白井喬二の「修羅春告鳥」(しゅらうぐいす)を読了。大日本雄弁会講談社の「講談倶楽部」昭和25年4月倍大号に掲載されたもの。
老中堀田正俊の譜代の家臣であった前島勘吾正平は、主人の正俊が将軍綱吉の勘気に触れて殺された後、府内多摩郡に百姓として隠れ住んでいました。その娘のお喜禰(おきね)は百姓の娘には見えない美人で、悪代官の高杉京左衛門に目をつけられてしまいます。勘吾を訪ねて正俊の息子である堀田明敏がやってきますが、折から街道を騒がせていた盗賊の暁袈裟六(あかつきのけさろく)と間違われて代官所のものに審問され、正俊の名誉を回復するために携えてきた書面を代官所の人間に奪われてしまいます。明敏に恋したお喜禰は、それを取り戻そうと代官所に掛け合いに行きますが…といった話です。しかし、お話しのお膳立てが色々ある割りには、ストーリーとしての展開が弱く、あっという間に終わってしまいます。単行本になっていないのも無理ないな、と思わせる作品でした。
白井喬二の「修羅春告鳥」
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