陰惨な試合で、出場した二十二名は次々に倒れていき、最後まで無傷で生き残ったのはわずか四名に過ぎません。その四名も後日談が最後についていて、全員死んでしまいます。この試合を主催したのは、徳川忠直で、三代将軍家光の弟です。三代将軍争いで、家光に敗れ、幕府に対して謀反をたくらみ、全国から腕の立つ者を集めていたというのが背景になっています。漫画家の山口貴由(「覚悟のススメ」の)がこの中の一篇を原作にして「シグルイ」という漫画を描いており、それで最近また有名になった本のようです。ともかく私の好みではないですね。
南條範夫の「駿河城御前試合」
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