NHK杯戦囲碁 上野愛咲美女流棋聖 対 久保勝昭9段(2022年6月5日放送)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が上野愛咲美女流棋聖、白番が久保勝昭9段の対戦です。上野女流棋聖は、先日女流の最強戦で優勝し世界一になりました。久保9段は実に18年振りの出場ということで、64歳というお歳ながら、AIを活用することで往年の力を取り戻し、第46期(2021年)の棋聖戦Cリーグで3勝2敗で見事残留を果たされたようです。序盤は両者研究済みと見えて、黒の実利、白の厚みで互角の進行でした。局面が動いたのは、黒が右下隅で付けてハネに切っていった時でした。白は黒に隅を小さく取らせ厚く打って中央に取り残された黒との戦いになりました。黒が白の一団を中央で切断する手を打った後、下辺左の白にカケを打って利かしに行きました。しかし白は中央の黒を切って両アタリにし、上下の白が連絡しました。しかし下辺では元々白の勢力地であった所に黒はそれなりの大きさの地を作って治まり、黒が打ちやすい形勢になりました。非勢の白は黒の唯一の弱石である下辺から延びる石を攻めましたが、黒も強く逆襲し、結局白は中央左の黒を取り、また黒3子も取りましたが、黒は下辺からの一団が右辺につながった結果、右辺も大きな地になり、ここで黒の勝勢になりました。白はその後の打ち方が非勢な割には緩く(例えば左辺の黒の三間開きに打ち込まず、四線から利かして渡らせただけでした)、結局黒の19目半勝ちになりました。