NHK杯戦囲碁 黄翊祖9段 対 谷口徹5段(2022年7月31日放送)


本日のNHK杯戦囲碁は、またも高校野球で受難の季節で、時間変更で15:00から。黒番が黄翊祖9段、白番が谷口徹5段の対戦です。両者初対局で、谷口徹5段は昨年度に続き2回目の出場です。谷口5段は重量級のパンチ力の持ち主で。黄9段はどちらかというと足早な碁ということで、谷口5段の攻めを黄9段が軽くかわしてしのぐ碁かなと思いましたが、この碁は黄9段も足を止めて打ち合い、但し両者顔面を打たれたらボディーを打ち返すような意地の張り合いの応酬となり見応えがありました。下辺で黒の左下隅にかかった構えと右下隅から大ゲイマジマリした構えの中間に白が4線に打ち込んでから戦いになりました。白が右下隅の大ゲイマガカリに利かしに行ったのに黒が受けず、それではと白が続けて2線に付けて白を分断し、お互いに活きていない石が複数もつれあった戦いになりました。黒が右下隅から右辺に展開した白にぶつかって攻めに行った時、白は思い切りよく右下隅を全部捨ててしまいました。右下隅の黒地は30数目となり、白はそれを中央で取り戻そうとしました。しかし黒は下辺左方から中央に延びる大石を早逃げして左辺に展開し、白の攻めを未然に防止しました。また白は黒が右上隅でカケを打ったのに対し受けていないという借金も残っていて、局面が進むに連れ黒が優勢になりました。そして黒が中央で取られていた種石の4子を復活させたので、下辺の白も実は眼が薄く色々と利かされそうで、また中央右半分の白の眼がありませんでした。白はこのピンチの局面でまた中央の十数子の石を捨てるという大胆な決断をし、その代償に右上隅から中央に延びる黒を全部取ってしまおうとしましたが、そもそも右上隅の白自体もまだ活きていないということもあって、黒は左辺から延びてきた自軍に連絡出来、ここで白の投了となりました。

ジョー90の”The Race”

ジョー90の”The Race”を観ました。ジョーは例によってビッグラットで誰かの脳波パターンを自分の脳に入れています。マクレーン教授は、ジョーに眼鏡を付けたまま寝るように言います。
場面は変わり、WINのロンドン支局長のウェストンは、突然WINの上部組織の軍部の長官から、軍部がWINのロンドン支局を吸収すると言われ、反発したウェストンとその長官で争いになります。結局、あるレースを行って買った方が自分の言い分を通すということになり、それはロンドンからモンテカルロまでの自動車レースでした。ウェストンはサムに命じ、ウェストン教授とジョー90とサムの3人でチームを組ませます。車はいつものウェストン教授特製の空を飛べる車です。軍部の方は最新鋭の戦闘車両を使います。ジョー90は昨年のモンテカルロラリーの優勝ドライバーの脳パターンを取り込みます。ルールは何でもありで、途中で何度もWIN側は相手の罠により遅れます。しかし最後の山中のレースは、インチキなしのガチレースとなり、ジョー90が運転し山の中の狭い道で軍部の車を追い抜いてそのままゴールします。
ここまではいつものパターンですが、違ったのはこのレースがマクレーン教授とジョー90が見た夢であり、マクレーン教授の脳波パターンをビッグラットで取り込むことで、深層意識まで共有出来たので同じ夢を見たのだ、ということでビッグラットの新しい使い方が分った、という話でした。

45アンプ無事稼働!

