山上正太郎の「第一次世界大戦 忘れられた戦争」

山上正太郎の「第一次世界大戦 忘れられた戦争」を読了。最近ずっとアメリカの動向を追いかけていて、トランプがモンロー主義の昔に戻ろうとする意向を強く感じ、またアメリカと中国の経済的対立、中国の急激な軍事力強化、ときな臭さ一杯の状況に憂慮してこの本と、A・J・P・テイラーの「第二次世界大戦の起源」を買ってみたもの。山上氏は第1次世界大戦の終わった翌年に生まれています。まず第2次世界大戦の本を書いた後、第2次世界大戦を理解するためには1次も理解しなければ、ということでこの本を書かれたようです。副題に「忘れられた戦争」とありますが、まさにその通りで、実は11月11日は第1次世界大戦の終わった日なのですが、「独身の日」というオンラインストアのセールスの話ばかりで、第1次世界大戦について触れたニュースはほぼ皆無だったと思います。日本はこの戦争には限定的に参加し、色んな意味で得をし、経済的にも欧州の産業が戦争で止まっている間に大儲けし、工業力を強めることが出来ました。中国についても欧州列強がそれどころではない隙間を狙って「対華21ヶ条の要求」などで進出を図ろうとし、アメリカとの対立が深まることになります。
この大戦は最初はオーストリアとセルビアの局所的な戦いで始まったものが、やがて欧州の多くの国を巻き込み、最後はアメリカや中国まで参戦しという文字通りの世界大戦になります。またこの大戦の結果、ロシアのロマノフ王朝、オーストリアのハプスブルク家、ドイツのホーエンツォレルン家という3つの王朝がすべて無くなります。正直な所、大学の入試で世界史を選択しなかった私は、未だに欧州史にうとい所があるのですが、多少は知識を増やすことが出来ました。