中里介山の「大菩薩峠」第15巻を読了。この巻で面白かったのは、質屋に蛇を持ち込んで、本当は名刀だけど自分以外が見ると蛇になる、と言って金をだまし取るという話が出てきたことで、白井喬二の「十両物語」に出てきた話です。どうやら白井喬二の創作ではなく、ある程度知られた話だったようです。
それは置いておいて、この巻も話が進むような進まないような不思議な展開で、宇治山田の米友は道庵先生を見限ってお銀様にくっつきますし、そこにお雪ちゃんもやってきて、何と龍之助も一緒になるというご都合主義的展開です。一方で駒井能登守は蒸気船を操って奥州の月の浦までやってきます。そうしている内に裏宿の七兵衛は、伊達家の秘宝を盗み出しますが、瑞巌寺に隠れている内に捕まります。しかし護送される途中で逃げ出します。また能登守の船に乗っていたマドロスともゆるも駆け落ちで船を逃げ出します。
駒井能登守の目的は、どこか外国の地に行って平和な国を築くことですが、一方でお銀様も不破の関で地元の士族から土地を買って、そこに自分の理想の地を建設しようとします。そういった感じで何か一種のユートピア小説めいて来たのがこの巻です。これで3/4を読んだことになります。後5巻です。
中里介山の「大菩薩峠」第15巻
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