白井喬二の「綺羅の源内」を読了。大日本雄弁会講談社の「キング」の昭和11年8月の臨時増刊号に掲載されたもの。
不入斗(いりやまず)源内とその女房のお麻は、夫婦揃って尾羽打ち枯らし、源内は空腹のため奉納試合で不覚を取ってしまい、追い詰められ夫婦で心中しようとします。その時女房のお麻が、一年前に雨宿りの武士から預かった風呂敷包みを天井裏に隠しておいたことを思い出します。死ぬ前に中身を確かめてみると、立派な男物の着物と、十両のお金、手紙と印籠が出てきました。手紙は自分はてんかんの病があっていつ倒れるか分からないので、この手紙を読んだ人は印籠を然々の所へ届けて欲しい。着物と十両は謝礼に呈す、とありました。死の直前で僥倖に見舞われた二人は、有り難く着物とお金を受け取り、印籠を届けに旅立ちますが…といった話。あまりひねりはありませんでしたが、最後はハッピーエンドで読後感がいいお話しでした。1936年に阪妻プロダクションにより映画化されています。
白井喬二の「綺羅の源内」
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