ヤフオクで落札したRCAの45ペアが到着。早速測定して動作に問題が無いことを確認してから、2A3アンプ改造の45アンプに装着して聴きました。最初通電5秒くらいで片チャンネルから「ガリッ」という音がしてあせりましたが、その後は問題ありませんでした。音は2A3の音を更に柔らかく繊細にした感じで、瀬川冬樹さんとか浅野勇さんがこの3極管を好まれたのは分るような気がします。出力音圧レベル88dB/m/Wのスピーカーでまったく問題無く鳴っています。(プリアンプ使用)

ヴィラ=ロボスの交響曲全集の2セット目

エイトル・ヴィラ=ロボスの交響曲全集の2セット目を購入。右のNAXOSから発売された、サンパウロ交響楽団、指揮はカラブチェフスキーのもの。左が最初に出た、カール・セント・クレア、シュトゥットガルト交響楽団のもの。この左のが出た時、まさかヴィラ=ロボスの交響曲全集が出るなんて、と驚いたものですが、さすがNAXOSさん、ブラジルのオケでの新しい全集を出してくれました!ちなみに「全集」となっていますが、12曲の交響曲の内、5番は楽譜が散逸して不明で、どちらの全集にも収録されていません。ヴィラ=ロボスというのは不思議な作曲家で、クラシックファンの間で決して高い人気がある、というものではありませんが、好きな人は結構熱狂的に好き、というタイプの作曲家であり、私は後者です。ヴィラ=ロボスの音楽の基本は留学していたフランスの音楽で、交響曲の中にも3曲、ヴァンサン・ダンディに捧げているものがあります。それとブラジルの民族音楽的要素の付け加えですね。ブラジルにおいては日本の山田耕筰以上の存在です。

ヴェーバーの「ローマ土地制度史」の日本語訳11回目を公開

マックス・ヴェーバーの「ローマ土地制度史」の日本語訳11回目を公開しました。
今回の箇所は、古代ローマにおける植民市が多数出てきて、それを地図にプロットして見て、ローマがどのようにイタリア半島において版図を拡げて来たのかが伺えて興味深かったです。

オーランド・ファイジスのクリミア(読了)

オーランド・ファイグスの”Crimea”をようやく読了。毎日20~30分音読して2ヵ月かかりました。しかし読んで良かったです。この戦争はロシア以外にはほとんど「忘れられた戦争」です。
イギリスは、海軍力は優れていたのでしょうが、民主主義の祖国の一つでありながら、貴族階級と平民という階層をそのまま軍隊が引き継ぎ、無能で優柔不断な貴族出身の指揮官が、多くの戦いで多数の犠牲者を出し、フランス軍の足を引っ張っています。(ちなみにイギリスの軍隊の階層システムをそのまま導入したのが大日本帝国海軍です。海軍での士官以上と一般兵卒の待遇の大きな差は有名です。例えば戦艦大和で士官以上用のトイレは70人に対し11箇所{6.4人に1箇所}、一般兵用は1,330人に12箇所{111人に1箇所}でした。出典:「日本軍の小失敗の研究」)この戦いでのナイチンゲールの行動はあまりに有名ですが、有名になった理由の一つが、イギリス軍があまりもだらしなくて、ろくに功績も挙げられなかったので、ナイチンゲールぐらいしか讃えるものが無かったとう事情があるようです。またセヴァストポリ攻城戦の冬で、フランス軍が1812年のナポレオンのロシア征服の失敗の教訓もあったのでしょうが、十分な防寒装備を用意して対策したのに対し、イギリス軍は黒海沿岸だから冬の寒さはそれほど厳しくないだろうと考え、ろくな装備も準備せずに、多くの兵士を凍死させたり凍傷にかからせています。
フランスはそれに対し、戦勝に大きく貢献していますが、クリミア戦争終結の14年後に対プロシアで敗北して、クリミア戦争のことは忘れてしまいます。
ロシアについては、推定死者45万人という大きな犠牲者を出し、なおかつ南下政策が完全にストップしますが、軍隊の近代化で大きく遅れて劣勢だったにもかかわらず、セヴァストポリ攻城戦で11ヵ月も持ちこたえたことは、ロシア兵士の愛国心の賜、ということでセヴァストポリは一種の聖地のようになります。プーチンが何故クリミアを併合したかの一つの理由にはこのこともあるようです。なお、プーチン大統領は、クリミア戦争で列強の情勢を見極めないで不利な戦争をしかけたことによって非常に不人気なアレクサンダー1世の写真を執務室に飾っているそうです。ロシアにとっては、この戦争は農奴解放や軍の近代化などの改革につながり、歴史的にはそれなりに意味がありました。また南下政策が止められた結果としてアジア進出を強化して、その結果日本と戦争になるのはご承知の通りです。
ロシアが最初にこの戦争を始めたのは、オスマン帝国内のギリシア正教徒住民を保護するという目的がありました。当然ながら敗戦によってこの目的は達成されませんでしたが、オスマン帝国内のスラブ民族の問題は持ち越され、結局それが第1次世界大戦を引き起こすことになります。

