中里介山の「大菩薩峠」第13巻を読了。この巻では前巻と違って多少ストーリーに進展がありました。と言っても、相変わらずダラダラとしたどうでもいい話も多いですが…房州の洲崎で蒸気船を作っていた駒井能登守は、外人のマドロスを匿っていることなどについて、駒井能登守を目の敵にしている勢力から様々な邪魔を受け、蒸気船を動かして洲崎の地を立ち退く事を計画します。それについて、甲州の沢井の机の道場に住んでいるお松と能登守の息子の登を呼び寄せようとします。お松は与作も当然行くものと思っていたら、与作は郁太郎を連れて全国を旅すると言ってお松の誘いを断ります。一方で白骨温泉を出たお雪と龍之助の方は、飛騨高山で思いがけない火事に焼け出されて難儀します。しかし、龍之助は白骨では出なかった辻斬りの癖がまた出てきて、夜な夜な高山の町を彷徨います。などと言った感じなのですが、停滞していた水が少しずつ流れ始めた感じではあります。しかしこれで全体の約2/3を読んだことになり、残りの1/3で色々な伏線が全て片付くとはとても思えません。前巻から、「ピグミー」と称する変なものが登場しています。実在のピグミー族とはまるで関係なく、一種の悪魔のようなものとして描かれていますが、龍之助に一刀両断にされたりして、悪魔にしてはひ弱いです。また盲目でおしゃべりな僧の弁信ですが、一種の超能力(テレパシー)みたいな能力を時々発揮します。このあたり、幻想的とも言え、ちょっと不思議な展開です。
中里介山の「大菩薩峠」第13巻
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