エレキットの6L6GCのシングルアンプとしてTU-879Sを7年前に組み立て、つい最近まで使っていました。しかし、KT77を試そうとした時何故かソケットに上手く入らず力を入れたら、中心のプラスチック部が折れてソケットの中に残ってしまいました。それを取り出そうとあれこれやったのがまずく、おそらくソケットが壊れたか断線したかで片方の音が出なくなりました。一応修理しようとしましたが、組み立て説明書ももう手元に無く、上手くプリント配線板が外せなくて修理を断念し、結局こちらもTU-8200Rのアムトランス組み立て+パーツ交換品をポチりました。それでこのアムトランスバージョンの6L6GCシングルアンプ、とても良いです。真空管アンプ入門としては本当にお勧めです。何故かいうとTU-879Sと同様にバイアス電流の自動調整の仕組みが入っていて、色んな出力管を差し替えて比較することが出来ます。また5極管接続、UL接続、3極管接続を基板上のジャンパーピンで切り替えられます。ネットで評判を調べてみたら、このアンプに限らずエレキットの真空管アンプはプリント配線板を使っているからダメ、みたいなことを書いている人がいました。私に言わせればプリント配線板より手配線の方が音がいいというのはほとんど誤っていると思います。アキュフェーズのアンプは真空管ではなく石(MOS-FETなど)ですが、すべてプリント配線板を使っています。(ガラスエポキシだけでなく、ガラステフロンもあり。テフロンを使う理由はテフロンの誘電率がエポキシより低いので高周波の伝送ではエポキシよりも特性が良いということだと思います。)
これまで真空管アンプキットは5回ほど組み立てましたが、真空管アンプのキットで組み立て(半田付け)で一番難しいのは真空管のソケット回りです。この面倒さがプリント配線板なら一挙に解決されます。逆にサンバレーのSV-3(プリント配線板と手配線の併用)なんかはソケットの端子に直接抵抗やコンデンサーを半田付けする(ちなみに真空管は横置き)、なかなか恐ろしい配線を採用しています。こういう部品は宙に浮いている訳ですから、電流が流れれば振動して音質を悪化させますし、仮に金属片が触れれば簡単にショートします。一方、プリント配線板なら、部品も回路も非常に強度のあるガラス繊維強化エポキシの板(ガラエポは紙フェノールと違って金型で穴を打ち抜くのも難しいですし、ドリルの損耗も激しいです。その位強度があります。)にがっちり固定されています。また余分な部分はソルダーレジストという絶縁物で覆われていますので、ショートの危険性も手配線に比べれば非常に低いです。回路の抵抗を問題にするのであれば、一般的な35μの銅箔ではなく、70μの銅箔を使えばいいだけですし、電源回路などで電流容量を必要とする場合はパターンの幅を大きくします。(実際にエレキットの300Bシングルの真空管アンプのプリント配線板は70μ銅箔を使っています。)私は10年間銅張積層板を売っていた経験があり、もっと厚い銅箔(105µ、140µ)のガラエポもあります。圧延箔ならもっと厚いのもあることを知っています。(一般的な銅箔は電解箔と言って電気分解で作ります。それ以外に高い屈曲耐性を要求される場合に、ローラーで引き伸ばした圧延箔というのがあります。銅箔にご興味があれば、福田金属箔粉工業や古河電工のサイトをご覧ください。)
それから、真空管アンプの評価はそれなりのレベルの機器と組み合わせて評価すべきであり、例えば入力がiPodとかだとそれなりの音しかしません。
取り敢えず、今付けている出力管はデフォルトの6L6GCではなく、KT77を付けています。このKT77はEL34のある意味上位版として作られたようですが、実際にはビジネスにおいてはEL34に完敗しています。しかし今日聴いた限りではとてもいい感じでした。今現在はアキュフェースのプリメインアンプのE-350をプリとして使用していますが、この場合は300Bのシングルアンプよりもこちらの方がむしろいわゆる真空管らしい音を楽しめる気がします。
TU-8200Rのアムトランス組み立て+パーツ交換品
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