直熱三極管2A3 8種ダイナミックテスト補遺

前回の2A3ダイナミックテストにもう1機種付け加わりました。私がまったく知らなかったJMTECというブランドのもので、おそらく岡谷電機産業が製造したものではないかと言われています。

(9)JMTEC 2A3 評価:
特性は左右で、Ia(プレート電流)が43.27/36.18mA(Ref値60mA)、Gm(相互コンダクタンス)が4303/4562℧(Ref値5250℧)です。新品ではなく前のオーナーがそれなりに使っています。2枚プレート(H型)で、スプリングによるテンション調整です。全体に作りは非常に丁寧で、やはり日本製というのは間違いないと思います。それで音ですが、ほとんどRCAの1枚プレート、2枚プレートに負けていない、というか、非常に柔らかな音でかつ芯があり、またダイナミックな表現も悪くないです。音像が引き締まっていて、音場も広いです。それからちょっと驚いたのは、メルカリで買った個人の方作成の2A3無帰還シングルアンプを45用に改造(カソード抵抗を830Ωから1.5KΩに変更、出力トランスの2次側を8Ωから4Ωに変更)したのですが、この条件でも2A3は動作します。それでこの45条件で作動させた時のこの球の音質が非常にいいんです。ヒーター電流は定格が2.5Aに対し1.7Aで7割弱くらいしかありませんが、何というか非常に品位のあるいい音で、音が弱々しいという感じもまったくありません。以前もKT120やKT150をシングルで本来の定格より低い条件で作動させたのが非常に良かったですが、真空管というのは特性を欲張らずに控えめに使うのがいいのかもしれません。真空管も奥深いですね。

NHK杯戦囲碁 謝依旻7段 対 阿部良希4段(2022年7月24日放送)


本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が謝依旻7段、白番が阿部良希4段の対戦でした。阿部4段はNHK杯戦初出場であり、また二人は初手合いです。対局は黒が地で先行し、白が左辺から中央にかけての模様で対抗という進行になりました。形勢が動いたのは右下隅で、白が黒のカカリに手を抜いて、黒が両ガカリしてからの折衝で、白が左辺からの模様の拡大をかねて、下辺で大ゲイマで黒を封鎖に行ったのがある意味打ち過ぎで、黒は待ってました、とばかりに出切り、ここから戦いが始りました。この戦いの結果として、黒は右辺と下辺で地を持ってほぼ治まり、白はその2つの黒の間に入って後で攻められることになりました。特に下辺の黒は白1子をシチョウに取って厚くなり、これが自然に白の左辺からの大模様を牽制する形になりました。その後白は模様を可能な限りまとめ、また左上隅で黒地を減らすなどして、懸命に挽回を図りました。また中央で黒3子を取り込んだため、形勢はかなり接近しました。しかしながら全体では黒が少し厚い碁形で、終ってみれば黒の1目半勝ちでした。

