真空管アンプの世界で一番のブランド真空管は何といっても300Bです。元々ウェスタンエレクトリックが、映画館がサイレントからトーキーに変わる時に、映画の音声の再生のアンプ用に開発した真空管です。種類から行くと3極管で、ヒーターとカソードが兼用になっている直熱管であり、出力管としてはもっともシンプルです。シングルアンプで使っても8Wぐらいの出力が出せて使いやすくて、また回路をシンプルに出来て音が良い、ということと、また元々業務用の真空管で一般には販売されていなかったという稀少性もあって、非常に人気の真空管になりました。今はこの300Bと称する真空管が、中国、ロシア、東欧、日本などで作られていて、その種類はおそらく30種を超えます。ただ本家本元は何と言ってもWE=ウェスタンエレクトリックです。今年、アメリカのWEが久し振りにWE300Bの復刻版を発売開始しました。日本でも最近売り出してマッチドペアで23万円くらいします。ちょっと手が出ませんので、その代りといっては何ですが、中国のPSVANE(プスヴァン)が本家のWE300をかなり忠実にコピーしたPSVANE WE300Bをヤフオクで6万円で落としました。明日着きます。
そういう訳でしばらくSPECのD級アンプばかりを聴いていましたが、久しぶりに300Bのアンプ(エレキットのTU-8600S、アムトランスパーツ使用)を取り出して、手持ちの300B(4種類)をちょっと比較試聴してみました。以下ごく簡単なレビュー。
(1)Sun Valley Prime Ver.4
2011年に購入、ペアで26,000円。中国製。最初に組立てた真空管アンプがサンバレー(キット屋)のJB300BVer.3ですが、それに付いていたもの。ハイ上がりの華やかな音で、悪く言えば素人騙し。コクとか味わいは乏しいです。でもそれほど悪い球ではありません。一般的にはこれで十分かも。
(2)高槻電器工業 TA-300B(初代)
これも2011年に出たばかりの時にSun Valley品に満足出来なくて購入。価格はペアで定価10万3千円くらいでした。高槻電器工業は昔松下ブランドの真空管を作っていた会社です。日本製としてはこれが久し振りの300Bです。音像が引き締まってかっちりとした音で、どこにも破綻が無いです。真面目な日本的な音です。今売られているのは2代目でペアで18万円くらい。初代との違いは不明ですがラックスマンの300Bのシングルモノラルアンプに採用されていて、300Bとしては価格的にもトップクラスになっています。
(3)JJ300B
JJはスロヴァキアのメーカーで、昔のTeslaの製造ラインを引き継いでいます。他の300Bより明らかに重く、サイズも大きいです。ガラスの厚みが他の物よりあります。ペアで36,000円くらいです。音のコントラストがちょっと抑えられている感じで、その代りに全体に音場が溶け合ったような密度の濃い、品位の高い音です。本格的な音でクラシック音楽向きだと思います。
(4)エレクトロ・ハーモニックス 300B EH Gold
ペアで33,000円くらい。エレハモというと、イメージ的に安物という感じですが、どうしてどうしてこれは中々の球です。音楽に躍動感と暖かさがあり、聴いていて快いです。値段もお手頃だし、推薦できる球です。
それで今回買ったPSVANEの300Bで満足出来たら、おそらくご本家のWE300B復刻版は買わないでしょう。ご本家といっても、本当の昔のヴィンテージ管とはおそらく別物ですし。
300B(真空管)4種比較
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