田河水泡の「のらくろ」の連載の終わりは?

現在、川崎で「のらくろ展」が行われています。それに関連して一言。1967年の私の子供時代に「のらくろ漫画全集」全10巻が出て、戦前ののらくろが復刻されました。(ちなみにその後アニメにもなりました。)その最後の巻が「のらくろ探検隊」でのらくろが軍隊を退役して大陸で鉱山を探すという話でした。(この巻だけ家にありました。残りの巻は図書館で借りて読みました。余談ですが、のらくろの協力者数人の内、一人{一匹}は明らかにある民族をモデルにしたものでした。のらくろがその人に何が得意かと聞いたら「私の得意なのは嘘をつくことです。」と答えるという、かなり際どい描写がありました。)
それで「のらくろ探検隊」はのらくろの一行が石炭か何かの鉱山を発見し、のらくろはその権利を惜しげも無く協力者3人{3匹}に与え、自分はまた新しい鉱山を探しに行くというところで終わっていました。私はこれがのらくろの最後だと思っていました。
ところが写真は、先日古書店で入手した大日本雄弁会講談社の「少年倶楽部」昭和16年新年号ですが、タイトルは「のらくろ鉱山」となっており、のらくろが満州で鉱山経営をしているという話でした。「のらくろ探検隊」にはこんな話は入っていませんでした。とすると、のらくろの連載は1967年に全集に入っているものの後、まだ続きがあったということになります。ただのらくろは、(1)日本の軍隊を犬に例えた(2)のらくろが二等兵から最終的には大尉、とありえない出世をする、などで軍部の覚えは目出度くなかったようです。おそらく、この昭和16年のどこかで連載は終わったんだと思います。(少年倶楽部自体、紙不足でページ数を減らさざるを得なかったようです。)全集に入っていない理由は、途中で終わって話が完結していないからではないかと思います。