文藝春秋社から出ていた「文藝通信」という薄い雑誌の昭和9年(1934年)五月号の「仕事部屋を覗く3 白井喬二氏」を読了。白井喬二の普段の仕事振りが分かる貴重な記事です。それによると朝は書生よりも早く5時頃起き、それから仕事で9時、10時まで続け、その後朝食。その後はまた仕事をしたり客に会ったり。午後の2時・3時くらいにパンの軽い昼食を取って、そこから欠かさず毎日30分~1時間の昼寝。その後は来客と会う時間など。それから夕食で、白井喬二の夫人は栄養学の専門家ですが(結婚する時に、白井が女性も職を持つことを奨励した結果です)、意外なことに白井喬二はかなりの大食漢で、洋食皿が3~4、更に夫人特製の皿が2~3皿で、それをペロリと平らげるんだそうです。平凡社の「大衆文学全集」を手伝った時、この大食がたたって胃潰瘍で倒れたんだそうです。大食もあるんでしょうが、この全集の仕事はかなりハードだったんでしょう。夕食後は音楽を聴いたり、子供たちと剣道の稽古をしたりで、9時か10時には就寝。でも12時にはまた起きてそこから2時くらいまでが読書の時間だそうです。合計すると1日の睡眠時間は6~7時間です。
仕事の量はこの記事の10年前は1日原稿用紙60枚も書いていたようです。この頃はさすがに1日20枚くらいに落ちていたようです。といった感じです。
文藝通信 昭和9年5月号「仕事部屋を覗く3 白井喬二氏」
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