このブログで何度も紹介していますが、何故かインターネット上で他に見かけることがないので、改めて独立記事として書いておきます。
真空管アンプ(パワーアンプとプリメインアンプ)をこれまで7台使った経験があります。真空管アンプの最大の欠点は能率(出力音圧レベル)の低い現代スピーカーを上手く鳴らせない場合が多いことです。特にシングルアンプは厳しいです。ここで能率が低いスピーカーとは、出力音圧レベルで87dB/W・m以下ぐらいが目安になります。上手く鳴らせない、というのを現象で言えば、再生音の高音で音割れがすることです。特にピアノの高音の強打で顕著です。誰が聴いても分かるひどい音です。
この現象を回避する手段が一つあります。アクティブなサブウーファーを追加することです。私はFostexのサブウーファーを3種類(CW250A、PM-SUBmini2、PM-SUB8)持っていますが、どれも効果があります。これによって今まで盛大に割れていた再生音がぴたっと正常になります。但し、Fostex以外のサブウーファーでは確認していません。
このサブウーファーの追加で音割れが無くなる理由ですが、以下は私の推定です。サブウーファーを入れると、100Hz以下などの低域の信号が多くサブウーファー側に流れるようになり、真空管アンプに流れる低域の信号が減ります。これにより、パワーの無いシングルアンプなどで低域を無理して再生することで高域が歪んでいた(つまり低域の歪で高域が揺すぶられた混変調歪)のが無くなるということだと思います。この方法で、3W+3Wのシングルアンプが出力音圧レベル86dBのスピーカー(KriptonのKX-3P)を問題無く鳴らせています。
なお、今回PSVANE WE300Bを入れたエレキットのアンプ(TU-8600S、9.2W+9.2W)ですが、能率88dBのKriptonのKX-1.5は問題無く鳴らせますが、能率85dBのTannoyのAutograph/mini GRを鳴らすとやはり高音が割れます。しかしPM-SUBmini2をかませることで問題無く再生出来るようになります。
この事実があまりWeb上で出ていない理由ですが、真空管アンプを使っている人は、アクティブなサブウーファー(通常D級アンプ)という真空管アンプ以外のアンプを追加することに抵抗があるのだと思います。私は以前からハセヒロのブックシェルフタイプのバックロードホーンの低音が不足するため、元々サブウーファーをずっと使って来ています。
なお、真空管アンプの音割れはシングルアンプだけではなく、出力30W+30W程度のプッシュプルアンプでも発生することがあります。この場合もサブウーファーの追加でOKになります。
真空管アンプで低能率な現代スピーカーを鳴らすには
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