2A3アンプを45アンプに改造

真空管アンプ沼が更に続いています。2A3に続いては、その一つ前の世代の真空管の45を聴いてみたいと思います。といっても、またシャーシから作るのは気力が湧かず、またヴェーバーの翻訳が遅れてしまうので不可。でも市販の45アンプはと言えば、山本音響工藝の28万円もする高価なもの(しかも注文後3ヵ月待ち)くらいで、後は見当たりません。それで色々調べていたら、2A3と45のスペックは、2A3のヒーター電流が45のそれの倍(つまり2A3には45が2つ入っている感じ)で、後はプレート電圧もバイアス電圧もほぼ同じなので、2A3のアンプのカソード抵抗を倍くらい(1.5KΩ)に上げて、なおかつ出力トランスのスピーカー側の巻き数を半分、つまり今まで8Ωを使っていたら4Ωにする、これだけで45アンプに変身するみたいです。2A3のアンプの先日買った秋一郎さん製作のは下手に改造して壊すと嫌なのでそのままにし、改造のベースになる安い2A3アンプを探しました。そうしたらメルカリで個人の方が出品されていた2A3アンプ(CR結合、無帰還)が何と55,000円で買えました。それで到着したらまたびっくり、付いていた真空管が2A3がJMTEC(岡谷)、整流管の5U4GBがシーメンス、そして6SJ7がなんとRCA製でした。トランスもノグチ(ゼネラルトランス)なので、部品代だけで十分元が取れそうです。(計算したら、真空管とトランス類だけで軽く55,000円を超えます。他にもカップリングコンデンサーはヒグチのオイルコンデンサーですし、かなりいい部品を全体に使っています。)ただ難点は見た目がかなりイマイチで、木のフレームに金属板をはめ込んだだけで、裏蓋はまったくなく、それでいてハムバランサーの操作は裏からやらないといけず、安全面ではかなりお粗末です。後電源コード(ACインレットはなく、電源トランス直結)と電源スイッチもかなり安物です。まあとにかく45を動かすのは、上の方にある白いセメント抵抗2つを1.5KΩ10Wぐらいのものに変えることと、後はトランスのOutput側で現在8Ωの線がつながっているのを4Ωの線につなげかえるだけです。部品が届けばおそらく30分もかからないでしょう。それで45の真空管自体は、eBayでSYLVANIAのペアが1万円ちょっとで買えて到着待ちです。

トワイライト・ゾーンの”Long Live Walter Jameson”

トワイライト・ゾーンの”Long Live Walter Jameson”を観ました。以前、Eigoxというオンライン英会話の先生の紹介で、”The Man from the Earth”(地球から来た男)という30分ぐらいの映画を観たことがあります。(YouTubeにあります。)そのお話の主人公は、クロマニヨン人の生き残りで、何千年も前から歳を取らないで生き続けているというものでしたが、その原型がこのトワイライト・ゾーンのお話だと思います。ウォルター・ジェイムソンは、大学の歴史の先生でその講義は歴史を「まるで見て来たように」話すので人気がありました。彼は同僚の化学の教授であるサムの娘のスザンナと結婚しようとしています。しかしある日、サムがウォルターの授業に出て、その時に南北戦争の時のある男の日記が出てきたのが気になって、その男の写真を探します。驚くべき事にその男はウォルターその人でした。サムがウォルターを問い質し、会った最初の時からまったく歳を取っていないことを指摘します。本当は何歳なのかと聞いたら、彼は側にあったプラトンの石像を示し、この男を知っていると言います。何でも不死の薬を求めてある錬金術師に処方された薬を飲んで、それ以来歳を取らないで生きているようです。彼は過去に何度も結婚していますが、結局10年くらいで彼が歳を取らないことがばれて破局になります。しかし彼は懲りずにまたスザンナと結婚しようしています。そこにある老婆がやって来ます。彼女はウォルターの奥さんだと主張します。ウォルターは否定しますが、結局その女性に銃で撃たれます。サムが駆けつけて来ますが、既に重傷でどうしようもありません。ウォルターの身体は打たれた後、急速に老化が進み、ついには床に倒れ、スザンナがやって来た時にはその身体は砂になっていました。
“The Man from the Earth”の場合は、大体一つの所に10年いると歳を取らないことがバレるので、別の場所に移るということを繰り返していました。このエピソードだけじゃなくて、トワイライト・ゾーンのお話をヒントに作られた他の映画やテレビ作品っていっぱいあるんでしょうね。
(今調べたら、この”The Man from the Earth”の脚本家はJerome Bixbyでトワイライト・ゾーンの “It’s a Good Life”の脚本を書いた人でした。ですから当然TZのこのエピソードは知っていたと思います。)