本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が志田達哉8段、白番が張豊猷8段の対戦です。静と動の対決で石の置き方も志田8段はそっと置き、張8段はバチーンと石音高く打ち付けます。志田8段スタイルは先日19歳で名人位を奪取した芝野虎丸9段もそうです。序盤は志田8段が地に走って三隅を取る展開になりました。白が下辺を大きく盛り上げたのに、黒は下辺の白に肩付きして侵略を図りここから競い合いになりました。黒が白の包囲網を切りに行った時に張8段に大胆な作戦が出て、2子を抜かせ、更に上方の黒に1子を抜かせ、その代償に下辺から延びる白を全部取ってしまうという作戦です。志田8段もこの作戦に乗り、下辺右側を取られましたが、左下隅の白と中央の白の薄身を突いて、巧妙に左下隅の白を取り込みました。この辺りはプロらしい見応えのある攻防でした。結果は優劣不明でした。白はしかし先手を得たので中央の絶対の厚みを活かし右辺の黒に打ち込みました。黒は右下隅の三々に入りました。直接ここを活きる手はありませんでしたが、ここを活きるぞ、という手を利用して右辺で上手く捌こうとしました。この結果右辺の黒は右上隅に連絡することは出来ませんでしたが、右辺で所帯を持って治まりました。この別れは白が若干いいか、という感じでしたが、この後白は楽観したのか甘い手が多く、右下隅からの白地をかなり削られてしまいました。こうなると左辺から左下隅の黒地は70目レベルで大きく、更に中央にも黒地が付き、結局黒の4目半勝ちとなりました。
NHK杯戦囲碁 志田達哉8段 対 張豊猷8段
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